【制度解説】新NISAについて

新NISAが,2024年1月1日から始まります。現行のNISAがどのように変わるのかその制度内容について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

NISAとは

Nippon Individual Savings Accountの頭文字をから作られた略称であり,少額投資非課税制度という個人投資家のための投資に係る税制優遇制度です。

NISAによる税の優遇を受けるには,証券会社や銀行にそれらの各金融機関が提供するNISA口座を選択して口座開設すればOKであり,制度の枠内で税の優遇を受けることができるものです。

この場合,個人投資家が,非NISA口座で株取引や投資信託をしたときには,それらの金融商品から得られた配当金や譲渡益に対し,一定の税率(20.315%)に基づく課税がなされますが,開設したNISA口座内で金融商品を取引した場合,それから得られた配当金や譲渡益が非課税となります。

新NISAの制度概要

次のような点が主な変更点です。

非課税投資期間の無期限化
現行では,イ:一般NISAが5年間,ロ:つみたてNISAが20年間と有期であるのに対し,新NISAではこの期間が撤廃されて無期限となりました。

年間投資枠の拡大
現行の120万円(イの場合)ないし40万円(ロの場合)から,新NISAでは,制度の枠自体が一本化された上で内部的に振り分けられ,それぞれ240万円(成長投資枠)と120万円(積立投資枠)の合計360万円となりました。

非課税保有限度枠の拡大
現行の600万円(イの場合,5年間分)ないし800万円(ロの場合,20年間分)から,新NISAでは生涯投資枠として,最大で合計1800万円(年間投資枠の5年分)と大きくなりました。

生涯投資枠は回復すること
さらに,新NISAでは,上記の合計1800万円の最大枠は,例えば1000万円分の株式を譲渡した場合,翌年には,枠は800万円ではなく1800万円に回復します。 

利用可能年齢,保有口座数
 これは現行と同じく日本に住む18歳以上の人(自然人)であること,NISA口座の保有は一人一口座しかできないことは変わりありません。

⑹なお,未成年者を対象とした現行のジュニアNISAは2023年で終了します。

貯蓄から投資へ

このようにNISAは,投資による収益を非課税とすることから,個人投資家のみならず,広く一般個人に対しても,投資を勧めてこれにいざなうものといえます。

そして,これは,政府を代表する岸田総理が,「新しい資本主義」を標榜して,国民一人一人に対し,保有の金融資産をほとんど利子を生じなくなってしまった貯蓄から,裁量取引によれば,比べ物にならないくらいの収益を生むことができる投資へと勧奨し,これにシフトさせることにより,個人の「資産所得倍増プラン」を実現させることにより,国税庁の提起した老後2000万円問題といった深刻な事態に対する一つの回答として推し進める制度といえます。

新NISA利用に伴う注意点

このように新NISAでは,国民一般の投資への関心を向けさせ,投資の実行を強く推進させるものとなっていることはお分かりいただけたと思います。
しかし,注意すべきは,新NISAの前提となる投資にはリスクが伴います。「投資に絶対はない」と言われるように,預金と異なり投資では,通常,元本保証もなく元本割れは当然のこと最悪,元本全消失に至る場合(ハイリスクハイリターン)があるということです。太利を狙わず,熟慮の上に慎重な投資活動となるよう心がけましょう。

また,生き馬の目を抜く金融市場において,今後,多種多様な金融商品が市場に多く供給されることが見込まれ,取引安全を保護する金商法の規制を潜脱した業者も出現し跋扈するなど,過大なあおり宣伝広告による金融商品等には十分な注意が必要となります。
正しい知識に基づき賢い資産運用になるようにしましょう。

もし,新NISAや金融商品をめぐる取引等に関し,迷いや疑問を生じた場合には,弁護士等に相談することをお勧めします。

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