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単純無申告罪として起訴されたとする報道について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
1 報道の内容
漫画家としての所得を申告せず約4700万円を脱税したとして、福岡地検は漫画家池田恵理香容疑者(36)を所得税法違反(単純無申告)で福岡地裁に在宅起訴した。2日付。
起訴状などによると、池田容疑者は2019年から21年までの3年間で、出版社からの原稿料や印税収入で計約2億6000万円の所得があったが、期限までに確定申告書を提出せず、所得税約4700万円を脱税したとしている。
関係者によると、池田容疑者はペンネーム「ねこクラゲ」で活動し、月刊誌で連載中の人気漫画「薬屋のひとりごと」の作画を担当している。
引用:読売新聞オンライン「『薬屋のひとりごと』作画の漫画家、4700万円脱税で在宅起訴…2億6000万円申告せず」(2024.4.5)
https://www.yomiuri.co.jp/national/20240405-OYT1T50048/
2 単純無申告罪とは
報道にある、所得税法上の単純無申告罪とは、正当な理由なく納税申告書(確定申告書等)をその提出期限までに提出しないことで成立する犯罪であり、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する(ただし、情状により、その刑を免除することができるとされています)とされています(所得税法241条)。
報道にありますように、収入(報道では原稿料や印税収入)が発生している場合、所定の日までに納税すべき額を確定させるための手続として、確定申告を行う必要があります。
これを怠った場合、単純無申告罪として、処罰の対象となります。
3 確定申告書の提出を怠った場合の対応・注意点・弁護活動
所定の期限までに確定申告書を提出しなかった場合、上記のように刑罰を科される可能性があります。
なお、正当な理由がある場合には、単純無申告罪は成立しないことになりますが、少なくとも確定申告をする必要があることをしらなかったということでは、正当な理由があるということになりません。
それ以外にも、本来納付すべきだった税金に加え、ペナルティとしてかされる税金(延滞税や加算税と呼ばれます。)を納付する義務が生じます。
そこで、確定申告書の提出を怠った場合には、なるべく早期に、自ら正しい申告(修正申告と呼ばれます。)を行い、ペナルティとして課される税金を含めた税金を納めていくという対応が考えられます。
こうした修正申告を早期に行うことによって、(報道のように刑事裁判になった後は)より有利な判決を求めていくことが可能となります。
さらに、報道とは異なり、刑事裁判となる前であれば、本来納付すべき税金の額や申告を怠っていた期間などにもよるとは思いますが、早期に修正申告、納税をすることにより、弁護士が、検察官に対し、不起訴や正式な裁判手続によらずに罰金刑とするように求めていくという動きが考えられます。
もっとも、修正申告をするといっても、事案に応じて様々な検討をする必要があります。
報道においては、所得税のみが問題となっているようですが、それとは異なり、消費税や住民税も問題となるような場合において、すべての税金を、ペナルティとして課されるものも含めて一度に支払うだけのお金がないとき、どの税金を優先して対応していくのか検討する必要があります。
そういった場合においては、弁護士が、刑事事件における見通しなどを踏まえて、場合によっては税理士さんと協力しながら対応していく必要があります。
4 最後に
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、脱税事件に強い弁護士が所属し、所得税法違反など多数の事件を取り扱っています。脱税事件の容疑を掛けられ、刑事裁判に掛けられた方、税務署による調査などが入ってしまい不安の方、初回の相談は無料ですので、お気軽にお問い合わせください。