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確定申告をせずに所得税を脱税したとして刑事告発されたという報道について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
1 報道の内容
確定申告をせず所得税およそ7800万円を脱税したとして、神奈川県大和市の女性が東京国税局から刑事告発されました。その女性は、自身をモデルとした成人向け動画を有料の会員制サイトなどで配信し、収益を得ていたとのことです。
引用:NEWSポストセブン(令和6年11月26日配信)
https://news.yahoo.co.jp/articles/ed1c0225aaef59e09b4c1066872c9215a9a94afa
2 所得税法違反について
個人の所得に対しては、所得税という税金が課されています。
所得があった者については、原則として、自ら税務署に申告し、納めるべき税金の額を確定させる、確定申告を行う必要があります。
どのようなものが所得に該当するかは、法律で定められていますが、今回、紹介した報道において、刑事告発された女性は、自身をモデルとした成人向け動画を有料の会員制サイトなどで配信し、収益を得ていたとされています。
この配信活動が事業とみなされ、そこから生じた事業所得であると判断されたため、所得税が課されるにもかかわらず、確定申告をせず、納めるべき税金を納めていないことから所得税法違反として、刑事告発されたものと考えられます。
3 どのような金銭が事業所得に当たるのか
昨今、一般の方も、インターネットで動画や音声を配信するということが身近になっており、その際、何らかの金銭を受け取るということもあると思います。
では、配信活動に伴って受け取った金銭が「事業所得」に当たるでしょうか。
「事業」とは、自己の計算と危険において営利を目的とし対価を得て継続的に行う経済活動をいいます。
そうすると、たとえば、一度、ネット配信を行い、その際に、金銭を受け取ったというのであれば、多くの場合、「事業」に当たらないと考えられます。
もっとも、注意すべきなのは、回数が少なければ「事業」に当たらないというわけではなく、たとえば、元々、インフルエンサーのような活動をしており、それに付随してネット配信をした際に、金銭を受け取った場合、「事業」性が認められる場合もあると考えられますので、「事業」の該当性に関しては、活動の規模と態様、相手方の範囲など、様々な事情を考慮して判断する必要があります。
なお、受け取った金銭が事業所得に当たらないとしても、その他の所得としてとして課税対象になる場合がありますので、注意が必要です。
4 弁護活動について
ネット配信の際に受け取った金銭について、確定申告をしていない場合、まずは、事業所得に当たるものかどうかを判断する必要があり、弁護士からのアドバイスを受けることが有益です。
その上で、所得として計上し、申告することが必要だと考えられる場合には、改めて申告する必要があります。
その際には、税理士と協力するといった動き方も考えられます。
また、報道においては、刑事告発されているため、今後、刑事裁判にかけられる可能性があります。
事案にもよりますが、先に自ら申告し、納税していくということは、刑事裁判を回避できるかどうかにも繋がる可能性がありますし、仮に、刑事裁判になったとしても、有利な事情として考慮されます。
5 最後に
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、脱税事件に強い弁護士が所属し、多数の脱税事件を取り扱っています。ネット配信で金銭を受け取ったがそれを申告していない方や、所得税法違反で既に刑事告発された方は、初回の相談は無料ですので、お気軽にお問い合わせください。