【告発事例】いわゆる「つまみ申告」を行って所得を秘匿した事案

告発

大阪国税局が発表した令和5年度査察の概要に紹介されている、いわゆる「つまみ申告」を行って所得を秘匿した事案について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事件の概要

Aは、大阪市城東区において医療コンサルタント業を営んでいる者であり、医療コンサルタントとして、調剤薬局を開設できる場所の選定や交渉などにより、多額のコンサルタント収入を得ていたにもかかわらず、殊更過少な申告、いわゆる「つまみ申告」をして所得を秘匿し、所得税を免れていました。
脱税額は約8200万円であり、隠した所得は預金に充てていました。

つまみ申告とは

二重帳簿を作成するなどの典型的な「隠蔽・仮装」工作を行うことなく、場合によっては正確な所得金額など示す帳簿書類を備えていながら、所得金額や収入金額の一部のみを故意につまみ出し、つまみ出した過少な所得金額などを申告書に記載して提出することです。
今回の事例では、医療コンサルタント業を営む者として多額のコンサルタント収入を得ていたにもかかわらず、いわゆるつまみ申告を行ったもので悪質性が高いと評価されたこと、脱税額自体も多額であることなどで、告発されたものと思われます。

告発されるとどうなるか

刑事告発を受けた検察庁は、Aさんを被疑者として取調べ、その後起訴するか否かを決めることになります。
最近では、刑事告発されると約8割から9割の高率で起訴されるに至っています。
また、起訴された場合には、刑事裁判が始まりますが、国税局が令和6年に発表した資料によると、査察事件の第1審判決の状況は、令和5年度中の判決全てが有罪であり、有罪率は100%となっています。このことから一旦起訴されると有罪となる可能性は極めて高いのが実情です。

そのほか

つまみ申告の場合、最初から真実の所得金額を隠蔽し、税務調査があれば、さらに隠蔽工作することを考えていることが多いので、税務調査でつまみ申告と判断されれば、「隠蔽、仮装」を行ったとされ、重加算税が課せられる場合が多いことにも注意が必要です。つまみ申告について、国税通則法68条1項に定める重加算税の賦課要件に該当されるとされた事例として最高裁平成6年11月22日判決があります。

最後に

既にお話しましたように、ひとたび刑事告発をされてしまうと、極めて高い確率で起訴され、かつ、有罪となるという実情があります。そのため、脱税に関与してしまったという場合には、早急に脱税事件に精通した弁護士に相談、依頼して刑事告発を避けるための活動をしていくのが重要と考えられます。弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、脱税事件に精通した弁護士が多数在籍していますので、刑事告発を避けるには、是非、弊社にご相談ください。

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