【事件解説】東京国税局が投資セミナー企画会社と同社の代表取締役を告発

報道

投資セミナー企画会社と同社の代表取締役を東京国税局が告発した事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事件の概要

法人税と地方法人税計約2900万円を脱税したとして、東京国税局査察部が、投資セミナー企画会社であるA社と同社の代表取締役であるB氏を法人税法違反などの疑いで東京地検に告発したことが、令和7年4月24日、関係者の取材でわかりました。

関係者によりますと、A社はB氏が講師を務める受講料100万円の「投資家育成講座」を開催。B氏は、複数のユーチューブチャンネルも運営しており、登録者は計約470万人に上っていました。

同社は、受講料の一部を休業中の関連会社の預金口座に振り込ませ、売上を過少申告し、2022年9月までの2年間で、約1億2000万円の所得を隠し、法人税、地方法人税計約2900万円を脱税した疑いがあります。脱税で得た資金は暗号資産や株の購入などに充てていたとのことです。

(2025年4月24日、時事通信社会部の記事より。一部改変)

https://www.jiji.com/jc/article?k=2025042400551&g=soc

本事件では、法人税だけでなく、地方法人税も脱税したという疑いで東京地検に告発がなされています。

地方法人税とは

法人税と異なり、地方法人税については聞いたことがないという方の多いのではないかと思います。

地方法人税と聞くと、地方に納める税金のように聞こえますが、この税金は国に納めるものです。法人が地方法人税創設以前に地方公共団体に納めていた法人住民税のうち、その一部は国に納税するように変更されました(平成26年度税制改正において創設)。これが地方法人税です。

もともとは、消費税を増税するとモノがたくさん売れる大都市部ほど、地方消費税の税収が増えます。そうすると、ますます地方との税収格差が広がってしまうということから、自治体間で税収にばらつきが生れないように、地方税である法人住民税の一部を国が集めて、地方に再分配することにしたのが地方法人税なのです。したがって、地方法人税として徴収した税金は国から各自治体に分配する地方交付税の原資に直接組み入れられます。

このように地方法人税が創設されたものの、あくまで法人住民税の一部の納付先が地方公共団体ではなく、国に変更されたにすぎませんから、トータルでは法人の税負担が増えるということはありません。

企業が法人税の確定申告を行ったら、同時に地方法人税の確定申告も完了する仕組みになっています。

現在、地方法人税の税率改正によって、令和元年10月1日以降に開始する事業年度から地方法人税は法人税額の10.3%になっています。

まとめ

今回は、実際報道されている事件をもとに、解説しました。

既に述べましたように、法人税と地方法人税とは一体のものであり、法人税の脱税が疑われれば、本件のように同時に地方法人税の脱税も疑われるという関係にあります。

ここでいう告発とは、国税局が査察調査の結果、刑事罰を与える必要があると考えた場合に、検察庁に刑事裁判にかけること(起訴)を求めて訴え出ることです。

告発を受けた検察庁は、その後刑事事件として捜査を開始します。

ひとたび告発された場合には、起訴される可能性は極めて高率です。したがって、本件のような事案の場合、国税局の査察部の査察調査が入った時点で、早急に弁護士に相談して告発を避けるための活動をしていくべきです。 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、脱税に関する相談を無料で承っていますので、早急にお問い合わせください。

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