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コンサルタント業の脱税事件 よくある手口・税務査察・刑事処分を解説

コンサルタント業の脱税は、現金商売だから起きるというより、無形の役務・紹介料・成功報酬・業務委託費を使って、実体の薄い費用や損失を作りやすいことに特徴があります。
最近の公表事例でも、架空外注費、架空の事業損失による還付、不正な「節税スキーム」の販売、そして単純無申告が繰り返し出てきます。
税務当局は資料情報の収集やAI活用を強めており、令和6事務年度の追徴税額は、法人税・消費税で3,407億円、所得税で1,431億円、個人事業主の消費税で421億円に達しました。
悪質事案は査察から刑事事件化することがあり、令和6年度に第一審判決が出た査察事件は99件すべて有罪、実刑判決は13人でした。
したがって、コンサル業の経営者や個人コンサルタントにとって重要なのは、「少しぐらい説明できるだろう」ではなく、証拠で説明できるかを常に基準にすることです。
実務上の分岐点は、税務署や国税局から接触がある前に、自主的な修正・証拠整理・説明方針の設計ができるかどうかです。
事前通知前の自主修正であれば過少申告加算税がかからない場面があり、逆に調査後や仮装・隠蔽が認定されると、重加算税や延滞税が重く積み上がります。
しかも、いったん査察・告発の土俵に乗ると、告発事件のほぼ100%が起訴されており、近年の第一審有罪率もほぼ100%です。
このため、経営の問題として見ても、弁護士と税理士を早期に並走させることが、金銭面・刑事面・信用面の損失を最小化する現実的な対応になります。
よくある手口
公表事例を整理すると、コンサルタント業の脱税は、概ね 売上除外・無申告型、架空委託費・架空外注費型、架空損失・不正還付型、脱税スキーム販売型 の四つに収斂します。
売上除外・無申告型では、借名口座や個人口座を使って売上の帰属先をぼかし、確定申告自体をしない、又は一部だけを申告する方法が典型です。
架空委託費・架空外注費型では、実体の乏しい業務委託契約や請求書を作り、利益を圧縮します。
架空損失・不正還付型では、存在しない事業損失を給与所得と損益通算したり、虚偽の輸出や仕入れを作って還付を受けたりします。
さらに悪質なのが脱税スキーム販売型で、自社の脱税にとどまらず、顧客に「節税」と称して虚偽経費計上や還付スキームを売り込む類型です。
国税当局の近年の公表では、こうした仮装・隠蔽を伴う事案が「社会的波及効果の高い事案」として重点告発の対象になっています。
| 金額規模の目安 | 目立つ傾向 | 典型的な仕組み |
| 数百万円〜数千万円 | 単純無申告、売上除外 | 申告書を出さない。通帳・現金管理を意図的にずらす。 |
| 数千万円〜1億円前後 | 架空委託費、架空外注費 | 契約書・請求書を先に作り、実体のない費用で利益を圧縮する。 |
| 1億円超・複数社化 | 脱税指南、還付スキーム、複数法人利用 | 他社へスキームを販売し、波及効果の高い案件として査察対象になりやすい。 |
上の表は、近年の公表事例をもとに整理したものです。
小規模では「申告しない」「売上を隠す」といった単純型が目立つ一方、金額が大きくなるほど、請求書・契約書・複数法人・還付申告まで組み合わせたスキーム型に移る傾向が読み取れます。
特にコンサル業では、成果物の有無が曖昧なまま「顧客紹介」「営業支援」「戦略助言」「継続手数料」で処理されやすく、実体確認が甘いと費用否認・重加算税認定に直結しやすい点が危険です。
危険信号としては、①委託費の相手先に実体や成果物がない、②売上と銀行入金の月次突合が合っていない、③セミナーで紹介された「節税スキーム」を第三者レビューなしで採用している、④経営者が申告書を読まずに提出している、⑤電子データの保存が弱く、やり取りや証憑が後から再現できない、という状態が挙げられます。
電子取引データについては、隠蔽・仮装があると重加算税がさらに10%加重される制度も整備されており、デジタル証憑の軽視は以前より危険になっています。
最近の実例
| 事案名/年 | 手口 | 発覚経緯 | 処分・判決 | 罰金・刑罰 |
| 所得税不正還付の脱税指南者事案/2025公表 | 架空の事業損失を計上し、給与所得と損益通算させて源泉所得税の還付を受けさせた。経営コンサル法人代表者が虚偽申告書を作成・交付。 | 査察公表 | 告発。判決は現時点で未確認。 | 公表資料では未記載。 |
| 顧問税理士が架空外注費等を指南した脱税請負人事案/2025公表 | 顧問先法人2社に架空外注費等を計上させ、法人税・地方法人税を免れさせた。指南者は脱税手数料も取得。 | 査察公表 | 告発。判決は現時点で未確認。 | 公表資料では未記載。 |
| 「節税」と称する虚偽経費スキームの脱税請負人事案/2024公表 | 虚偽の経費を計上するスキームを「節税」と称して広く勧誘し、利用法人に法人税・消費税を免れさせた。 | 査察公表 | 告発。判決は現時点で未確認。 | 公表資料では未記載。 |
| 脱税指南コンサルタント会社の単純無申告ほ脱事案/2021公表 | 異業種交流会や節税セミナーで顧客を集め、脱税指南で得た所得に係る法人税・消費税を認識しながら確定申告をしなかった。 | 査察公表 | 告発。 | 公表資料では未記載。 |
| 「節税」名目で約300社に経費計上スキームを販売したコンサル事件/2024〜2025報道 | 取次業務等の委託費名目で資金を流し、経費一括計上と後日の分割返還をうたうスキームを販売したと報道。 | 2024年に東京地方検察庁特別捜査部が逮捕・起訴と報道。 | 初公判で被告は起訴内容を認めたと報道。判決は現時点で未確認。 | 公判継続中として不詳。 |
これらの事例から見えるのは、「自分で脱税する」事件と、「脱税の方法を売る」事件が地続きであるということです。
コンサルタント業は、契約書・請求書・成果物の形だけを整えやすい反面、実体の裏付けが弱いと、費用否認だけでなく「最初から仮装・隠蔽の意思があった」と認定されやすくなります。
特に近年は、単純な売上除外だけでなく、還付申告や多社展開スキームなど、波及効果の大きい案件が優先的に刑事化されている点を読み落としてはいけません。
発覚後の影響
脱税が疑われたとき、最初に起こるのは税務署・国税局による情報収集と調査です。
税務調査は原則として事前通知がされますが、課税の公平確保の観点から一定の場合には事前通知なしもあり得ます。
また、悪質な脱税については、通常調査ではなく査察調査に移り、税金を納めさせるだけでなく、刑事罰を科すための証拠収集が行われます。
令和6事務年度には、所得税・個人消費税の調査等は73万6千件、非違は36万9千件、追徴税額は1,431億円、法人税・法人消費税の実地調査による追徴税額は3,407億円で直近10年最高となっており、「見つかる前提」で備えるべき局面に入っています。

実際の流れは個別事案で異なりますが、上の図がコンサル業の脱税が深刻化した場合の典型像です。
通常調査の段階で自主修正と納付に進めるか、査察・告発に進んでしまうかで、会社と経営者のダメージはまったく違います。
社会的信用への影響は、税額よりも長く尾を引きます。
国税当局は査察を「一罰百戒」の制度として運用しており、社会的波及効果の高い事案を積極的に告発すると明言しています。
つまり、いったん公表・報道されると、検索可能な形で社名・役職・取引スキームが残り、採用、営業、リファラル、提携にまで影響が広がりやすいということです。
取引先・契約への影響も現実的です。
コンサル契約や業務委託契約では、法令遵守条項や表明保証条項が置かれることが多く、修正申告や告発が生じると、相手方への説明義務、支払留保、解除事由、損害賠償請求の論点が一気に出ます。
報道事例では、舞の海秀平側が修正申告と追徴を余儀なくされ、紹介元として野村證券や南青山FASを相手取る損害賠償訴訟に発展したと報じられましたものもあります。
脱税スキームは税務問題で終わらず、民事紛争・信用紛争へ連鎖すると理解すべきです。
経営リスクとしては、追徴課税による資金流出だけでなく、役員の時間の拘束、社内関係者ヒアリング、証拠保全、PC・スマートフォンのデータ整理、金融機関対応など、日常業務そのものが毀損します。
しかも、延滞税は本税に対して日数で増え続け、税額が確定した時点で資金が残っていなければ差押えや滞納処分の話に接続します。
「払えば終わり」ではなく、資金繰り・信用・法務が同時に悪化するのが、脱税発覚の本当の怖さです。
予想される刑事処分
典型的なほ脱犯については、所得税法・法人税法・消費税法で、10年以下の拘禁刑(旧・懲役)又は1,000万円以下の罰金、又はその併科という重い枠組みが置かれています。
同種の規定では、免れた税額が1,000万円を超える場合に、情状により罰金上限を税額相当まで引き上げ得る建付けも見られます。
一方、同じ無申告でも、単なる提出漏れより、架空計上・借名口座・帳簿廃棄・虚偽申告書の作成のような偽計・工作を伴う方が、刑事処分の中心になります。
起訴・不起訴について、公表された一律の金額基準は確認できませんでした。
もっとも、国税当局は査察制度の対象を「悪質な脱税者」と明言し、令和5・6年度も、消費税不正還付、無申告、国際事案、社会的波及効果の高い事案を重点的に告発しています。
そのため、実務上は、①仮装・隠蔽が明白か、②金額が大きいか、③反復継続性があるか、④他人への指南・販売があるか、⑤還付スキームや国際送金が絡むか、⑥発覚後の説明・納付姿勢がどうか、が重要な判断要素になるとみるのが妥当です。
特にコンサル業で「自分だけでなく顧客多数に広めた」場合は、波及効果の高さから刑事化のリスクが一段上がります。
執行猶予の傾向については、拘禁刑(旧懲役)には大部分が執行猶予付きとされています。
ただし、最近の査察判決でも実刑は継続しており、令和5年度は9人、令和6年度は13人に実刑判決が出ています。
令和6年度中に判決が出た事例では、他犯罪併合を除いても、消費税不正還付事案で懲役2年6月の実刑が紹介されています。
したがって、「初犯なら必ず執行猶予」という理解は危険で、消費税還付、不正スキーム販売、多額・多年度・組織的関与のある案件では実刑可能性を現実的に見ておくべきです。
税務上のペナルティ
税務上の負担は、本税だけでは終わりません。
修正申告・更正・決定によって不足税額が確定すると、行為態様に応じて過少申告加算税、無申告加算税、重加算税が付き、さらに本税に対して延滞税が日数計算で加わります。
しかも、帳簿の提示・提出をしなかった場合や、帳簿の売上記載が著しく不十分だった場合には、加算税がさらに上乗せされます。
コンサル業のように電子契約・チャット・クラウド請求書を多用する業種では、証憑管理が弱いほど不利です。
| 項目 | 原則・税率の目安 |
| 過少申告加算税 | 事前通知前の自主修正は原則なし。事前通知後の修正は5%(大きい部分10%)。調査後又は更正は10%(大きい部分15%)。帳簿不提示等でさらに+5〜10%。 |
| 無申告加算税 | 事前通知前の自主申告は5%。事前通知後は10%/15%/25%。調査後・決定後は15%/20%/30%。繰り返しの無申告等で+10%。帳簿不提示等でさらに+5〜10%。 |
| 重加算税 | 仮装・隠蔽があると、過少申告等に代えて35%、無申告に代えて40%。過去5年以内に同種加算税歴がある場合は45%/50%。 |
| 延滞税 | 本税だけに課税。令和4年〜令和7年は、納期限の翌日から2か月まで年2.4%、その後は年8.7%。 |
上の表は国税通則法ベースの主要部分を簡略化したものです。
実際には税目、提出時期、帳簿状況、前歴、還付の有無で動きますが、コンサル業の脱税で問題になりやすい論点はほぼこの範囲に入ります。
簡易計算例として、まず「架空外注費の計上で本税1,000万円、仮装・隠蔽あり、納期限から180日後に納付」という想定を置くと、重加算税は350万円です。
延滞税を令和4年〜令和7年の割合で単純計算すると約32.4万円となり、本税1,000万円が約1,382.4万円まで膨らみます。
さらに過去5年内に重加算税歴があれば、重加算税は45%まで加重されるため、納付額は一段と重くなります。
次に「無申告で本税600万円、税務署の調査後に期限後申告」という想定では、令和6年1月1日以後に法定申告期限が到来するもののルールに従うと、無申告加算税は 50万円まで15%、50万円超300万円まで20%、300万円超部分30% なので、概算で147.5万円です。
したがって、本税と無申告加算税だけで747.5万円となり、ここに別途、延滞税が加わります。
「後から出せばいい」という考え方が危険なのは、この増え方にあります。
時効・更正の流れについては、納税者側の更正の請求は原則として法定申告期限から5年です。
税務署側の更正も原則5年がベースですが、悪質な不正については7年を前提に論じられる実務資料・裁判例があり、少なくとも7年分の説明資料を用意して対応するのが安全です。
また、法人の帳簿・契約書・領収書等は原則7年保存で、欠損金が生じた一定事業年度は10年保存です。
コンサル業では、契約書だけでなく、成果物、議事録、メール、チャット、納品データまで保存しないと「実体」が立証できません。
弁護士を入れるメリット
弁護士を入れる最大のメリットは、初動で「税務問題」と「刑事問題」を切り分けられることです。
税務調査前の自主修正で加算税の重さが変わる以上、最初にやるべきことは、慌てて説明することではなく、事実関係、証憑、資金の流れ、関係者の供述リスクを整理することです。
特にコンサル業では、後から作ったように見える契約書や成果物が逆効果になる場面もあるため、証拠の作り直しではなく、現存証拠を前提にどこまで修正・納付・説明するかを設計する必要があります。
ここで弁護士が入ると、発言や文書提出が将来の刑事事件でどう評価されるかを見ながら、税理士と連携して損害の拡大を止めやすくなります。
二つ目のメリットは、並行する民事・刑事クレームへの対応です。
脱税スキームを「節税」として販売していた場合、税務署対応だけでは終わらず、顧客からの返金請求、損害賠償請求、場合によっては詐欺・背任系の告訴相談まで視野に入ります。
報道事例でも、紹介を受けた側が修正申告と追徴を迫られたうえ、紹介元・関連会社に対する損害賠償訴訟へ進展しています。
弁護士は、示談、返金スキーム、広報方針、社内処分、被害申告の封じ込めを一体で扱える点が、税理士だけでは代替しにくい強みです。
三つ目のメリットは、査察・告発後の防御力です。
国税庁の歴史資料では、告発事件のほぼ100%が起訴とされ、最近の第一審有罪率もほぼ100%です。
つまり、査察・告発に入ってから「説明すれば何とかなる」余地は狭く、やるべきことは、争点の絞り込み、被告人・法人の役割分担整理、納付や被害回復の見せ方、情状資料の提出などに変わります。
執行猶予の可能性を少しでも残すためにも、告発前から弁護士が関与しているかどうかは、現実には大きな差になります。
弁護士に依頼する際の準備書類チェックリストとしては、最低限、次をまとめておくと動きが早くなります。
• 直近3期分程度の申告書一式(法人税、消費税、所得税、源泉関係を含む)。
• 総勘定元帳、試算表、補助元帳、現金出納帳。
• 会社・個人の通帳、クレジットカード明細、入出金一覧。
• 問題になりそうな契約書、請求書、発注書、成果物、メール、チャット履歴。
• 税務署・国税局から届いた通知書、質問書、電話メモ。
• いつ、誰が、何を決めたかが分かる時系列メモ。
これらは、税務署が確認する帳簿書類や修正申告の前提資料と重なっており、弁護士・税理士の双方が最初に欲しい資料でもあります。
「あとで出せばいい」と散逸させるのが最も悪手です。
予防策とコンプライアンス体制
予防の基本は、証憑と実体を同時に残すことです。
コンサル業では、契約書と請求書だけでは足りません。
誰に、いつ、何を、どの範囲で、どの成果物として提供したのかが分かる、提案書、議事録、作業ログ、納品データ、チャット、メールを案件ごとに束ねて保存する必要があります。
法人の帳簿・関係書類は原則7年保存であり、税務上の説明責任から見ても、案件別フォルダ管理は事実上の必須対応です。
内部統制としては、①売上計上を経営者以外もチェックする月次締め、②委託費・外注費の支払前に相手先実在性と成果物を確認する承認フロー、③関連当事者取引や代表者個人口座への入出金を別表で管理するルール、④「節税商品」「スキーム提案」は必ず外部専門家レビューを通す仕組み、の四つが実効的です。
コンサル業は少人数経営が多く、代表者一存で処理が進みがちですが、まさにその構造が公表事例の温床になっています。
「専門家に勧められたから安全」とは言えず、最近は税理士自身が顧問先へ架空外注費計上を指南した公表事例まであります。
記帳・証拠保全の面では、紙と電子の両方を前提にすることが重要です。
電子取引データについては、隠蔽・仮装があると重加算税が10%加重される制度があり、クラウド請求書、PDF契約、オンラインバンキングのスクリーンショット保存を軽視すると、後から不利になります。
特に外注費、紹介手数料、成功報酬、継続手数料は、「何の対価か」を一文で説明できるかを毎月確認すべきです。
説明できない費用は、税務上は費用ではなく、後日の重大リスク候補です。
顧問税理士の役割は、申告書を作ることだけではありません。
月次で数字の異常を拾い、委託費・還付・海外送金・関連当事者取引の危険信号を早期に経営者へ伝え、必要に応じて申告前に修正や追加証憑を求めることが、本来の価値です。
ただし、税理士がいれば自動的に安全になるわけでもありません。
経営者側が「売上を出していない」「実体のない請求書を通した」と分かっていながら押し切れば、防げません。
結局のところ、最大の予防策は、売上・費用・資金移動のそれぞれについて、経営者が自分の言葉で説明でき、しかも証拠で裏付けられる状態を平時から作ることです。
医師の確定申告で必要経費になるものは?具体例と申告時の注意点を解説

医師として働く中で、確定申告は避けて通れない重要な業務のひとつです。特に開業医やフリーランスの医師の場合、「必要経費」を正しく理解できないと、正しい税申告ができないことになります。今回は、医師の確定申告における必要経費について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
1 必要経費とは?
必要経費とは、「収入を得るために直接必要だった支出」のことを指します。医療行為や診療所の運営に関係する費用であれば、基本的に経費として計上可能です。
2 医師が計上できる主な必要経費
① 医療機器・備品費
診療に必要な医療機器(聴診器、超音波装置など)やパソコン、プリンターなどは経費になります。
ただし、高額なものは減価償却が必要となりますので注意が必要です。
② 学会・研修費
学会参加費や交通費、宿泊費などはスキル維持・向上のための支出として経費にできます。
③ 書籍・情報収集費
医学書や専門誌、オンライン教材なども対象です。
④ 交通費・出張費
往診や出張診療、学会参加の移動費用は経費として認められます。
⑤ 事務所・クリニック関連費
家賃、光熱費、通信費など。自宅兼事務所の場合は按分が必要です。
⑥ 人件費
看護師や事務スタッフへの給与、社会保険料なども重要な経費です。
⑦ 保険料
医師賠償責任保険など、業務に関連する保険は経費になります。
3 注意すべきポイント
・プライベート(いわゆる仕事と関係のない消費)との区別を明確にする
・領収書や記録を必ず保管する(保管義務があるためです)
・高額資産は一括経費にできない場合がある
4 よくあるNG例
・家族旅行を「学会」として計上
・私用スマホ料金を全額経費化
・仕事と関係のない飲食費の計上
これらは税務調査で否認される可能性があるため注意が必要です。
5 まとめ
必要経費を正しく理解し、適切に申告することは非常に重要です。
もし、自身で申告を行うことに自信のない場合には、税理士や弁護士に依頼することをお勧めします。
もし、正しく申告できていない場合には、様々なペナルティが課される可能性があります。
①無申告加算税
収入があるにも関わらず、確定申告をしていなかった場合には、無申告加算税が課されることになります。
②重加算税
確定申告をしておらず、収入があるなどの重要な事実の一部を仮装、隠ぺいした場合には、無申告加算税にかえて重加算税が課されます。
③延滞税
確定申告の期限までに申告していない場合、税務調査等の結果、税金納付の期限を決められて、その日までに納税をしなければならなくなります。
この場合、納付した日までの延滞税を別途支払わなければならなくなります。
④刑事罰
確定申告をしていない金額が高額であったり悪質性が高いと考えられる場合には、告発をされて刑事事件化する場合があります。
この場合には、捜査を受けることになりさらには刑事裁判を受けて前科が付いてしまうことおそれがあります。
最後に
バレない等と考えていると、いざ税務調査などが入った時に、上記のような重い処分を受けてしまう可能性があります。
確定申告をしていない場合には、早めに確定申告をしましょう。
どうしても良いか分からない場合には、いずれにしても、税理士や弁護士に早めに相談されることをお勧めします。
贈与税とはどんな税金?課税の仕組みと申告義務・ペナルティを解説

贈与税はどのような時にかかるのか。どのような税金なのか。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
贈与税はどんな時にかかるのか
例えば、XさんとYさんがいたとします。
贈与税は原則として、XさんからYさんに財産が無料で移った時にかかります。
財産を贈与する場合、XさんやYさんが普通の個人である場合も法人(会社など)の場合もあると思いますが、今回紹介する贈与税がかかるのは、XさんYさんともに法人でない個人の場合になります。
贈与税は誰にかかるのか
例えば、AさんからBさんがともに個人の場合、AさんがBさんにお金をあげたような場合には、贈与税がかかってくることになります。
贈与税は、現金をもらった人、例の場合であればBさんにかかってくることになります。
今までの話を総合すると、贈与税は財産をもらった側の個人(会社などの法人でないもの)にかかってくることになります。
贈与税はなぜかかるのか
まず、ある人が亡くなると、その人の持っていた財産に相続税がかかります。
相続税の額は、対象となる財産の額によって決まります。
そうすると、相続税をできるだけ抑えようとするには、ある人が亡くなる直前に持っている財産をあの親族に贈与してしまえば、かかる相続税の額を安くできそうに思えます。
しかし、そこで贈与税が問題となってきます。
その上、この贈与税は、相続税よりも高い税率となっています。
このような制度上、相続税を安くするために贈与をして相続税の対象の財産を減らそうとしても、かえって不利益となってしまうことになります。
どのくらいの額の財産の贈与に贈与税がかかってくるのか
結論から言えば、贈与を受けた財産の額が110万円を超える場合には、贈与税がかかってくることになります。
逆に言えば、もらった額の金額が110万円以下の場合には、贈与税はかからないことになります。
ちなみに、もらった額の金額が110万円以下というのは、1月1日から12月31日までの1年間でもらった財産の合計額が、110万円を超えない場合をいいます。
なぜかというと、贈与税には110万円の基礎控除額というものがあるからです。
110万円の基礎控除額は、1月1日から12月31日までの1年間に貰った財産の合計額からマイナスすることになります。
手続きについて
このように、もし1年間で110万円以上の財産を譲り受けた場合には、正しく申告をすることが必要になります。
以上で解説したルールが贈与税の基本的なものになります。
しかし、贈与税は、ここで解説したルール以外にも多くの細かいルールがあります。
もし、自身で申告を行うことに自信のない場合には、税理士や弁護士の依頼することをお勧めします。
もし、正しく申告できていない場合には、以下のように、様々なペナルティが課される可能性があります。
①無申告加算税
収入があるにも関わらず、確定申告をしていなかった場合には、無申告加算税が課されることになります。
②重加算税
確定申告をしておらず、収入があるなどの重要な事実の一部を仮装、隠ぺいした場合には、無申告加算税にかえて重加算税が課されます。
③延滞税
確定申告の期限までに申告していない場合、税務調査等の結果、税金納付の期限を決められて、その日までに納税をしなければならなくなります。
この場合、納付した日までの延滞税を別途支払わなければならなくなります。
④刑事罰
確定申告をしていない金額が高額であったり悪質性が高いと考えられる場合には、告発をされて刑事事件化する場合があります。
この場合には、捜査を受けることになりさらには刑事裁判を受けて前科が付いてしまう可能性があります。
最後に
バレない等と考えていると、いざ税務調査などが入った時に、上記のような重い処分を受けてしまう可能性があります。
確定申告をしていない場合には、早めに確定申告をしましょう。
また、正確でない知識で正しくない内容を申告してしまうと、税務署に嘘の内容の申告を意図的にしたと捉えられることもあります。
どうしても良いか分からない場合には、いずれにしても、税理士や弁護士に早めに相談されることをお勧めします。
【ブロックチェーン取引の課税リスクと刑事化の落とし穴】について弁護士が解説します!
ブロックチェーン取引の課税リスクと刑事化の落とし穴
はじめに
暗号資産の売買や交換、NFTの取引は、思った以上に課税関係が複雑です。
計算方法や保存書類を誤ると、過少申告や無申告とみなされ、加算税や延滞税の対象になってしまいます。それだけでなく、悪質な過少申告や無申告と評価されれば、査察や告発など刑事手続きに発展するおそれもあります。ブロックチェーン取引の課税リスクと刑事化の落とし穴について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事例
会社員X(35歳・名古屋市在住)は、国内外の取引所3社を併用し、さらにDeFiでレンディング報酬とNFT転売益を得ていました。
Xは暗号資産同士の交換は非課税だと誤信し、帳簿も作らず、ある年分の確定申告をしていませんでした。
翌年、銀行口座への大口入金と取引所からの情報提供が契機となり、税務署からお尋ねが届きました。
取引履歴はCSVが混在し、手作業で集計したが売買と交換、NFTガス代の計上漏れが判明しました。
結果、無申告加算税と延滞税の賦課が視野に入り、反面調査の結果次第では重加算税や査察の対象となる可能性が示されました。
Xは慌てて過去データの復元と修正申告を試みたが、DeFiウォレットの入出金整合がつかず、説明不能な差額が残ってしまいました。
(事例はフィクションであり、実在の依頼者、その他個人、会社、団体とは一切関係ありません。)
暗号資産課税の基本
暗号資産はブロックチェーン上の価値記録です。
売却、他の暗号資産への交換、商品購入で利益が出ると課税されます。ステーキングやマイニング等で得たトークンも原則課税です。
課税の時期は売却や引渡しの年分が原則であり、個人の所得区分は原則「雑所得」です。ただし、収入が三百万円超で帳簿保存がある等の事情では事業所得や業務に係る雑所得となることがあります。
課税漏れが発覚する理由
情報の露見は、複数のルートで生じます。
国内の暗号資産交換業者は本人確認と取引記録の保存義務があり、当局の照会に応じる体制です。
疑わしい取引の届出やブロックチェーン分析により、ミキサー経由等の移転も把握され得ます。そして、 銀行の大口入出金やカード決済、送金記録から、購入や換金の痕跡が浮上します。それだけでなく、海外口座や海外取引所の利用は、租税条約に基づく情報交換により把握されることがあります。
刑事手続きに移行する場合
税務調査で誤りが見つかると、修正申告により「過少申告加算税」(原則10%、多額なら15%)が賦課されます。 ただし、調査の事前通知前に自主是正すれば、過少申告加算税は不適用です。 期限内に申告していないと「無申告加算税」が課され、事前通知前10%、通知後15%、さらに納付税額が増えると20〜30%へ上がります。
延滞税も併科されます。
また、帳簿の不提出や売上の大幅不記載があると加重措置の対象となり、仮装・隠蔽があると「重加算税」(35〜40%)の対象になります。
事案が悪質と判断されると、査察に移行し、検察へ告発され、起訴の可否が検討されます。 令和6年度の査察は告発率65.3%と公表されています。
したがって、初動で資料復元と説明方針を整えることが重要です。
最後に
上に挙げた通り、暗号資産の売買や交換、NFTの取引は、思った以上に課税関係が複雑です。正しい知識を有していないのにもかかわらず、我流で確定申告をしてしまうと、上に挙げた事例のように、刑事事件となってしまう可能性が出てきてしまします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件を中心として扱っていますが、税法についても知識のある弁護士がそろっています。初回の相談は無料ですので、一度ご相談にお越しください。
【制度解説】更正処分に不満があるときには

更正処分に不満がある場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
1 国税に関する処分に不満があるときには
たとえば、個人事業主Aさんが、確定申告をしたところ、その申告書の記載が法律に従っていないとして、税務調査を受け、その後、税務署から更正通知書というものが届きました。
更正通知書には、ごく簡単にいえば、既に行った税務申告に関し、法に照らし適切な税金にどれくらい足りない(または余分)などといったことが記載されています。
Aさんは、自身に届いた更正通知の内容に、不満がある場合、「不服申立て」を行ったり、「税務訴訟」を起こすことができます。
2 不服申立て、税務訴訟の違い
国税に関する処分について、納得がいかない場合、「不服申立て」を行うことができます。
ごく簡単にいえば、税務署長等に、再検討するように申立てをすることをいいます。
これに対し、「税務訴訟」とは、その呼び方からも想像できるように、更正処分の取消しなどを、裁判所に判断してもらうことを求めることをいいます。
不服申立てにおいては、処分の違法性だけではなく、不当性を争うことができます。
これに対し、税務訴訟では、処分の違法性のみを争うことができるにとどまります。
そこで、Aさんとしては、更正処分のうち、どのような部分に不満があり、それが処分の違法性として構成できるのか、不当性として構成できるにとどまるのか、はたまた、違法性、不当性いずれも認められないかを判断する必要があり、ここに、税理士や税理士業務を行うことができる弁護士が介入する余地があります。
3 不服申立前置主義
税務訴訟は、原則として、不服申立て(正確には、「審査請求」)を行い、その判断を受けた上でのみ起こすができるとされており、これは不服申立前置主義と呼ばれます(国税通則法115条1項)。
なお、不服申立前置主義にも一定の例外があります。
先ほど説明したような、処分の違法性や不当性といった実体上の問題だけではなく、手続上の問題もあります。
また、税務訴訟においては、自身で対応するか、弁護士に依頼する必要もあります。
こうした手続に関しての問題についても、事案に応じて、どのような手続を選択するか、適切に判断する必要があります。
4 最後に
更正処分がなされ、それに対して不満がある場合、その主張が認められる可能性がどれほどあるのか、どのような手続を選択するべきかなど様々な点について、税理士や弁護士のアドバイスが必要になってきます。
また、更正処分はあくまで適切な税金を納めていないことに対するペナルティであることに対し、事案によっては更正処分とは別に、脱税事件として刑事処分を科される可能性があるものもあります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、脱税事件に強い弁護士が所属し、多数の脱税事件を取り扱っています。更正処分を受けたので今後のことを聞きたい、脱税事件として取り扱われる可能性があるのかどうか不安に思っているという方は、初回の相談は無料ですので、お気軽にお問い合わせください。
【捜査解説】脱税事件における共謀共同正犯について詳しく解説

脱税事件における共謀共同正犯について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が具体例を交えながら詳しく解説します。
共謀共同正犯の具体例
会社の実質的経営者Aとその会社の名義上の代表取締役で経理を担当していた者Bとの間で法人税の脱税をすることについて概括的な通謀がなされて、その通謀に基づいてBらが虚偽申告などの脱税行為に及んだ場合は、必ずしもAにおいて虚偽申告の内容を逐一認識していなくても、法人税の脱税につき共謀共同正犯が成立します。
共謀共同正犯の捜査
上記事例のように、法人内部において、その事業等の全般にわたって実質的経営者と経理全般を担当している者との間で、共謀の有無を争うということはよくあるケースであり、そのほとんどが、実質的経営者が経理担当者に任せていたので細かいことは知らないなどとする共謀の否認です。
このようなケースでは、検察官は「実質的経営者は、その事業等による年間の所得等を前提に資金繰りや自らの生活設計等を行っているはずであるから、その事業等から生じる所得とこれに対する税額に無関心であるということは極めて希であるはずである。したがって、このような立場の者が経理担当者との共謀を否認するのは、自己の刑事責任を回避しようとしているに過ぎない。」と考えます。
そこで、まずは、実質的経営者が、まさに実質的経営者である証拠として、当該事業等から生ずる所得が同人の利得となっている金の流れについての証拠を確保し、その経営者性を明確にします。
その上で、
⑴経営者に脱税の動機があること、
⑵経営者が税の申告を含む事業遂行上の重要事項について指示・承諾を与えていたこと、
⑶脱税に関して経営者と経理担当者らの利害が共通していたこと、
⑷経営者においても経理担当者らによる個々の不正経理を認容していた状況があること、
⑸経営者も不正経理によって生じた簿外資産の管理・処分等に関与していたこと
などの情況証拠を積み上げていき共謀の事実を認定していきます。
共謀共同正犯を疑われたら
仮に、経理担当者が単独で会社財産を横領するなどして、その結果を隠ぺいするなどのために不正経理をした結果、申告内容に誤りが生じていたような場合であれば、捜査機関に早急に事実関係を説明して対処する必要があります。
また、脱税の指示について概括的にでも経理担当者に指示を出し、その結果について報告を受けていたとなると、個々の具体的な不正経理についての認識が薄くても共謀を争うことは難しい場合もありますので、ケースバイケースで、国税当局や捜査機関に対する対応を考えていく必要があります。
脱税事件による共謀の成否に関しては、国税当局や検察がどのような証拠をどこまで収集できたか、また、それらの証拠収集の適法性などに問題がないかなど事実認定上の又は法律上の高度で専門的な判断を要します。こうした脱税事件の公判に対応していくためには、これらのことに精通した弁護士に依頼することが必要となります。脱税事件の流れはこちらhttps://datsuzei-bengoshi.com/datuzei_nagare/
あいち刑事事件総合法律事務所には、これらのことに精通した弁護士が多数在籍しております。このような事態にいたったときは、是非、弊所にご相談ください。
【捜査解説】損益計算法による立証(いわゆるPL立証)について詳しく解説

損益計算法によるPL立証について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が具体例を交えながら詳しく解説します。
損益計算法による立証(PL立証)とは
損益計算法による立証、いわゆるPL立証は、課税対象期間に発生した収益とこれに関する費用・損失について、親告金額と対ししてその増差計算をすることにより、その期間における逋脱所得金額を計算する方法です。
この方法によると所得の発生源が個別的に表示され、逋脱所得の成り立ちが明らかになりますが、取引の原資記録としての契約書や売上伝票等が破棄されたり、それらの電子データが改ざんされたりしていると、それらを補完する資料がなければ正確な損益計算を行って逋脱所得額を算出することは困難になります。
ですから、PL立証は収益と費用等の全容を確定できる証拠が存在することによって可能となるものなのです。
基本的には、
⑴ 正規の決算書類データ等が残されている場合
⑵ 裏帳簿データなど実際の取引が判明する書類等が残っている場合
⑶ 帳簿書類等のデータが完全になくとも、それと同程度に立証が可能な証拠が残っている場合
⑷ 間接証拠の積み上げにより収益と費用等を合理的に推計できる場合
においてPL立証が可能とされています。
修正損益計算書とは
PL立証においては、実際の所得金額を表す損益計算書と申告所得金額を表す損益計算書とを組み合わせて、各勘定科目ごとに脱漏部分を表示する一覧的な損益計算書を作成して逋脱所得額を計算しています。捜査実務では、このような損益計算書を修正損益計算書と呼んでいます。
この修正損益計算書は、起訴後、検察官の冒頭陳述で逋脱所得の内容をなす個々の勘定科目の内訳を記載した逋脱所得の内容説明及び税額の算出過程を示す穂脱税額計算書とともに公判に提出され、これに基づいて立証が行われます。
脱税事件で捜査を受けた場合には
脱税事件で起訴された場合、一般事件と比べ、上記のとおり、検察側の立証は、非常に専門的で技術的なものになります。こうした高度な専門性・技術性を要する脱税事件の公判に対応していためには、これらのことに精通した弁護士に依頼することが必要となります。刑事事件の流れはこちらhttps://datsuzei-bengoshi.com/muzai/
あいち刑事事件総合法律事務所には、これらのことに精通した弁護士が多数在籍しております。このような事態にいたったときは、是非、弊所にご相談ください。
不正軽油は脱税!
不正軽油について、なぜ脱税にあたるのか、どのような罰則があるのかについて弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
不正軽油とは
不正軽油とは、都道府県の承認を受けずに軽油に灯油や重油等を混ぜた油などをいいます。
不正軽油は、製造することや販売することはもとより、不正軽油と知って購入することや使用することも禁止されており、罰則があります。
不正軽油は脱税行為であるだけでなく、大気汚染の原因となったり、人体への悪影響を及ぼしたり、石油製品販売業・運輸業・建設業等の公正な市場競争を阻害したり、エンジンの不具合・損傷の原因となったりするため、各都道府県では抜き打ち調査を実施したりするなど、厳しく規制しています。
不正軽油は脱税目的
不正軽油は脱税目的で製造販売されています。
なぜ脱税になるのでしょうか。
軽油の引き取り、販売、消費した場合には、「軽油引取税」を納税する必要があります。
軽油引取税は、地方税の一種で、1キロリットル当たり32,100円の税率が定められています。
軽油の販売業者は、軽油の元売り業者から軽油を引き取る際に引き取った軽油の量に応じた軽油引取税に当たる金額を元売り業者に支払う必要があり、元売り業者が毎月末日までに前月分を取りまとめて税務署に申告し納税することになります。
軽油販売業者は、販売する軽油に軽油引取税分を上乗せした金額で消費者に販売していきます。
そこで、軽油販売業者は、引き取った軽油に軽油引取税のかからない重油などを混ぜた不正軽油を製造し、不正軽油を「軽油」として販売する際に軽油引取税を全量に適用した上乗せした金額で販売することにより、混ぜた重油分にかかる軽油引取税額分について利益を受けることができます。
この方法により、本来であれば、納めるべき軽油引取税を免れているということができます。
不正軽油に関する罰則
不正軽油に関しては様々な罰則が設けられています。
①軽油引取税の脱税 10年以下の懲役又は1000万円以下の罰金
②混和軽油の製造等の承認を受ける義務違反 10年以下の懲役又は1000mン円以下の罰金(法人併科あり)
③不正軽油と知って保管又は運搬、販売、購入した場合 3年以下の懲役又は300万円以下の罰金(法人併科あり)
④不正軽油に使われると知って原材料・薬品・資金・土地・建物・車両・機械等を提供、運搬した場合 7年以下の懲役又は700万円以下の罰金(法人併科あり)
不正軽油を製造販売した場合には、脱税としての刑事罰を受けるだけでなく、その他の罰則によっても処罰を受ける可能性があります。
また、不正軽油と知って購入した場合にも罪に問われることになりますので、安いからといって安易に不正軽油に手を出さないようにしましょう。
不正軽油に関係してしまったら
不正軽油については、各都道府県が抜き打ち調査を実施したり、啓発活動を実施するなど積極的に撲滅に動いている事案です。
不正軽油に関係してしまった場合には、刑事事件に発展する可能性も高いので、税金関係だけではなく刑事事件全般に強い専門家に早急に相談することをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件を中心に扱っている事務所ですので、不正軽油に関しても丁寧にサポート差し上げます。
輸入と税金
貿易取引においても税金がかかってきます。今回は輸入にかかる税金について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
輸入品と税金
輸入品に課される税金として主なものは
①関税
②消費税
があります。
①関税には、法律に基づいて設定されている税率(国定税率)と条約に基づいて設定されている税率があります。
国定税率は、関税定率法と関税暫定措置法によって定められています。
②消費税には、国税としての消費税と、地方消費税があります。
税額の計算
①関税の税率計算
原則として輸入申告時の貨物の価格又は数量を課税標準とします。
課税標準額に対して、品目ごとに規定された関税率を乗じた金額が課税される関税の額となります。
物品の種類(素材や材質、製造方法)や輸入元の国・地域、用途によっても関税率が変わってきます。
また、無税とされている(関税率が0%)品目も多くあり、全体の約34%は無税品となっています。
②消費税の税率計算
消費税(10%)は、内国消費税(7.8%)と地方消費税(2.2%)に分けられます。
内国消費税は、CIF価格(端数処理前)と端数処理後の関税額の合計(千円未満切り捨て)に対して課税されます(100円未満切り捨て)。
地方消費税は、内国消費税額の78分の22に当たる額(100円未満切り捨て)です。
また、輸入品のうち飲食料品(外食・酒類を除く)については、軽減税率の対象となるため、消費税率が8%となるものもあります。
この場合には、内国消費税が6.24%、地方消費税が1.76%となります。
※課税価格が1万円以下の物品の場合
課税価格の合計額が1万円以下の物品の輸入については、一定の場合を除いて関税及び消費税が免除されます。
輸入品を引き取る際の手続き
輸入品を保税地域から引き取ろうとする者は、原則として品名等や関税・消費税の金額などを記載した輸入申告書を保税地域を所轄する税関長に提出し、輸入品を引き取る時までに関税と消費税を納付する必要があります。
あらかじめ税関長の承認を受けた特例輸入者又は輸入通関の手続きを認定通関業者に委託した特例委託輸入者は貨物を引き取った後に関税と消費税を納付することができます。
輸入事後調査
輸入された貨物にかかる納税申告が適正に行われているかを事後的に確認し、不適切な申告を是正し、適切な申告指導を行うことにより適正な課税を確保することを目的として、税関が行う税務調査を「輸入事後調査」といいます。
ここで不正が発覚した場合には、国税局の査察や刑事告発が行われることもあります。
また、税関とは別に税務署などが独自に税務調査を行うことも可能です。
まとめ
貿易取引においても、税金の問題は切り離せません。
しっかりと税金について確認し、申告をする必要があります。
万が一、間違った申告をしてしまったら、直ちに修正手続きを行いましょう。
【制度解説】住民税について
住民税の計算方法,納税時期等に関して弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士が解説します。
制度の概要について
所得税と並んでポピュラーな税に住民税があります。住民税には,市町村民税と道府県民税の2つがあり,毎年1月1日の時点で,当該市町村に住所を有する個人や会社などの法人に対し,地方税法に基づいて当該住所の地方公共団体が課税するというものです。
通例,毎年6月上旬頃に,納税義務者に対し,各地方公共団体から住民税の納付通知書が届けられ,通知による課税方式が採られていますが,個人の場合,FXなどの投資により所得がある場合には,その所得が年間20万円以下である場合(この場合所得税の申告は不要)であっても住民税の申告が必要となるので注意が必要です。
納付方法:一括払いから4回分割払いの選択が可能であり,納付通知書を用いて納付します。
税額の算定について
確定申告をしている個人事業主などの個人や,会社等の法人は,前年度の確定申告による所得を基に住民税が計算されます。
また,住民税には,その負担の内訳として所得割,均等割の2つがあります。
所得割とは納税者の所得に応じて課されるものであり,均等割りとは,所得に関係なく一定額が課されるというものです。この場合,確定申告により所得確定された金額は所得割の算定のベースとなります。
個人の住民税については,それぞれの計算式は次の通りです。
具体的計算式
所得割
(所得金額-「所得控除額」)×10%-税額控除額=所得割の税額(①)
このうち,「所得控除額」には基礎控除額として原則43万円が認められています(一部高額所得者を除く)。
なお、住民税の所得控除額と所得税の基礎控除額とは違うことに注意が必要です。
均等割
前年度の総所得金額に応じて決まり,大体の地域では,年間4000円~5000円程度とされています(②)。
住民税額=上記①+上記②となります。
住民税の額に納得ができない場合は
通知を受けた住民税額に納得ができない場合は,各自治体の定める条例の規定に基づいて不服の申立てができるほか,行政不服審査法による審査請求ができます。さらに,行政上の手続きで解決できない場合には行政事件訴訟法により,裁判所で訴訟による紛争解決を求めることも可能となります。
当法律事務所では,所属の弁護士が国税局長に対し,税理士業務の通知を出しており,住民税を含めた税務事件にも注力しています。住民税の額や税務行政に不満がある方は,当法律事務所に一度相談されることをお勧めします。
