事件別―所得税法違反

事例

暗号資産取引により利益を得たにもかかわらず、確定申告をせず、所得税を免れていた。

解説

1.税務調査

納税義務者が、所得税を免れていると疑われる場合には、まず税務調査が行われることが一般的です。

税務調査はあくまでも任意で行われるものですので、当事者の意思に反して自宅等への立ち入り調査などをすることはできません。

しかし、質問に対する回答を拒否すると、刑事罰を科される可能性があります(国税通則法128条2号:1年以下の懲役又は50万円以下の罰金)。

税務調査の結果、申告漏れが発覚すると、申告した税額と調査の結果算出された税額との差額を追徴課税として徴収されることになります。

また、追徴課税とは別に、延滞税や加算税を課される可能性があります。

今回の事例の場合、申告をしなかったことが意図的ではない場合には、追徴課税や延滞税、過少申告加算税や無申告加算税が課せられることになる可能性があります(悪質性が高いと判断されると重加算税が課せられる可能性があります)が、意図的である可能性があると、脱税の疑いがあるとして犯則調査に移行します。

2.犯則調査(査察)

意図的な脱税の疑いがあると、国税局査察部による犯則調査、いわゆる「査察」が行われます。

査察は、国税通則法に基づく「強制的」な調査で、調査対象者の同意なく、捜索や差押え等が可能になっています(国税通則法132条)。

査察は、刑事告発を目的としており、悪質な脱税や脱税額が大きな事件を中心に行われます。

査察の結果、犯則があると判断された場合には、間接国税以外の国税に関する犯則事件については、検察官に告発しなければならないとされています(国税通則法155条1号)。

査察対象となった案件に占める告発件数の割合は約70%となっており、査察を受けると多くの場合、刑事告発を受けることになるといえます。

査察調査では、捜索差押のほか、国税職員による事情聴取(質問)も行われますが、この質問にどう答えるかによっても告発されるかどうかは大きく影響を受けます。

査察を受けた場合には、刑事事件化する可能性が高いので、税理士だけではなく、弁護士にも早急に相談しましょう。

今回の事例では、暗号資産取引により得た利益が高額で、意図的に申告から除外していたという場合には、告発をされる可能性が高いといえます。

3.刑事手続

告発を受けた検察官は、刑事事件として捜査をし、刑罰を与えるべき内容か否か、犯罪を立証する証拠があるか否かを検討した上、起訴不起訴の判断をします。

この捜査を受ける際には、必要に応じて逮捕・勾留がされる場合があります。

逮捕・勾留されてしまわないように、又は逮捕・勾留された場合には早期に身体拘束から解放してもらえるように、刑事事件に強い弁護士に協力を仰ぎましょう。

また、取調べへの対応などによって起訴されるか否かも変わってきますので、身体拘束を受けていなかったとしても、早急に刑事事件に強い弁護士のアドバイスを受けることをお勧めします。

なお、告発された事件の起訴率は約70%となっています。

起訴されると、刑事裁判が行われることになり、有罪無罪の判断が下されます。

保釈により身体拘束からの解放や、無罪を勝ち取るための対策、有罪でも実刑とならないための公判活動など、起訴された後も刑事事件に強い弁護士の力が発揮できる状況は多くあります。

あきらめずに活動をしていくことが必要です。

今回の事例の場合、有罪となってしまうと、10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金、又はこの両方の刑罰を科されることになります(所得税法238条1項)。

所得隠しをしてしまった、申告漏れがあるという場合には、将来的に刑事事件化する可能性もありますので、早期に脱税や刑事事件に詳しい弁護士に相談されることをお勧めします。

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