【告発事例紹介】国税庁発表の告発事例①

令和4年度査察調査の概要が6月14日に公表されましたが、そこで挙げられている告発事例を2回に分けて紹介します。第1回目は消費税事案と無申告事案について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説をします。

消費税不正受還付事案

事例1
日用品の輸出販売や輸出物物品販売場の経営等を行うA社が、取引事実がないにもかかわらず、不正加担者と共謀して、同人が主宰する法人から化粧品等を仕入れたかのように装い、架空の課税仕入れを計上し、当該化粧品等を輸出物品販売場において外国人観光客に販売したかのように装い架空の免税売り上げを計上する方法で、不正に消費税等の還付を受け、または受けようとした。

事例2
B社等数社は、不正指南者から指示されたとおり、B社等各社の代表者からパワーストーンを仕入れたかのように仮装し架空の課税仕入れを計上するスキームを利用して、不正に消費税等の還付を受けようとした。

解説
事例1及び2はいずれも架空の仕入れを計上する形で行われた、消費税の不正受還付事件です。
消費税の還付は免税などで本来であれば支払わなくてよかった消費税を支払っている場合、後から払いすぎた消費税分を返してもらえる制度です。
消費税の還付制度を悪用して不正に利益を得ることは、国庫金の詐取ともいえる悪質性の高い事案として、国税庁が毎年力を入れて調査をしている事案です。
架空の仕入れを計上することは、明らかに脱税意図があると認定される事情となるため、悪質性が高い事案であると言えます。
事例1では一部が、事例2では全部が未遂犯として告発されているようです。
また、事例2では、会社やその代表者だけでなく、指南役も告発されています。

無申告事案

事例3
親族の死亡に伴い多額の財産を他の相続人とともに共同相続したCは、相続財産である現金を複数の場所に隠匿したうえで、相続税の申告書を申告期限までに提出せずに、多額の相続税を免れていた。

事例4 
ウェブサイト上で競艇予想情報の販売を行うDが、当該販売収入について所得税の申告義務を認識していたにもかかわらず、確定申告書を提出しないまま法定納期限を徒過させ、所得税を免れていた。

解説
無申告事案とは、本来であれば確定申告書を期限までに提出したうえで納税すべきにも関わらず、申告をしないで納税すべき期限までに納税をしていないという事案です。
国税局や税務署は、様々なところから情報を集めており、たとえば事例3の場合で言えば、亡くなった被相続人の財産についての情報を事前に持っていた可能性があります。その持っていた情報と実際にCさん以外の共同相続人が申告した相続財産の額が大きくかけ離れていることから調査のメスが入れられた可能性があります。
また、インターネットサイトやSNSの情報なども税務署は積極的に集めており、事例4の場合にはそういったインターネットの情報からDさんの収益を割り出していた可能性があります。
このように、国税局や税務署が把握している財産や所得の情報と照らし合わせて税務調査などが行われることになり、うっかり忘れていたのか意図的に申告しなかったのかということを厳しき追及されてしまうことになります。

消費税事案や無申告事案は狙われやすい

消費税事案や無申告事案は毎年国税庁が重点事案として積極的に取り組んでいる事案です。
消費税の還付を不正に受けてしまっていた場合や申告期限までに申告ができていない場合には、早急に税理士や弁護士などの専門家に相談して対応してください。
早めの対応で告発を免れる場合があります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では初回の相談は無料です。

~国税庁発表の告発事例②に続く~

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