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一人親方の脱税とは?よくある手口や発覚する理由、刑事リスクを解説

2026-07-02
土木作業

一人親方として働いている方の中には、元請けから報酬を受け取っているものの、確定申告経費計上のルールを十分に理解しないまま仕事を続けている方も少なくありません。
しかし、一人親方個人事業主である以上、所得税消費税などの申告・納税義務を負います。
申告をしなかったり、売上を少なく申告したりすれば、加算税延滞税だけでなく、悪質な場合には刑事責任が問題となります。

今回は、一人親方の定義、一人親方に多い脱税の手口、発覚のきっかけ、一人親方が普段から気を付けるべき点について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

そもそも一人親方とは何か

一人親方とは、労働者を使用せずに、自らの責任で仕事を請け負って事業を行う人をいいます。
建設業や土木業などで多く見られ、広い意味では個人事業主の一種です。
もっとも、一般の個人事業主と比べると、業種が限られていることや、従業員の雇用日数に制限があること、労災保険の特別加入が認められることなどに特徴があります。
そして、一人親方であっても、開業届の提出や確定申告、納税の義務がある点は通常の個人事業主と何ら変わりません。

事例

内装業を営む一人親方のAさんは、年間で多額の収入を得ていましたが、取引の多くが現金手渡しであったことから、申告しなくても発覚しないだろうと考え、数年にわたり確定申告をしていませんでした。
しかし、取引先企業に税務調査が入ったことで、Aさんへの支払いが判明し、Aさん自身にも税務調査が行われることになりました。
一人親方脱税は、現金取引だから発覚しないとは限りません。
取引先への調査や銀行口座の確認などから、売上や収入の流れが明らかになることがあります。
(事例はフィクションです。)

一人親方に多い脱税の手口

一人親方脱税で典型的なのは、確定申告をしない無申告です。
これに加えて、売上の一部を帳簿に載せず実際より少なく申告する過少申告や、私的な飲食費や買物代まで経費に入れる経費の過大計上もよく問題になります。
さらに、課税売上高が1000万円を超えると消費税の納税義務が生じるため、その基準を超えないように売上を調整するケースもあります。

このような行為は、所得税だけでなく、消費税住民税個人事業税にも影響するため、結果として脱税額が大きくなりやすい点に注意が必要です。

偽装一人親方が招く税務上の問題

一人親方に関する問題では、偽装一人親方にも注意が必要です。
これは、本来は会社の指揮命令下で働く労働者であるにもかかわらず、形式上だけ請負や業務委託として扱われている状態をいいます。

この場合、会社が支払っている金銭は外注費ではなく給与と評価される可能性があります。
給与と判断されれば、会社には源泉徴収義務が生じ、外注費計上や消費税の処理も問題になります。
一人親方本人だけでなく、元請けや会社側にも所得税法違反などの危険が及ぶため、契約書の形式だけでなく、実際の働き方まできちんと整えておくことが重要です。

なぜ脱税が発覚するのか

一人親方脱税が発覚するきっかけとしては、取引先への税務調査、反面調査、銀行口座や資産状況の確認、第三者からの情報提供などがあります。
反面調査とは、税務署が調査対象者だけでなく、その取引先や関係先も確認して、取引の実態や金額を把握する調査です。
たとえ本人が帳簿を十分に作っていなくても、取引先に残る支払記録や振込履歴から売上を把握されることがあります。

また、申告所得に比べて不自然に高額な不動産購入などがあると、税務署に目を付けられることもあります。

現金商売だからばれないという考えは非常に危険です。

一人親方が気を付けるべき点

一人親方が気を付けるべきなのは、まず開業時から帳簿や請求書、領収書、通帳履歴をきちんと残すことです。
そのうえで、毎年の確定申告を期限内に行い、売上を漏れなく計上し、経費は仕事に関係するものに限定する必要があります。
もし申告漏れ無申告に気付いた場合には、そのまま放置せず、できるだけ早く修正申告や期限後申告を検討すべきです。
早めの対応は、加算税の負担や悪質性の評価に影響することがあります。

また、元請けとの関係が実質的に雇用に近い場合には、偽装一人親方と疑われないよう、契約内容や就労実態を専門家に確認してもらうことも大切です。

まとめ

一人親方脱税問題は、単なる申告ミスとして終わらず、税務調査、加算税、重加算税、さらには刑事告発へ発展する可能性があります。
特に、無申告が長期間に及んでいる場合や、売上隠し偽装一人親方が疑われる場合には、早い段階で専門家に相談することが重要です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、一人親方に関する税務事件や刑事事件について、事案に応じた相談対応を行っています。
税務署や国税局への対応、刑事告発の回避、今後の申告体制の整備まで見据え、不安を抱える方をサポートしています。

一人親方脱税問題でお悩みの方は、早めにご相談ください。

外貨建て預金の申告漏れとは 為替差益や利息の課税をわかりやすく解説

2026-06-25
税金とお金

【はじめに】

外貨建て預金は、円預金とは違って為替の変動があるため、「利益が出ているのに申告していなかった」という事態が起こりやすい資産です。特に、円から外貨に換えて預け入れ、後日、円に戻したときには、為替差益が生じることがあります。この差益は、場合によっては所得税の対象となり、申告をしていなければ申告漏れと判断されるおそれがあります。

国税庁も、外貨建預貯金の払出しに伴う為替差損益の取扱いを示しており、実務上は雑所得として扱われています。外貨建て預金の利子は、預入先や商品内容によって課税方法が異なります。国内金融機関の預貯金利子は、原則として源泉徴収で課税関係が終了しますが、国外で受ける預金利子などは確定申告が必要になる場合があります。

本記事では、為替差額や利息の課税リスクと刑事事件の落とし穴について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【事例】

会社員のAさんは、円高の時期に100万円を米ドルに替えて外貨建て預金を始めました。その後、為替相場が変動し、預金を円に戻したところ、受け取った金額は当初の100万円を上回っていました。Aさんは「預金で増えただけだから申告は不要だろう」と考え、勤務先の年末調整だけで済ませていました。
(事例はフィクションであり、実在の依頼者、その他個人、会社、団体とは一切関係ありません。)

【外貨建て預金の申告漏れとは】

外貨を円に戻したことで生じた利益は、為替差益として課税対象になる場合があります。

為替差益とは、円を外貨に換えた時よりも、外貨を円に戻した時の方が円換算額が増えていた場合の利益をいいます。
国税庁は、外貨建預貯金を払い戻したことにより生じた為替差益は、原則として雑所得に該当すると示しています。

このように、外貨建て預金では、預入時と払戻時の為替の差によって所得が発生し、その申告をしないと申告漏れになるおそれがあります。

【雑所得とは】

雑所得とは、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得、一時所得のいずれにも当たらない所得をいいます。
国税庁も、雑所得について「他の所得区分に当たらない所得」であると説明しています。そして、国税庁の質疑応答事例では、外貨建預貯金の払出しによって生じた為替差損益は、原則として雑所得として取り扱う考え方が示されています。

つまり、外貨建て預金為替差益は、給与や事業の利益ではなく、他の所得区分にも当てはまらないため、雑所得として整理されるのです。
この「所得区分」を誤ると、申告方法や計算を間違える原因になるため注意が必要です。

【申告漏れが発覚するとどうなるの?】

外貨建て預金申告漏れが発覚すると、本来納めるべき税金に加えて、加算税延滞税が課されることがあります。

加算税とは、申告が遅れたり、申告額が少なかったりしたことに対して上乗せされる税金です。
たとえば、申告自体をしていなければ無申告加算税、申告はしたものの金額が足りなければ過少申告加算税が問題になります。
また、延滞税とは、納付期限を過ぎたことによる利息に近い性質の負担です

国税庁も、確定申告漏れがあった場合には加算税延滞税がかかることがあると案内しています(場合によっては加算割合が変わります)。
さらに、税務署から督促を受けても納付しなければ、財産の差押えなどの滞納処分につながる可能性もあります。

【刑事事件化するの?】

外貨建て預金申告漏れが、直ちに刑事事件になるわけではありません。

もっとも、単なる計算ミスではなく、意図的に利益を隠したり、取引資料を隠ぺいしたりした場合には、悪質な脱税として査察・告発を経て刑事責任を追及される可能性があります。
国税庁も、査察制度は悪質な脱税者に対して刑事責任を追及するための制度であると説明しています。
また、所得税法では、偽りその他不正の行為により所得税を免れた場合に刑罰を定めています。

そのため、外貨建て預金の利益を把握しながら申告せず、隠ぺいや仮装を伴っていたような事案では、税務上の追徴だけでなく、刑事事件化のリスクにも注意が必要です。

【申告漏れをしてしまったら?】

外貨建て預金申告漏れに気付いたときは、そのまま放置せず、できるだけ早く内容を確認することが重要です。すでに確定申告をしていて税額が少なかった場合には、修正申告によって正しい金額に直すことになりますし、そもそも申告自体をしていなかった場合は期限後申告で対応します。

国税庁も、誤りを把握した際には、できるだけ早く修正申告をするよう案内しています。
また、税務署から調査の事前通知を受ける前に自主的に修正申告をした場合には、過少申告加算税がかからないとされています。

外貨建て預金では、預入時の為替レート、払戻時のレート、受取利息、取引明細などが重要な資料になります。
早い段階で資料を整理して対応すれば、申告内容の確認や訂正を進めやすくなります。

【最後に】

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件の弁護活動を中心に取り扱う法律事務所ですが、脱税事件など税務が刑事時点に発展する事案にも対応しております。

税務調査が刑事手続に発展する局面では、特に捜査対応や身柄事件(逮捕・勾留)への備えが必要になることがあります。そのため、事実関係の整理や提出資料の作り方、取調べ対応など、刑事弁護の観点から助言できる体制を整える必要があります。

初回の相談は無料ですので、一度ご相談にお越しください。

法人が暗号資産で申告漏れしたときの税務・刑事リスクと対応策

2026-06-18
告発

【はじめに】

自社名義や代表者名義で暗号資産(仮想通貨)取引を行い、うまく経理処理ができていないまま時間がたってしまった法人は少なくありません。しかし、暗号資産は国税当局が重点的に監視している分野であり、「少額だから」「海外取引所だからばれない」と考えて申告漏れを放置すると、後になって多額の追徴課税刑事告発に発展するおそれがあります。

本記事では、法人が暗号資産申告漏れをした場合にどのようなリスクがあるのか、税務調査から刑事事件化までの流れと、早期にとるべき対応のポイントについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【事例】

中小IT企業のX社は、代表者個人名義の口座を使いながら暗号資産で受注代金の一部を受け取っていました。しかし、価格変動の大きさや記帳の煩雑さから、経理担当者は一時的な管理表だけで済ませ、決算書や申告書には反映していませんでした。
数年後、税務署が取引所からの情報提供や銀行口座の動きを手がかりに調査を行い、売上計上漏れと評価される多額の申告漏れを指摘しました。税務調査では、代表者や経理担当者が取引の経緯や管理方法について詳しく聴取され、保存していなかったデータの有無まで確認されました。
その結果、本税に加えて重加算税延滞税が課され、悪質性が高いと判断されれば、代表者個人について法人税法違反での告発も検討される状況となりました。
(事例はフィクションであり、実在の依頼者、その他個人、会社、団体とは一切関係ありません。)

【法人税法上の取扱いと「申告漏れ」「脱税」の違い】

暗号資産取引による利益は、法人では原則として法人税の課税対象となり、決算書に計上したうえで確定申告をする必要があります。

本来計上すべき売上や利益をうっかり漏らした状態が、一般的に「申告漏れ」と呼ばれるものです。この場合でも、後から発覚すれば追加で本税に加算税延滞税が課されることがあります。

一方、申告自体をしていない場合は「無申告」となり、悪質と判断されれば、より重い無申告加算税の対象になります。

さらに、帳簿を二重につくる、取引履歴を削除するなど、意図的に事実を隠したり仮装したりした場合は「脱税」に当たるおそれがあります。このような仮装隠ぺい行為があると、重加算税という高率のペナルティのほか、刑事告発につながるリスクも高まります。

暗号資産の経理処理を曖昧にしたまま放置すると、単なるミスと見てもらえず、脱税と評価される危険がある点に注意が必要です。

【税務調査から刑事告発に至るまでの流れ】

暗号資産申告漏れが疑われると、まず税務署による税務調査が行われます。
税務調査は、任意の質問や帳簿閲覧を中心とする「任意調査」と、令状に基づき強制的に捜索・差押えを行う「強制調査(査察)」に大きく分かれます。

いわゆるマルサとは、この強制調査を担当する国税局査察部のことです。調査の中で仮装・隠ぺいが疑われると、調査官は詳細な質問応答記録書を作成し、取引の経緯や意図を確認します。その結果、悪質な脱税と判断されれば、国税当局から検察庁に告発が行われ、代表者らが法人税法違反などの容疑で捜査・起訴される可能性があります。
また、刑事手続と並行して多額の追徴課税が行われるため、経営へのダメージは極めて大きくなります。

【代表者・経理担当者に生じる民事・刑事上の責任】

代表者や経理担当者は、暗号資産申告漏れが発覚した場合、会社だけでなく自らも責任を負う可能性があります。

法人税は会社に課税されますが、故意に脱税を指示したり、仮装隠ぺいに関与したりすると、法人税法違反の共犯として刑事責任を問われるおそれがあります。
また、役員には会社に対する善管注意義務があり、税務リスクを軽視して放置した場合、株主や会社から損害賠償請求を受けるリスクもあります。
経理担当者についても、上司の指示とはいえ明らかに不自然な処理に加担すれば、調査段階から事情聴取を受け、最悪の場合には刑事責任の対象となり得ます。さらに、刑事事件化すると前科や逮捕といった個人の人生への影響に加え、取引停止や金融機関からの信用低下など、会社全体にも深刻な打撃が及びます。

【発覚後の早期対応でダメージを抑えるポイント】

暗号資産申告漏れに気付いた段階で、まず行うべきは取引履歴の整理です。
取引所の履歴データやウォレットの送受信記録を保存し、いつ・いくら・どのような取引をしたのかを一覧できるようにします。このとき、不利だからといってデータを削除したり改ざんしたりすると「隠ぺい行為」と評価され、重加算税や刑事告発のリスクを一気に高めてしまいます。

次に、税理士や弁護士など専門家と連携し、修正申告や自主的な申告を行うかどうかを検討します。自主的に誤りを正した場合、加算税が軽減されることがあり、悪質性の評価にも影響します。すでに税務署から連絡や税務調査の予告を受けている場合でも、事前に事実関係を整理し、誰がどのような判断で処理してきたのかを把握しておくことで、調査対応のダメージを最小限に抑えやすくなります。

【今後の防止策】

今後は、
・事業用と個人用のウォレット・口座を分けること
・取引ごとの用途(売上か、投資か、立替か)をメモしておくこと
・取引所から定期的にCSVデータをダウンロードして保管すること
・決算期だけでなく月次で評価損益を確認する体制を作ること
などが重要です。

また、暗号資産を扱うと決めた時点で、最初から暗号資産に詳しい税理士・弁護士に関与してもらうことで、思わぬ申告漏れ脱税認定のリスクを大きく減らすことができます。

【最後に】

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・経済事件を中心に取り扱う弁護士事務所です。暗号資産に関する申告漏れ脱税が疑われる事案など、法人や経営者の方が直面する税務刑事事件にも対応しています。

代表者や経理担当者の事情を丁寧に伺い、どこまでが単なるミスで、どこからが脱税と評価され得るのかを整理し、取るべき対応方針をわかりやすく説明いたします。また、法人名や取引関係への影響を考慮し、守秘義務を徹底したうえで、報道リスクや取引先への対応についても実務的なアドバイスを行います。初回の相談は無料ですので、一度ご相談にお越しください。

犯罪で得た利益も課税される? 犯罪発覚時に脱税まで問われるリスクと、不正アクセス事件の対処法を解説

2026-06-11
税金とお金

犯罪によって得たお金は、もともと違法な利益なのだから税金はかからないと考えてしまう方もいるかもしれません。
しかし、日本の所得税実務では、収入の原因となった行為が適法かどうかは問わないとされており、違法行為で得た利益であっても課税対象となる可能性があります。

そのため、詐欺横領不正アクセス電子計算機使用詐欺などの事件が発覚すると、刑事事件としての捜査だけでなく、無申告所得隠しの問題まで一気に表面化することがあります。
国税庁は令和5年度、悪質な脱税事案101件を検察庁に告発しており、無申告事案不正受還付事案も重点対象にしています。

1.犯罪による利益も課税対象となるのか

所得税法には「所得」の一般定義が明文で置かれていませんが、実務上は広く経済的利益を所得として把握する考え方が採られています。
国税庁の所得税基本通達36-1も、「収入の基因となった行為が適法であるかどうかを問わない」と示しています。

そのため、詐欺でだまし取った金銭、横領で取得した金銭、不正アクセス電子計算機使用詐欺で得た利益なども、現実に経済的利益を得ていれば課税対象になる可能性があります。
したがって、詐欺で得た利益についても、確定申告が必要になり得ます。

2.事例

例えば、投資話を装って知人から多額の金銭を預かり、これを遊興費などに費消した事例を考えてみましょう。

会社員のAさん(35歳)は、知人らに対して「海外の未公開株に投資すれば、3か月で元本の1.5倍になる。」「確実に利益が出る案件で、すでに多くの人が参加している。」などと説明し、出資を募っていました。
しかし、Aさんには実際に未公開株の購入ルートはなく、投資先となる事業も存在していませんでした。
Aさんは、最初から集めた金銭を自分の生活費や遊興費に充てるつもりで、知人のBさんに対し「5000万円を出資すれば、短期間で大きな利益が得られる。」と話し、現金5000万円を振り込ませました。
Aさんは、Bさんから受け取った5000万円について、投資に回したように見せかけるため、しばらくの間は「今は運用中です。」「配当は来月に入ります。」などと虚偽の説明を続けていました。
その一方で、実際にはその金銭を高級飲食店での飲食代、風俗店の利用代、ブランド品の購入費などの遊興費に費消していました。

この事例では、詐欺によって得た利益についても申告が必要になり得ること、さらに、無申告加算税重加算税延滞税の問題が生じ得ることが分かります。

また、実際の国税庁公表資料でも、令和5年度の査察では、アフィリエイト事業による収入を得ながら虚偽の契約書を準備するなどして所得を隠し、確定申告書を提出しなかった無申告事案が告発されています。
さらに、知人や親族名義の預金口座を使って所得を隠匿したタトゥースタジオ経営者の無申告事案や、架空の輸出免税売上を計上した消費税不正受還付事案も公表されています。

つまり、犯罪や不正行為が発覚した場面では、口座、契約書、売上資料、スマートフォン、関係者供述などから、税務上の問題まで連鎖的に明らかになることがあるのです。

3.一時所得か雑所得かで問題が変わる

違法収入が課税対象になるとしても、確定申告では、その利益をどの所得区分で整理するのかが問題になります。
詐欺による利益が一時所得なのか雑所得なのかによって、課税所得の計算に大きな違いが出ることがあります。

一般に、偶発的・一回的な利得として整理される余地がある一方、反復継続して利益を上げていた場合には雑所得などとして扱われる可能性があり、税額に大きな差が生じることがあります。
実際の処理は、行為の内容、反復性、継続性、必要経費の有無などを踏まえて個別に判断されるため、自己判断は危険です。

4.犯罪が発覚すると脱税も見つかるのはなぜか

刑事事件の捜査が始まると、警察や検察は、口座履歴、送金記録、スマートフォン、クラウドデータ、SNSのやり取り、パソコン内資料、関係者供述などを集中的に調べます。
その過程で、事件の利益がどこへ流れたのか、誰の名義の口座を使ったのか、どの程度の収入があったのかが見えてくるため、無申告所得隠しも把握されやすくなります。

警察庁も、フィッシングを利用した不正送金事件について、首謀者ら31人を不正アクセス禁止法違反電子計算機使用詐欺等で検挙した事例を公表しており、こうした事件では資金移動の流れの解明が重要になります。
さらに、国税庁の査察概要では、無申告事案を重点対象として積極的に告発しており、令和5年度は無申告事案16件を告発しています。

犯罪の捜査で見つかった資料や資金の流れが、税務調査や査察につながることは十分あり得ます。
「刑事事件だけ対応すればよい」と考えて放置すると、後から税法違反まで加わり、処分が重くなるおそれがあります。

5.無申告加算税・重加算税・延滞税のリスク

無申告が見つかった場合、本税だけで終わるとは限りません。
国税通則法では、期限後申告等に対して無申告加算税が課され、税額の大きさや経緯によって割合が変わります。
また、仮装や隠ぺいがあると、無申告加算税に代えて重加算税が課されることがあり、無申告事案に対する重加算税の税率は40%です。
さらに、納付が遅れれば延滞税もかかります。

国税庁によれば、令和8年中の延滞税は、納期限から2か月までが年2.8%2か月経過後が年9.1%です。
昔の説明では7.3%や14.6%という原則税率だけが紹介されることがありますが、実際には特例基準割合により変動するため、最新の数字で確認する必要があります。

6.不正アクセスやハッキングが絡む場合の対処法

自分や家族が、不正アクセスフィッシング電子計算機使用詐欺などに関与した疑いを持たれている場合には、まず新たなアクセスや送金、アカウント操作を直ちにやめることが大切です。
そのうえで、端末の初期化、チャット履歴の削除、アプリの消去、ログの改ざん、暗号資産や預金の移動などを独断で行わないようにしてください。
こうした行為は、証拠隠滅と評価される危険があり、後の弁護にも不利になり得ます。
早い段階で弁護士に相談し、どの資料を保全し、どの説明をすべきかを整理することが重要です。

一方で、被害者側として「アカウントが乗っ取られた」「サイトが改ざんされた」という場合には、警察庁は、ログイン履歴やアクセスログ等を保存したうえで、警察やサイバー犯罪相談窓口へ相談するよう案内しています。

令和7年の不正アクセス行為の認知件数は7,190件で、前年より約34.2%増加しており、不正アクセス後の行為としてはインターネットバンキングでの不正送金等が最も多いと公表されています。
ハッキング事案では、刑事責任だけでなく、被害弁償、民事責任、税務問題まで広がることがあるため、初動対応の遅れは危険です。

7.事務所紹介

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、詐欺横領電子計算機使用詐欺不正アクセス禁止法違反などの刑事事件について、早期の弁護活動を重視しています。

犯罪収益が問題となる事件では、被害者対応、示談交渉、取調べ対応だけでなく、収益の流れや申告状況の確認も重要になります。
特に、事件発覚後は、刑事事件と税務問題が同時並行で進むことがあり、初動を誤ると不利な資料が積み上がるおそれがあります。
ご本人はもちろん、ご家族が突然の捜査や呼出しを受けた場合でも、できるだけ早く弁護士へ相談することをおすすめします。

医師が知っておきたい税金の基本 〜勤務医・開業医それぞれのポイント〜

2026-06-04
医者

医師として働くうえで避けて通れないのが税金です。勤務医か開業医かによって納める税金の種類や節税の考え方が大きく変わります。そのため、自分の立場を理解して早めに対策を立てておくことが大切です。これから、医師の税金の基本について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

1 勤務医の税金:給与所得者の仕組み

勤務医の場合、基本的には給与所得者として病院から給与を受け取り、源泉徴収によって税金があらかじめ差し引かれることが通常です。

主な税金は次の通りです。
所得税:給与額や控除額に応じて課税。年末調整で精算されます。
住民税:前年の所得に基づき、翌年の6月から12か月分を支払います。
社会保険料:健康保険・厚生年金・雇用保険などが自動的に差し引かれます。

副業(当直バイトや講演料など)をしている場合は、確定申告が必要になることがあります。勤務している病院等から貰っている給料以外に、年間20万円を超える所得があると申告義務が生じるため注意が必要です。

2 開業医の税金:事業所得者としての責任

一方、開業医は病院勤務とは異なり、事業所得者として自ら税金を計算して納付することが通常です。税理士に依頼する方が安心ですが、医師自身も基本構造を理解しておくことが重要です。

主な税金は以下の通りです。
所得税(事業所得の場合):収入 − 経費 = 事業所得 に対して課税。青色申告特別控除(最大65万円)が使えます。
住民税および事業税:都道府県・市区町村に納付。
消費税:課税売上が1,000万円を超えると翌々年から課税対象になります。
社会保険料:国民健康保険・国民年金・医師国保など、基本的には自身で加入・支払いを行います。

開業医にとって節税の鍵は「経費の管理」と「青色申告の活用」です。医療機器費用やスタッフ給与、学会参加費など、業務に関連する支出はすべて経費対象になります。

3 申告ミスによるペナルティについて

もし、自身で申告を行うことに自信のない場合には、税理士や弁護士に依頼することをお勧めします。

もし、正しく申告できていない場合には、様々なペナルティが課される可能性があります。

①無申告加算税

収入があるにも関わらず、確定申告をしていなかった場合には、無申告加算税が課されることになります。

②重加算税

確定申告をしておらず、収入があるなどの重要な事実の一部を仮装、隠ぺいした場合には、無申告加算税にかえて重加算税が課されます。

③延滞税

確定申告の期限までに申告していない場合、税務調査等の結果、税金納付の期限を決められて、その日までに納税をしなければならなくなります。
この場合、納付した日までの延滞税を別途支払わなければならなくなります。

④刑事罰

確定申告をしていない金額が高額であったり悪質性が高いと考えられる場合には、告発をされて刑事事件化する場合があります。
この場合には、捜査を受けることになりさらには刑事裁判を受けて前科が付いてしまうことになります。

最後に

バレない等と考えていると、いざ税務調査などが入った時に、上記のような重い処分を受けてしまう可能性があります。
確定申告をしていない場合には、早めに確定申告をしましょう。
どうしても良いか分からない場合には、いずれにしても、税理士や弁護士に早めに相談されることをお勧めします。

業務上横領と課税の関係とは~犯罪収益であっても課税されるのか、会社側の税務対応も含めて解説~

2026-05-28
脱税 逮捕

会社の金銭を管理する立場にある者が、その金銭を私的に流用した場合には、業務上横領罪が問題になります。

もっとも、問題は刑事責任だけにとどまりません。
横領によって得た利益が所得税の課税対象となるのか、会社側で誤った経費処理や売上除外がされていた場合にどのような税務上の不利益が生じるのかも、重要な論点になります。
国税庁は、収入の原因となった行為が適法かどうかを問わず、課税の対象となり得るとの考え方を示しています。

そこで本記事では、業務上横領課税の関係について、個人に対する課税と会社側の税務問題の両面から解説します。

1.業務上横領と課税が同時に問題となる理由

業務上横領とは、業務として預かっている他人の財物を、自分のもののように処分する行為をいいます。
会社の経理担当者、代表者、取締役などが会社資金を私的に使った場合には、刑法上の業務上横領罪が成立する可能性があります。

しかし、問題はそれだけではありません。
税法上は、違法に得た利益であっても、現実に経済的利益を受けていれば課税対象となる余地があります。

そのため、横領した本人には刑事事件だけでなく申告漏れの問題が生じ得ますし、会社側でも経費の誤計上や売上除外により、法人税源泉所得税の問題を指摘される可能性があります。

2.事例

たとえば、会社で経理を担当していた従業員が、現金売上の一部を抜き取り、数回にわたって自己名義の口座へ移していたとします。
さらに、別の場面では、取締役が会社名義のクレジットカードを私的な飲食や買物に使い、その支出を交際費や会議費として処理していたとします。

このような場合、横領した本人には業務上横領罪が問題となるだけでなく、取得した金銭について所得税の申告漏れが生じる可能性があります。

また、会社側でも、本来経費にならない支出を損金算入していたとか、本来計上すべき売上を除外していたとして、過少申告重加算税の問題に発展するおそれがあります。

3.横領で得た利益は所得税の課税対象になる

「犯罪で得たお金なのだから、税金はかからないのではないか」と考える方もいるかもしれません。
しかし、国税庁の所得税基本通達36-1では、「収入の基因となった行為が適法であるかどうかを問わない」とされています。
つまり、適法な取引で得た収入か、違法行為によって得た収入かを問わず、現実に経済的利益を受けていれば、所得税の対象となり得るということです。

そのため、業務上横領によって得た金銭も、本人が自由に使える状態に置いていたのであれば、所得として申告が必要になる可能性があります。
業務上横領による利得についても、確定申告が必要となる場合があるため、注意が必要です。

4.一時所得か雑所得かで税負担が変わる

横領による利益が課税対象になるとしても、常に同じ税額になるわけではありません。

問題となるのは、その所得が一時所得に当たるのか、それとも雑所得に当たるのかという点です。
国税庁によれば、一時所得は営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の一時的な所得をいい、雑所得は他の所得区分に当たらない所得をいいます。

一時所得には特別控除や2分の1課税の仕組みがあるため、雑所得より税負担が軽くなる場合があります。
これに対し、何回にも分けて継続的に着服していたような事案では、雑所得と評価される方向に傾く可能性があります。

どちらに当たるかによって税額に大きな差が生じ得るため、事案ごとの慎重な検討が必要です。

5.会社側では損金算入、役員賞与、売上除外が争点になる

会社側の税務でも、業務上横領は深刻な問題になります。

まず、私的流用された支出を交際費などの名目で経費計上していた場合には、本来損金算入できないものを損金算入していたとして、法人税過少申告が問題になります。

また、代表者や一定の権限を持つ取締役が会社資金を着服した場合には、その金額が役員賞与と認定され、損金不算入となるだけでなく、源泉徴収義務まで問題となることがあります。
さらに、代表者が売上を個人口座へ移し、申告から除外していたような場合には、単なるミスではなく、売上除外による仮装・隠ぺいと評価されやすくなります。

このように、代表者による私的流用は、役員賞与認定や源泉徴収、売上除外の問題と結び付きやすいため、会社としても早期に事実関係を整理する必要があります。

6.無申告加算税、過少申告加算税、重加算税、延滞税に注意

横領した本人が申告をしていなければ、所得税について無申告加算税延滞税が発生する可能性があります。
国税庁のタックスアンサーでも、期限後申告や調査後の申告には無申告加算税がかかり、納付までの期間に応じて延滞税も必要になると案内されています。

また、会社側でも、誤った経費処理や売上除外があれば、過少申告加算税が問題になります。

さらに、仮装・隠ぺいがあったと判断されれば、通常の加算税ではなく重加算税が課されるおそれがあります。
特に、代表者主導の売上除外は悪質と見られやすいため、注意が必要です。

社内で横領が判明した段階で、税務調査が入る前に修正申告を検討することが重要になります。

7.事務所紹介

業務上横領の事案では、被害会社との示談交渉、刑事弁護、返済計画の立案だけでなく、申告漏れ修正申告税務調査対応まで視野に入れた対応が必要になることがあります。
特に、横領した本人の立場では、刑事事件への対応だけを考えていると、後から税務上の問題が大きくなるおそれがあります。

また、会社側でも、社内不正の発覚後にどのように事実関係を整理し、どの時点で修正申告を行うかによって、不利益の大きさが変わることがあります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件に関するご相談を幅広く取り扱っており、業務上横領が発覚した場合の初動対応についてもご相談いただけます。
早い段階で対応方針を整理することが、不利益の拡大防止につながります。

【報道解説】トレーディングカードの転売利益で申告漏れが指摘された事例

2026-05-14
税金とお金

近年,市場規模が拡大傾向にあるトレーディングカードは,ジャンルやテーマが豊富で,幅広い年齢層での人気が見られます。世界規模での大会も開催されるカードゲームにおける使用はもちろん,コレクション対象にもなるトレーディングカードは,時としてかなりの高値で取引されることもあります。

カードゲームにおいて強力なカードや,人気イラストレーターによるデザインのトレーディングカードは価値がつきやすく,大会やイベントでの限定配布といった流通数の少ないレアカードでは,その傾向はより顕著になります。カードによっては1枚あたり数百万円近くで取引されることもあり,オークションなどを通してさらに高値がつくこともあります。投機対象ともなるトレーディングカードは市場での注目度も高く,現在では専門のカードショップも多数存在するほか,個人で仕入と売却を行い,副業として成立させるケースもあります。

転売によって大きな利益を上げる可能性もあるトレーディングカードの取引ですが,申告漏れによって追徴課税をはじめとする多大なペナルティを受けてしまうこともあります。今回は,トレーディングカードの転売によって生じた利益の確定申告を怠り,国税局によって摘発がされた報道事例について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【報道事例】

人気アニメの「トレーディングカード」(トレカ)を転売していた神戸市の男性3人と会社1社が2022年,大阪国税局の税務調査を受け,計約1億円の申告漏れを指摘されていたことがわかった。関係者によると、神戸市に住む男性3人は17~21年,インターネットサイトや中古品販売店で購入したトレカをネットなどで転売。利益を得ていたが確定申告を怠り,計約8000万円の申告漏れを指摘され,無申告加算税を含む計約1900万円を追徴課税されたという。3人は税務調査に対して「申告方法がわからなかった」などと説明したという。
令和5年4月15日付読売新聞オンラインの記事より引用。一部修正)

【事例解説】

脱税申告漏れは,不正の目的の有無によって区別されます。
架空の経費計上や売り上げの一部を除外するといった,意図的な不正の目的があれば脱税となります。これに対して,計算ミスなどによって結果的に納税額が誤っていた場合は,申告漏れとして扱われます。

脱税に該当する場合,単に不足している税金を払うだけでなく,刑事事件に発展することもあります。脱税額が高額に及ぶ場合や,その手法の悪質性が顕著な場合は,国税局による告発と検察官による起訴を通じて,刑事裁判を受けなければならなくなります。刑事事件となった場合は,逮捕や勾留といった身体拘束,高額の罰金や拘禁刑による服役といった刑事処罰を伴うことになります。

報道事例では申告漏れと表現されているため,不正の目的までは国税局によって認定されなかったと考えられます。もっとも,脱税として刑事事件にはならなくても,追徴課税によるペナルティは軽視できません。追徴課税においては,本来納めるべき税金を納付するだけでなく,延滞税加算税といった附帯税が課せられることもあります。

報道事例では,トレーディングカードの転売利益について,そもそも確定申告をしていなかったため,無申告加算税が課せられています。
税務調査後に申告を行った場合,納付しなければならない税金に15パーセントの割合を乗じた額の無申告加算税がかかります。納付する税金が50万円を超えている場合は,超えている部分に20パーセントの割合無申告加算税が課せられます。

【トレーディングカードの取引と申告漏れのリスク】

報道事例のケースでは,トレーディングカードの転売によってかなりの利益を上げていたようですが,結果的には多額の追徴課税を受けています。申告方法がわからなかったという弁明がそのとおりだったとすると,適切に確定申告をしてさえいれば,さらに利益を上げることができていたため,非常にもったいなかったといえます。

副業としても成立する手軽さと,ものによっては大きな利益を上げることができるトレーディングカードの取引は魅力的ではありますが,税金に関する正しい理解を欠いていると,報道事例のように国税局の摘発対象となってしまいます。
今回紹介した事例では申告漏れが問題となっていましたが,同じトレーディングカード関係では,脱税事件として法人税法違反消費税法違反で告発や逮捕がされた報道例も存在しています。
国税局が公表した査察事例の中にも,トレーディングカードの取引に関するケースに言及がされているため,国税局から見ても関心の高い取引分野といえます。

【トレーディングカードの取引で申告漏れとならないために】

トレーディングカードの取引によって申告漏れが指摘されないためにも,専門家による助言やサポートは欠かせません。その際は,税理士によるチェックに加えて,弁護士の関与も重要となってきます。単なる申告漏れで済まず,脱税として刑事事件に発展する可能性があるか否かは,法律の専門家である弁護士の視点や判断も必要となってくるからです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では,刑事事件を専門的に取り扱ってきた経験を活かし,脱税事件となるリスクについても,法律家の観点からアドバイスを行います。初回無料の法律相談はオンライでも対応しておりますので,トレーディングカードの取引で申告漏れとなっていないか不安な方は,弊所までご相談ください。

【事例解説】インフルエンサー,ユーチューバーとしての活動と脱税リスク

2026-04-23
動画投稿者

多数のフォロワーを抱えるインフルエンサーの発信は,SNSの普及もあいまって,社会的に大きな影響力を有しています。現在では一般層にも定着したといえるユーチューバーも,インフルエンサーの一種です。企業案件や広告収入によって収益を得るインフルエンサーですが,その活動が脱税事件として摘発されてしまうリスクもあります。
今回は,実際に脱税事件として摘発されたインフルエンサーの報道事例を基にして,脱税事件となった場合のリスクや予防策について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【報道事例】

著名なインフルエンサーとして活動していた女性に対し,東京地方裁判所は初公判の日程を決めました。女性は約4億9600万円の所得を隠し,法人税や消費税など合わせて1億5700万円ほどを脱税した罪で,昨年12月に東京地方検察庁特捜部に在宅起訴されていました(2月17日付ヤフーニュースの記事より引用。一部修正)。

【事例解説】

本事例は著名なインフルエンサーによる脱税事件として,起訴の時点から大きく報道されていました。既に刑事裁判となっているため,ここまでに国税局による査察調査及び告発,検察庁による起訴がされたことになります。脱税事件の流れについては,こちらの記事もご参照ください。

起訴された時点の報道によりますと,法人の代表でもあったインフルエンサーの女性は,架空の業務委託費を計上する手口で,2021年1月期と24年1月期までの2年間に,計約4億9600万円の所得を隠し,法人税など計約1億2600万円を脱税したようです。
また,2022年2月から2025年1月にかけて,消費税など計約3100万円を脱税したとも報道されています。代表である女性のほか,法人と会社役員2名も起訴されているようです(12月25日付時事ドットコムニュースの記事より引用。一部修正)。

査察調査を経て,悪質な脱税事件と判断された場合は,国税局から検察庁へ告発が行われます。告発後は検察庁による取調べが行われ,ケースによっては逮捕・勾留といった身体拘束を伴うこともあります。検察官が起訴の判断を行った場合は,刑事裁判を受けることになります。本事例では脱税額が高額であったことなどから,告発起訴は免れなかったと考えられます。

本事例では法人税法違反などを理由に起訴がされていますが,法人税法を例に挙げると,脱税事件の罰則については「10年以下の拘禁刑若しくは1000万円以下の罰金に処し,又はこれを併科する」と定められています(法人税法159条1項)。
有罪となった場合,拘禁刑と罰金のいずれも言い渡されるのが一般的です。本事例のように,代表だけでなく法人も起訴されている場合は,法人に対しても罰金処分が科されることになります。

【脱税リスクを避けるためには弁護士に相談を】

ひとたび脱税事件として起訴がされてしまうと,高額な罰金が言い渡されてしまいます。脱税額や手法の悪質性によっては,拘禁刑に執行猶予がつかず,実刑となるケースもあります。また,検察庁への告発がされた時点で,捜索差押えの実施や逮捕・勾留による身体拘束がされるおそれもあります。刑事処罰としての罰金だけでなく,重加算税などのペナルティが科されるリスクも無視できません。

そのため,脱税事件として摘発されるリスクを抱えていないかどうか,専門家による助言を得ることが何より重要となります。ユーチューバーを含むインフルエンサーの場合,その情報発信力がビジネスの根底にあるため,どうしても当局の目につきやすいという問題があります。自分だけは大丈夫だろうという油断は禁物です。

専門家による支援としては,税理士はもちろんのこと,弁護士による支援も欠かせません。特に,刑事事件化する可能性が高いケースでは,検察官との交渉や刑事裁判をはじめ,法律の専門家である弁護士でなければ対応できない局面も少なくありません。事案によっては,高額な罰金をはじめとする刑事処罰を減刑するだけでなく,起訴や告発そのものを回避していく余地もあります。

弁護士法人あいち刑事事件総合事務所では,脱税事件の取扱いに長けた弁護士が,国税局査察部出身の税理士と提携のうえ,状況に応じた弁護活動を展開します。ユーチューバーを含むインフルエンサーとして活動されている方で,脱税事件としての摘発リスクにお悩みの方は,まずは弊所までご相談ください。初回相談はオンラインを含め,無料で行っております。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の特徴を詳しくお知りになりたい方はこちらをご覧ください。

クリニックの脱税はどう処罰される?実刑判決の事例とリスクを解説

2026-04-16
病院

クリニックが脱税するとどうなるかについて弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
今回は、具体的な事例を紹介します。

事例の内容、判決結果等

今回紹介する事例は、平成5年に判決のあった事例で、Aクリニックの名称で泌尿器科、形成外科等を扱う診療所を営む医師であるB氏が、昭和63年から平成元年にかけて包茎手術等により多額の自由診療収入を得たにもかかわらず、それら自由診療収入の一部を除外するなどの方法により所得を秘匿したうえ、虚偽所得税確定申告書を提出して、所得税脱税したという事例です。

本件の脱税額は、2年分の合計で4億8000万余りに上り、ほ脱率も2期通算で約94パーセントと高率でした。また、脱税の態様は、雑誌等の広告により多数の患者を集めて行った包茎手術が自由診療であることから、その手術代の一部を除外したというものであり、B氏自ら経理担当者に指示して、まず発覚しにくい現金払い分を除外し、さらに分割払い分の分も除外した上、金庫や仮名・借名口座を含む数口の預金口座に分散隠匿し、カルテもB氏所有のマンションに隠匿するというものでした。さらに、犯行の動機を見ると、提携診療所の開設の状況や、B氏を実質経営者とする医療関係会社の設立の状況等をみると、B氏の事業欲が脱税の動機の大きな部分を占めているのは否定しがたく、本件犯行の動機に酌量の余地は乏しいものでした。

一方、ほ脱された本件2年分の本税については既に完納され、重加算税等についても相当部分が納付済みであり、現在もB氏は残額の納付に努力していること、B氏は前科前歴もなく、犯行を素直に認めて本件を真摯に反省悔悟していると認められること、B氏は本件で逮捕・勾留され、その他本件の発覚により、既にある程度の社会的制裁を受けていることなどがB氏に有利な事情でした。

判決においては、このようなB氏に有利な諸事情を十分斟酌しても、本件犯行は、その脱税額、ほ脱率、犯行態様・動機等からして、悪質な事案であり、大きな社会的非難を免れないものであるとして、B氏を懲役1年4月及び罰金1億円に処しました(なお、検察官の求刑は、懲役2年及び罰金1億3000万円でした)

自由診療収入の申告と管理について

自由診療クリニックで最も注意すべきは、自由診療収入を正確に申告・管理しているかです。保険診療は制度上、不正が起こりにくい仕組みになっています。一方、自由診療は患者から直接現金やカードで受け取るため、計上漏れや過少計上が発生しやすいと見られています。そのため自由診療が多いクリニックの場合、税務調査の際にも自由診療の売上計上漏れがないかなどについては特に厳しくチェックされる傾向があります。
本件事例は、このようないわば申告に当って不正が発生しやすい自由診療収入を多額に得たことから、悪い気持ちを起こし脱税に及んだ事例と言えるでしょう。

脱税事案では実刑判決もあり得る

本件事例では、実刑判決という重い判決が出ていますが、例えば令和6年度中に1審判決のあった脱税事件99件では、うち13人(約13パーセント)が実刑判決を受けています。この実刑率自体決して低いものとは言えないと思います。一般に、ほ脱額が合計3億円を超える場合には、全額納付しても実刑判決となる場合が多いとも言われており、この点、医療行為の収入は金額が大きいだけに、要注意です。

最後に

クリニックにおいて脱税が疑われた場合には、早期に弁護士に相談し、たとえ起訴されるに至っても実刑判決という重い判決を受けることがないよう、また、そもそも起訴や刑事告発を避けられるよう活動してもらうことが極めて大切です。

クリニックの脱税が発覚したらどうなる?刑事責任・行政処分・手続きの流れを弁護士が解説

2026-03-19
脱税

クリニックが脱税するとどうなるかについて弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

クリニックが支払う税金

クリニックが支払う税金は、その経営形態(個人事業主か医療法人か)によって大きく異なります。主な税金の種類は以下の通りです。

個人事業主の場合(個人クリニックの場合)

所得税:累進課税制度が適用され、所得が高くなるほど税率も高くなります(最大で45パーセント)
個人住民税
個人事業税

医療法人の場合

法人税:所得に応じて一定の税率で課税されます(出資金1億円以下の法人であれば、所得800万円以下の部分は15パーセント、800万円超えの部分は23.2パーセント)
法人住民税
法人事業税

いずれの経営形態でも発生する可能性のある税金

消費税:社会保険診療報酬は非課税ですが、基準期間における自費診療の売上などの課税売上高が1,000万円を超える場合、課税事業者となります。

クリニックが脱税を行った場合

脱税とは、課税される要件があるにも関わらず、これを故意に隠して、課税を免れようとする行為をいいます。
例えば、売上を意図的に除外したり、架空の経費を計上するなどにより、所得を圧縮する行為は脱税です。
この点、所得税法は「偽りその他不正の行為」により所得税を免れ、または所得税の還付を受けた者は、十年以下の拘禁刑若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科すると規定しています(所得税法238条1項)。その他の税目にも同様の規定があります(法人税法159条1項消費税法64条1項等)。

クリニックの場合も、適正に税金を納めなければならないことは当然です。この点、医療行為の収入は金額が大きいだけに、脱税が発覚した際の扱われ方も大きくなりがちで、一般社会に与える影響も大きいものがあります。また、脱税で有罪ということになれば、クリニックの経営そのものが成り立たなくなってしまう危険性があります。
さらには、医師の脱税行為に対しては、医師免許の取り消し、医業停止の処分など、所得税法等の条文に定められている上記刑事処分とは別に厳しい行政処分が科されるというリスクもあります。このような最悪の事態に陥らないよう注意が必要です。

刑事手続

クリニックにおいて脱税が発覚した場合、不納付額が過少の場合には、本来の納税額の納付に加えて、各種加算税等の納付の手続きを経て終結します。
しかしながら、不納付額が多額に上るなど悪質な脱税行為と判断された場合には、税務当局は、検察庁に刑事告発を行うことになります。

脱税の額が1億円になると脱税として刑事告発されると聞くことがありますが、実際にこうした明確な基準があるわけではありません。もちろん脱税の額も一つの基準とはなりますが、態様の悪質性や納税者のこれまでの対応など総合的に判断して、脱税として刑事告発されることになるようです。

刑事告発を受けた検察庁は、クリニックの経営者、経理関係者等を被疑者として取調べ、その後起訴するか否かを決めることになります。
最近では、刑事告発されると約8割から9割の高率で起訴されるに至っています。

また、起訴された場合には、刑事裁判が始まります。
国税局が毎年発表する資料によると、査察事件の第1審判決の状況は、いずれの年もほぼ100%の割合で有罪となっています。このことから一旦起訴されると有罪となる可能性は極めて高いのが実情です。

最後に

既にお話しましたように、ひとたび刑事告発をされてしまうと、極めて高い確率で起訴され、かつ、有罪となるという実情があります。ですから、クリニックが税務調査を受け、脱税が発覚するかもしれない、あるいは、発覚したという場合には、早急に弁護士に相談して刑事告発を避けるための活動をしていくのが極めて重要です。今現在何をどうしてよいかわからない方もとにかく早めに専門家に相談しましょう。

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