【事件解説】大阪国税局が大阪の会社、元税理士らを告発

告発

大阪府摂津市内の害虫駆除などの業務を営む会社と同会社の前社長、加えて元税理士を大阪国税局が告発した事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事件の概要

大阪府摂津市内の害虫駆除や建築工事などを営むA会社の前社長Bが、架空の経費を計上して所得を少なく申告し、約1億4100万円を脱税したとして、大阪国税局は、A会社と前社長Bを法人税法違反などの疑いで大阪地方検察庁に告発しました。Bは、顧問税理士から指南を受けて、下請けの会社に架空の工事費を計上して会社の所得を少なく見せかけ、令和3年までの3年間で約3億8900万円の所得を隠していたことが大阪国税局の調査で明らかになりました。脱税で得た金について、Bは自らのマンションの購入資金にあてていたということです。
また、顧問税理士だったCも指南の見返りに得た約9400万円の収入を申告せず,約3400万円を脱税したとして所得税法違反の疑いで告発されました。
BとCはいずれも申告を修正し、納税を済ませたということです。
(2024年7月3日、関西NEWS WEBの記事より。一部改変)
https://www3.nhk.or.jp/kansai-news/20240703/2000085653.html

刑事手続

Bさんは、法人税法違反などの疑いで刑事告発を受けています。
また、Cさんも所得税法違反の疑いで刑事告発を受けています。
刑事告発を受けた検察庁は、Bさん、Cさんを被疑者として取調べ、その後起訴するか否かを決めることになります。
最近では、刑事告発されると約8割から9割の高率で起訴されるに至っています。
国税局の査察部が、調査を遂げた後、検察官と国税局の間で会議(この会議を告発要否勘案協議会といいます。)が設けられます。起訴率が高いのは、同会議で告発するかどうかの判断がなされ、検察官によって告発を受理することが認められた時間だけが、実際に告発に至っているという実情があるからです。
なお、今回の報道では、Bさん、Cさんは既に修正申告を済ませているとされています。
修正申告とは、確定申告で過小な申告を行っていた場合に、正しい内容に修正して申告するものです。告発された後、検察官が起訴するか否かを決めますが、その判断に際し、既に修正申告をしているかどうかということは重要な事実になります。

起訴された場合

起訴された場合には、刑事裁判が始まります。
国税局が令和6年に発表した資料によると、査察事件の第1審判決の状況は、令和5年度中の判決件数83件全てが有罪であり、有罪率は100%となっています。このことから一旦起訴されると有罪となる可能性は極めて高いのが実情です。
有罪となった場合、多くの場合、執行猶予付きの判決が下されますが、懲役刑のみならず、罰金刑が課される場合もあります。
罰金の額は、法人税や所得税の場合、脱税額の20~30パーセントであるのが通常であり、本事例において、Bさんは、約1億4000万円の税金を免れたということから、3000~4000万円くらいの罰金額が予想されます。また、Cさんは、約3400万円の税金を免れたということから、700から1000万円くらいの罰金額が予想されます。

最後に

今回は、実際報道されている事件をもとに、解説しました。
脱税に関与してしまったという場合には、早急に弁護士に相談して刑事告発を避けるための活動をしていくのが重要と考えられます。既にお話しましたように、ひとたび刑事告発をされてしまうと、極めて高い確率で起訴され、かつ、有罪となるという実情があるからです。弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、脱税に関する相談を無料で行っていますので、気軽に早急にお問合せください。

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