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輸入時のアンダーバリュー取引について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
アンダーバリュー取引とは
財務省貿易統計によると、2022年の日本の輸出入総額は、輸出が約98兆1736億1千万円、輸入が約118兆5031億5千万円で、輸出入ともに過去最多となりました。
輸入貨物の場合、関税や消費税がかかります。アンダーバリュー取引とは、輸入時に実際の取引価格よりも安い価格で税関に申告し、関税や消費税を安く抑えようとする不正な取引のことです。
関税や消費税は、申告価格に対して課せられます。そのため、仮に真実の売買契約では、商品の単価を10ドルで契約し、輸入者は、輸出者に対してその金額を支払うにもかかわらず、輸出者の請求書(インボイス)に商品は8ドルと記載してあり、その価格で輸入申告すれば、差額である2ドルには関税や消費税がかからないことになります。
アンダーバリュ―取引は法律に違反する行為である
実際の取引価格を故意に偽って申告することは明らかな虚偽申告であり、脱税です。このような事態は通常考えられないのではないかとの疑問もあろうかと思います。しかし、貿易取引は、商慣習の異なる国との間の取引なので、国によっては、このようなアンダーバリュー取引がまかり通っている国もあり、そのような国から輸入する場合、なかには、輸出者が輸入者のことを思って好意でアンダーバリューのインボイスを送ってくる可能性があるので要注意です。
財務省によると、令和4事務年度に輸入者に対して行われた税関の事後調査によると、申告漏れ等に係る追徴税額は約98億1千万円(前事務年度比152.1%)であり、そのうち主な申告漏れ等の事例としてアンダーバリュー取引が指摘されているところです(税関が行う事後調査とは、輸入者の場合、輸入された貨物に係る申告・納税が適正に行われているか否かを調査するために税関職員が個別に訪問し、帳簿や書類等の確認を行う調査のことをいいます。)。
また、輸入者が、たとえインボイスの記載価格が実際の取引価格よりも低い価格と気づかずに申告した場合でも、税関にみつかれば過少申告として加算税が課されたりすることになります。こうした事態を避けるためには、実際の取引価格とインボイスに記載された価格を正確に合わせ、正しい価格の申告をすることを徹底する必要があります。もし、申告後にアンダーバリューに気付いたときには、すぐに修正申告をしましょう。
逆に、自社が輸出者であり、海外の輸入者から、「アンダーバリューのインボイスを発行して欲しい。」と言われる可能性もあります。しかし、このようなアンダーバリュー取引は、いずれの国でも違法ですから、相手の要求に応ずれば、違法行為に加担することになります。したがって、きっぱりと断ることが必要です。
アンダーバリュー取引であることが発覚した場合
アンダーバリュー取引であることは、税務調査が入ったときにほぼ確実にばれます。インボイス等は、税務調査において確認しやすい書類だからです。
アンダーバリュー取引であることが発覚したときには、不足分の関税や消費税に加え、過少申告加算税と延滞税が課されます。
また、仮装隠ぺいなど悪質性が高いと判断された場合には、過小申告加算税に代えて重加算税が課せられます。
アンダーバリュー取引を行っていた会社としてブラックリストに上げられ、今後の通関の際には、厳しいチェックが入ることになります。
さらに、納める額が大きく、悪質な輸入者であることが判明した場合、脱税事件として刑事事件として告発されることもあります。その場合、起訴されれば懲役刑や罰金刑を受ける可能性があります。
最後に
申告・納税しなければならないのにしていない方は、早めに税理士や弁護士といった専門家に相談しましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件を中心として扱っていますが、税法についても知識のある弁護士がそろっています。
初回の相談は無料ですので、一度ご相談にお越しください。