【報道解説】貸付金を業務委託費と装って法人税等を免れた事件

脱税捜査

貸付金を業務委託費と装い、法人税法違反などで起訴された報道について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

1 報道の内容

横浜地検特別刑事部は16日(注:令和6年7月16日)、貸付金を業務委託費と称して法人税など約3200万円を脱税したとして、法人税法違反などの罪で、建築工事会社(横浜市西区)の代表取締役らを在宅起訴した。法人としての同社も起訴した。

 他に起訴されたのは、事務機器販売会社の元実質的経営者、別の脱税事件で起訴、公判中。

 起訴状によると、2人は共謀して、事務機器販売会社社への貸付金を業務委託費と装って、2021年5月期の所得約1億1900万円を隠し、法人税と地方法人税計約3200万円を免れたとしている。

(個人情報保護のため、一部改変しています)

引用:Yahoo!ニュース
https://news.yahoo.co.jp/articles/bdc9012bb2b2666cf857177609adc3b3143856aa?source=rss

2 スキーム(仕組み)について

法人税は、法人の各事業年度の所得に課せられる税金です。
法人の各事業年度の所得の金額は、その事業年度の益金(ごく簡単にいえば、利益のことです。)の額から、その事業年度の損金(ごく簡単にいえば、費用や損失などです。)の額を控除した金額とされます(法人税法22条1項)。

報道では、起訴された代表取締役が、貸付金を業務委託費と装ったとされています。
本来、貸付金(債権)は、会社の資産(なお、厳密には、元本部分が資産であり、利息は益金に含まれます。)に計上する必要があります。つまり、基本的には法人税の金額に影響はでないはずです。
しかし、これを費用として計上することにより、その事業年度の損金が増え、結局、法人の所得額が少なくなることになり、それに対して課される法人税も少なくなるため、脱税に当たるというものだと考えられます。

なお、地方法人税は、法人税を基準に算出されますので、法人税を脱税すれば、地方法人税も脱税することになるのが通常です。

3 発覚するきっかけとは

報道された事件において、発覚した経緯ははっきりとは分かりませんが、貸し付けていた会社が別の脱税事件で起訴、公判中(裁判中)とのことですので、その貸し付け先の会社に対する捜査や税務調査などで発覚した可能性があります。

このように、自身に対するものではなく、第三者に税務調査などが入った結果、自身にも行われる税務調査を反面調査といいます。
仮に脱税をしてしまった場合、自身に対する税務調査が入らないから発覚しないということはないことに注意が必要です。

4 仮に脱税をしてしまったら

仮に脱税をしてしまった場合、逮捕や起訴されるかどうか、どのような刑事処分を受けるかは、脱税した金額やその方法、同種前科の有無など様々な事情を考慮する必要があります。

しかし、脱税をしている以上、本来すべきであった申告をし(修正申告と呼ばれます。)、納めるべきであった税金に加え、制裁として課される税金を納めていく必要があります。
事案にもよりますが、そうした取り組みを、早期にすることで、逮捕や起訴を回避できる場合もあり、また、最終的な刑事処分に関しても有利に影響するものと思われます。
このような修正申告に関しては、基本的には税理士に対応してもらうことになりますが、より法律的な知識が必要になる場面などでは、弁護士と税理士が協力して行っていくという方法も考えられます。

5 最後に

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、脱税事件に強い弁護士が所属し、法人法違反など多数の事件を取り扱っています。脱税をしたかもしれない、税務調査を受けることになった、国税庁から告発され刑事事件化するかもしれないなど不安に感じていらっしゃる方は、初回の相談は無料ですので、お気軽にお問い合わせください。

keyboard_arrow_up

0120631881 問い合わせバナー LINE予約はこちら