【事件解説】大阪国税局が大阪の会社、元税理士らを告発

告発

大阪市阿倍野区内にある税理士事務所の代表らを大阪国税局が告発した事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事件の概要

大阪阿倍野区にある税理士事務所の代表であるA税理士が、顧問先の2つの会社に脱税を指南し、脱税させたとして、大阪国税局は、A税理士を法人税法違反などの疑いで大阪地方検察庁に告発しました。A税理士は、自己の顧問先に架空の請求書を用意させ、いずれも同じく自己の顧問先である大阪府寝屋川市の空調設備会社であるB会社と大阪市城東区の測量会社であるC会社に架空の外注費を計上させて所得を少なく見せかける手口で、脱税を指南していたということです。

大阪国税局の調査では、1昨年までの3年間で、2つの会社を合わせて計3億円余りの所得を隠し、脱税額は約1億2700円に上るとのことです。Aは、隠した所得の一部を報酬として得ていました。

また、B会社及びC会社の両前社長とも法人としての両会社も脱税した疑いで大阪国税局に告発されました。

(2024年12月4日、THE SANKEI SHIMBUNの記事より一部改変)

https://www.sankei.com/article/20241204-3466LCRGSVOK3CB6UB2P2GC2NQ

税理士が刑事罰の対象になる場合

主犯である納税義務者が脱税犯として処罰の対象になる(査察の対象になる)ような売上除外や架空経費の計上などの実行行為を行った場合に、税理士がそれと知りながら内容虚偽の申告書を作成し提出したような場合、脱税を手助けしたとして脱税幇助犯(刑法62条1項)となる可能性があります。

それを超えて、税理士が、納税義務者と共謀して主体的に脱税行為を行ったり、脱税した税金を山分けしていたら共同正犯者(刑法60条)として、納税義務者と同様に正犯(犯罪の実行者)の責任を負うことになります。

本件におけるA税理士は、自己の顧問先に架空の請求書を用意させるなど、納税義務者と共謀して主体的に脱税行為を行っており、共同正犯者として納税義務者と同等の責任を負う可能性が高いと考えられます。

また、税理士という職業からして、税務に関する専門家として、納税義務の適正な実現を図ることを使命としている(税理士法1条)ため、刑事罰の対象となった場合、一般人以上に厳しい処罰が要請されると考えられます。

最後に

今回は、実際報道されている事件をもとに、解説しました。 納税義務者でなくても他人の脱税に関与してしまったという場合には、早急に弁護士に相談して刑事告発を避けるための活動をしていくのが重要と考えられます。ひとたび刑事告発をされてしまうと、極めて高い確率で起訴され(最近では、刑事告発されると約8割から9割の高率で起訴されるに至っています。)、かつ、有罪となるという実情があるからです。弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、脱税に関する相談を無料で行っていますので、気軽に早急にお問合せください。

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