【報道解説】法人税法違反等の容疑で弁護士が逮捕 

実刑

法人税法等に違反した疑いで,東京地検特捜部が法律事務所代表の弁護士を逮捕した事件報道について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

報道内容

架空の経費を計上して約2700万円を脱税したとして,東京地検特捜部弁護士の男性を法人税法違反などの容疑で逮捕した。認否は明らかにされていない。特捜部によると,同弁護士は自身が代表を務める都内の法律事務所の業務に関し,架空の業務委託費を計上するなどして2017年12月期と19年12月期の法人所得約1億1100万円を隠し法人税と地方法人税計約2700万円を免れた疑い。同弁護士の法律事務所では債権回収を請け負っており,関係者によると,架空計上したのは債権回収の相談電話に関する業務委託費という。

(朝日新聞 令和6年11月15日付記事 一部改変)
https://www.asahi.com/articles/ASSCH1DFVSCHUTIL00GM.html

事案解説

本件では,法人税法違反等を理由に東京地検特捜部が関係者の逮捕に踏み切っています。架空の業務委託費を計上するという,脱税のスキームそのものはそれほど珍しいものではありませんが,本来は法律の専門家として高度の遵法姿勢が求められる弁護士に脱税の疑いが生じ,逮捕にまで至ったという点が大きな特徴といえます。

脱税事件と逮捕

法人税法をはじめとする各種税法に違反した脱税事件では,本件のように逮捕がされることがあります。もっとも,あらゆる脱税が刑事事件と扱われるわけではありません。主として税務署が対応する税務調査や国税局による査察調査の段階では刑事事件化はしていないため,逮捕されることもありません。
他方,査察調査を行った国税局が検察庁に対して告発を行って以降は,刑事事件として取扱われます。本件のように関係者が逮捕されることもありますし,検察官が起訴判断を行った場合は,刑事裁判を受けることにもなります。刑事裁判で有罪判決が言い渡されてしまうと,関係者への懲役刑や法人への多額の罰金が刑罰として科せられます。

脱税事件で逮捕されやすいケース

国税局から検察庁への告発がされて刑事事件となった場合でも,逮捕されるケースとそうでないケースに分かれます。明確な線引きがあるわけではありませんが,脱税額や脱税に及んでいた期間,脱税スキームの悪質さ等の事情によって逮捕のリスクは変わってきます。これらの事情は,検察官に起訴されて刑事裁判となった際に実刑判決が言い渡されるか否かについても影響してきます。
その他の事情として,脱税を行った主体によっても逮捕リスクは変わり得ます。本件のように,高度の遵法姿勢が求められる弁護士が脱税の主体となった場合も,逮捕リスクは高くなると考えられます。類似のケースとして,税務の専門家である税理士が脱税スキームに加担していたケースで,逮捕にとどまらず実刑判決が言い渡された裁判例も存在します。

脱税事件で逮捕されないか不安な場合は

ここまで述べたとおり,脱税事件で逮捕がされるか否かは,様々な事情によって決まることになります。もっとも,脱税に関与してしまった場合,逮捕リスクがあるか否かを自ら判断するのは困難です。そのため,専門家の判断や助言は欠かせません。
税務の専門家である税理士に相談することももちろんですが,逮捕の可能性は刑事手続に関わるものであるため,法律の専門家である弁護士による判断も極めて重要となります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では,脱税事件での相談を初回無料で行っています。WEBによる遠隔相談にも対応しておりますので,脱税事件を理由に逮捕がされないかご不安な場合は,是非とも弊所までご相談ください。早期の対応が逮捕リスク自体を回避することにもつながります。
https://datsuzei-bengoshi.com/soudan/

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