【捜査解説】脱税事件における共謀共同正犯について詳しく解説

脱税捜査

脱税事件における共謀共同正犯について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が具体例を交えながら詳しく解説します。

共謀共同正犯の具体例

 会社の実質的経営者Aとその会社の名義上の代表取締役で経理を担当していた者Bとの間で法人税の脱税をすることについて概括的な通謀がなされて、その通謀に基づいてBらが虚偽申告などの脱税行為に及んだ場合は、必ずしもAにおいて虚偽申告の内容を逐一認識していなくても、法人税の脱税につき共謀共同正犯が成立します。

共謀共同正犯の捜査

上記事例のように、法人内部において、その事業等の全般にわたって実質的経営者と経理全般を担当している者との間で、共謀の有無を争うということはよくあるケースであり、そのほとんどが、実質的経営者が経理担当者に任せていたので細かいことは知らないなどとする共謀の否認です。
このようなケースでは、検察官は「実質的経営者は、その事業等による年間の所得等を前提に資金繰りや自らの生活設計等を行っているはずであるから、その事業等から生じる所得とこれに対する税額に無関心であるということは極めて希であるはずである。したがって、このような立場の者が経理担当者との共謀を否認するのは、自己の刑事責任を回避しようとしているに過ぎない。」と考えます。
そこで、まずは、実質的経営者が、まさに実質的経営者である証拠として、当該事業等から生ずる所得が同人の利得となっている金の流れについての証拠を確保し、その経営者性を明確にします。
その上で、
⑴経営者に脱税の動機があること、
⑵経営者が税の申告を含む事業遂行上の重要事項について指示・承諾を与えていたこと、
⑶脱税に関して経営者と経理担当者らの利害が共通していたこと、
⑷経営者においても経理担当者らによる個々の不正経理を認容していた状況があること、
⑸経営者も不正経理によって生じた簿外資産の管理・処分等に関与していたこと

などの情況証拠を積み上げていき共謀の事実を認定していきます。

共謀共同正犯を疑われたら

仮に、経理担当者が単独で会社財産を横領するなどして、その結果を隠ぺいするなどのために不正経理をした結果、申告内容に誤りが生じていたような場合であれば、捜査機関に早急に事実関係を説明して対処する必要があります。
また、脱税の指示について概括的にでも経理担当者に指示を出し、その結果について報告を受けていたとなると、個々の具体的な不正経理についての認識が薄くても共謀を争うことは難しい場合もありますので、ケースバイケースで、国税当局や捜査機関に対する対応を考えていく必要があります。
 脱税事件による共謀の成否に関しては、国税当局や検察がどのような証拠をどこまで収集できたか、また、それらの証拠収集の適法性などに問題がないかなど事実認定上の又は法律上の高度で専門的な判断を要します。こうした脱税事件の公判に対応していくためには、これらのことに精通した弁護士に依頼することが必要となります。脱税事件の流れはこちらhttps://datsuzei-bengoshi.com/datuzei_nagare/

 あいち刑事事件総合法律事務所には、これらのことに精通した弁護士が多数在籍しております。このような事態にいたったときは、是非、弊所にご相談ください。

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