脱税事件の種類

1 不正の行為の有無による区別

脱税事件を行為類型で分けると、大きく分けて2つの類型があります。

1つ目の類型は、①不正行為を行うことによって納税を免れる又は不正に還付を受ける類型(不正行為を行っている脱税)です。

そしてもう1つの類型は②不正行為を行ってはいないが納税を免れる類型(不正行為を行っていない類型)です。

まず①について、不正行為にはどのようなものがあるか説明します。
脱税の目的で行われる不正行為として代表的なものとしては、本来は支出していない経費を架空に計上すること(経費の架空計上)、実際にはあった売り上げをなかったことにして帳簿から除外して売り上げを実際より低く見せかけること(売り上げの除外)などがあります。

このうち、経費を架空に計上するなど虚偽の申告内容によって納税を免れる行為を虚偽過少申告ほ脱犯、売り上げの除外など本来申告すべき内容を申告しないことで納税を免れる行為を虚偽無申告ほ脱犯といいます。

これに対して②については、不正行為を行っていないにもかかわらず脱税として刑事処罰を受けることに疑問を感じられるかもしれません。

①で挙げたような不正行為を行っていないのに脱税に問われる場合としては、納税を免れる目的で申告書を期限までに提出せずに納税を免れる場合が当たります。

②のことを一般的に無申告犯ほ脱犯といいます。

無申告ほ脱犯について以前は架空計上などの不正な行為を行っていないためにほ脱犯としての処罰対象から外れていましたが、平成23年の税法改正で処罰対象として加えられました。

なお①、②とは別に正当な理由なく確定申告書を故意に期限内に提出しないことも刑事罰の対象となっています。これを無申告犯ということがあります。

ただしこれは不正に税を免れる目的がないため脱税の定義には当たりません。

②との区別は不正の目的の有無ですので外見からは区別がつかず、納税者の内心によって区別されます。

②とは法定刑が大きく異なるためどちらにあたるかは慎重に判断される必要があります。

2 法律による区別

次は税の種類ごとに、上記行為類型による処罰規定について説明していきます。税に関して定めた法律には代表的なものとして法人税法、所得税法、消費税法などがあります。

条文を記載するとかなり長くなりますのでここでは、脱税の種類ごとに根拠条文をそれぞれ挙げておきます。

①法人税法

条文 脱税の種類 具体的内容 罰則
159条
1項
虚偽過少申告ほ脱犯
虚偽無申告ほ脱犯
偽りその他不正の行為により,法人税を免れ,又は法人税の還付を受けた場合 10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金
159条
3項
無申告ほ脱犯 申告書をその提出期限までに提出しないことにより,法人税を免れた場合 5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金
160条 無申告犯 正当な理由なくて確定申告書をその提出期限までに提出しなかった場合 1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金


②消費税法

条文 脱税の種類 具体的内容 罰則
64条
1項1号
2号
虚偽過少申告ほ脱犯
虚偽無申告ほ脱犯
偽りその他不正の行為により,消費税を免れ,又は消費税の還付を受けた場合 10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金
64条
5項
無申告ほ脱犯 申告書をその提出期限までに提出しないことにより,消費税を免れた場合 5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金
66条 無申告犯 正当な理由なくて確定申告書をその提出期限までに提出しなかった場合 1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金

③所得税法

条文 脱税の種類 具体的内容 罰則
238条
1項
239条
1項
虚偽過少申告ほ脱犯
虚偽無申告ほ脱犯
偽りその他不正の行為により,所得税を免れ,又は所得税の還付を受けた場合 10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金
238条
3項
無申告ほ脱犯 申告書をその提出期限までに提出しないことにより,所得税を免れた場合 5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金
241条 無申告犯 正当な理由なくて確定申告書をその提出期限までに提出しなかった場合 1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金

3 弁護活動について

以上のように一口に脱税といっても行為の内容や認識によって適用される処罰規定も異なり、量刑も大きく変わってきます。

どの類型にあたるのか、そもそも脱税にあたるかどうか、脱税と認定されるかどうかについては、それまでの経緯や資料の内容から慎重な判断が必要ですので、一度弁護士による法律相談を受けることをおすすめします。

keyboard_arrow_up

0120631881 問い合わせバナー LINE予約はこちら