【報道解説】アダルトサイトで自撮り動画を配信した女性を脱税疑いで刑事告発

報道

東京国税局が、アダルトサイトで自撮り動画を配信して2億円を超える収入を得ていた女性を、所得税法違反の疑いで刑事告発したという報道について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

報道の内容

自身が出演するアダルト動画を配信していた女性が確定申告せず、所得税およそ7800万円を脱税したとして、東京国税局に刑事告発されました。

東京国税局から刑事告発されたのは、神奈川県大和市の動画配信業をしている女性Aです。

A氏は、自身が出演するアダルト動画を動画配信サイトやSNSに配信するなどして収益を得ていましたが、関係者によりますと、A氏はおととしまでの3年間にあわせておよそ2億1300万円の所得を得ましたが、確定申告をせず、所得税およそ7800万円を脱税した疑いがもたれています。

脱税で得た金を自分名義の口座に貯めていたとみられていて、A氏はJNNの取材に「国税局からの指導に従い、修正申告の上、納税を済ませた」「今後は税理士指導の下、厳正な申告・納税を行う」としています。

(令和6年11月26日ヤフーニュースhttps://news.yahoo.co.jp/articles/8552aec05358f04e877c1993788e5e5072819e6cより、一部改変)

ネット配信によって得た利益

動画配信サイトやSNSの普及で、自分で撮影した動画などを配信し、それによって利益を得ることが誰でも簡単に行えるようになってきました。
ネット配信によって利益を得る方法には、①アフィリエイト(広告)収入②スーパーチャットなどの投げ銭③動画販売などがあります。
このうち、①アフィリエイト収入については、YouTubeなどの動画配信サイトで広告が流れることがありますが、そういった広告を動画に入れることによって企業から収入を得る方法が挙げられます。
②スーパーチャットなどいわゆる「投げ銭」と呼ばれるものは、動画配信中に動画の閲覧者から金銭やアイテムなどを送金する仕組みです。代表例としては、やはりYouTubeのスーパーチャット(スパチャ)が挙げられます。
③動画販売については、顧客から要望を直接募って、要望に沿った動画を撮影して販売する方法だけでなく、会員制など有料のコンテンツとして動画を配信し、会員になった人にのみ動画を公開する方法も含まれます。

こういったネット配信によって得た収入は、当然所得となりますので、確定申告が必要です。
ネット配信では、サイト登録者数や閲覧者数が目で見てはっきりわかるため、誰がどれくらいの収入を得ているのか推測が立ちやすく、目を付けられやすいといえます。
そして、ネット配信での金銭のやり取りは、銀行口座を利用したものが多いため、一度目を付けられると、証拠まで一気に押さえられてしまうことも特徴といえます。

所得税法違反

ネット配信によって得た利益は、所得となり、個人で配信している方の場合には、所得税の確定申告が必要になります。
ちなみに、企業や団体に所属して動画配信をしている出演者の場合には、企業などに雇われているという形態であれば、サラリーマンと同じ扱いになる可能性もあるため、その場合には会社から給料をもらっていることになるため、源泉徴収がされているので、確定申告を別途行う必要はありません。

所得税の確定申告をするにあたっては、経費を差し引いた所得(課税所得)を申告する必要があります。
ここでの経費は、たとえば、動画撮影や配信に使用するために購入した機材の購入費などがあたります。

所得税の申告を怠っていた場合には、税務調査や査察調査を受ける可能性があります。
所得の額が少額である場合には、税務調査で申告漏れを指摘された部分について、修正申告を行って納税することで終了する場合が多いですが、所得の額が多かったり、意図的に所得隠しをしているなど悪質性が高いと判断された場合には、査察調査に進むこともありえます

査察調査が入ったら

査察調査に進んでしまった場合、重加算税などの重いペナルティが課せられるだけでなく、刑事告発されて刑事事件になってしまう可能性も高くなります。
査察調査は、約1年近く行われることもあり、その中で、申告されていない税額がいくらか、なぜ申告していなかったのか、悪質性が高いといえるかなどが調査されます。
所得税の場合、申告していない税額が3000万円を超えると、刑事告発されることが多いといえます。
刑事告発された場合には、検察庁が捜査を行い、場合によっては逮捕されてしまうこともあります。
そして、だいたい80%くらいの確率で起訴され、刑事裁判になった場合には、100%有罪になっています。
刑事裁判で有罪となった場合には、懲役刑以外にも罰金刑が一緒に下されることがほとんどで、罰金の額は脱税額の20~30%くらいとなっています。

Aさんの場合

今回報道されているAさんの場合には、3年間で2億円を超える収入を得ていたにも関わらず申告をしていなかったので、8000万円近い所得税を免れていたことになります。
脱税の金額が大きかったため、査察調査の上で刑事告発されたと考えられます。
今後、Aさんは検察庁で捜査を受け、起訴される可能性があります。
報道によれば、すでに修正申告と納税を済ませているということですので、この点が考慮されれば、不起訴となる可能性もありますが、刑事告発をする際には、国税局と検察庁との間で協議が行われており、協議の結果、刑事処分が相当と判断された場合に告発がされるので、起訴される可能性は高いといえるでしょう。
起訴された場合、Aさんは納税まで済ませているということですので、執行猶予判決となる可能性が非常に高いと言えます。
しかし、罰金刑も受けることになる可能性が高く、1500万円くらいの罰金が科せられる可能性があります。
弁護士に依頼して、不起訴に向けて検察官と交渉してもらったり、刑事裁判で刑罰が軽くなるような活動をしてもらうことが大事です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、初回相談は無料ですので、ネット配信でお困りの方は一度ご相談ください。

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