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架空の外注費を計上するなどして法人税法などを脱税したとして刑事告発されたという報道について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
1 報道の内容
「佐賀市にある化粧品会社の代表取締役らが、架空の外注費を計上するなどの方法で法人税などおよそ3200万円を脱税したとして、福岡国税局から告発されました。
告発されたのは、佐賀市兵庫北にある化粧品の製造や販売などを行う」会社の代表取締役と、その取引先の役員です。
「福岡国税局によりますと、代表取締役と取引先の役員は共謀して、化粧品会社から取引先への貸付金を架空の外注費として計上するなどの方法で所得を少なく見せかけていた疑いがあるということです。
福岡国税局は令和3年12月までの1年間に1億2700万円あまりの所得を隠し、法人税などおよそ3200万円を脱税したとして、化粧品会社と2人を福岡地方検察庁に告発しました。」
引用:佐賀 NEWS WEB(配信日:令和6年12月25日)
https://www3.nhk.or.jp/lnews/saga/20241225/5080018634.html
2 法人税法違反
法人税とは、法人の各事業年度の所得に対して課される税金です。
そして、法人の各事業年度の所得の金額は、当該事業年度の益金の額から当該事業年度の損金の額を控除した金額とされています(法人税法22条1項)。
報道によると、告発された代表取締役と取引先の役員は、化粧品会社から取引先への貸付金を架空の外注費として計上するなどの方法で所得を少なく見せかけていた疑いがあるとされています。
貸付金は、将来金銭を受け取る権利を表す資産として計上すべきであるにもかかわらず、それを架空の外注費、つまり損金に含まれる費用として計上することによって、所得を少なく見せかけていた疑いがかけられているものと考えられます。
このような脱税行為は、10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金に処し、またはこれを併科するとされています(法人税法159条1項)。
また、法人住民税などにも違反することも考えられます。
3 告発
報道によると、化粧品会社、代表取締役、取引先の役員は、福岡国税局から検察庁に告発されていることから、今後、法人税法違反などにより、刑事事件として取り扱われ、取調べや刑事裁判にかけられる可能性があります。
4 弁護活動について
刑事告発されたが、脱税したわけではないと主張していく場合には、今後行われるであろう取調べの中で、事情を説明する必要があり、そこには弁護士のアドバイスが必要になってきます。
また、脱税に該当するとしても、その認識や経緯などを踏まえて、取調べの中で説明していく必要があります。
特に、報道のような共犯事件の場合、誰が言い出したものなのか、役割分担がどうだったのかなどの点も問題となってくるので、適切な対応が必要になります。
さらに、脱税に該当するとすれば、本来納めるべき税金に加え、制裁としてさらに税金(重加算税といいます。)が課されることになると思われますが、それらについて修正申告した上で、率先して納めていくという動き方も考えられます。
そうした税金を納めるだけの資金がある場合にはそれほど問題になりませんが、十分な資金がない場合には、どの税金から、どのような時期に、納めていくかを検討する必要もあり、そこには弁護士によるアドバイスが必要になってくることが考えられます。
5 最後に
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、脱税事件に強い弁護士が所属し、多数の脱税事件を取り扱っています。法人税法違反で刑事告発された方は、初回の相談は無料ですので、お気軽にお問い合わせください。