一人親方の脱税~②~

一人親方の脱税について、前回はなぜ脱税がばれるのかについて解説しました。
今回は、一人親方の脱税の方法とペナルティなどについて弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説していきます。

無申告

一人親方の脱税方法として最も顕著なものは、確定申告自体を行わないというものです。
当然ですが、売り上げがある場合には、一人親方も確定申告を行わなければなりません。
確定申告を忘れていた場合には、早急に申告を行ってください。
無申告の場合のペナルティとしては、主に以下のものが挙げられます。
無申告加算税
納税すべき税金のうち50万円までは15%50万円を超える部分については20%の無申告加算税が課せられます。
なお、申告期限から1か月以内に自主的に申告すること及び納めるべき税額のすべてが法定納期限までに完納しており、過去5年で無申告加算税又は重加算税が課税されたことがなく、かつ期限内申告をする意思があったと認められた場合には、無申告加算税は課税されません。

重加算税
仮装や事実の隠ぺいにより確定申告を怠っているとされた場合には、重加算税が課せられます。
無申告の場合の重加算税は、納付すべき税金の40%が課税されます。
重加算税が課税される場合には、無申告加算税の代わりに課税されることになるため、別途無申告加算税が課せられるわけではありません。

刑事罰
正当な理由なく納税申告書を提出期限までに提出しなかった場合には「1年以下の懲役又は50万円以下の罰金」に処されることになります。
また、故意に納税申告書を期限までに提出しなかったなど違法性が強いと判断される場合には「5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金又はその併科」と定められています。
さらに、偽りその他不正の行為によって税金を免れたと判断されてしまった場合には、「10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金又はその併科」という重い刑罰を科せられてしまう可能性もあります。

過少申告

売り上げを少なく計上したり、一部の売り上げを計上していなかったりして、実際の売り上げよりも少ない金額で確定申告を行うことも良く行われています。
単純に所得税の金額を下げるために行われることもありますが、課税売上高が1000万円を超える場合には消費税を納める義務が発生するため、消費税の課税を免れるために1000万円を超えないように売り上げを調整する場合も多くあります。
消費税逃れのために売り上げを調整している場合、売上高が800万~900万円台として申告していることが多いため、そのような金額での申告があった場合には、税務署が脱税を疑うきっかけにもなります。
過少申告の場合のペナルティとしては、主に以下のものが挙げられます。
過少申告加算税
申告額が申告をしなければならない額よりも少なかったために、新たに収めることになった税金が発生した場合に課税されるものです。
原則として、新たに収めることになった税金の10%が課税されますが、新たに収めることになった税金が期限内に申告した税額と50万円のいずれか多い方の金額を超える部分については、15%が課税されます。
なお、早めに修正申告を行うことにより、過少申告加算税が課税されないようにできる可能性もあります。

重加算税
仮装や事実の隠ぺいにより過少申告したとされる場合には、重加算税が課せられます。
過少申告の場合の重加算税は、過少申告加算税の代わりに追加本税の35%が課税されます。

刑事罰
過少申告により免れた税額が多額である場合や売り上げ隠しなどの方法が非常に悪質と判断された場合には、告発が行われ、刑罰に問われることになります。
所得税法違反だけでなく、消費税法違反や地方税法違反などの罪にも併せて問われる可能性があります。
たとえば、偽りその他不正の行為によって所得税を免れたと判断された場合には「10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金又はその併科」という重い罰則が規定されています。

経費の過剰申告、雇用を委任や請負に偽装

所得税や住民税については、収入から経費を差し引いた所得額によって税額が決まるため、仕事に関係のないものまで経費として計上し、その分の税を免れようとすることもあります。
個人的な食事や買い物についての費用は、経費としては計上できないものですので、税務署はそういった経費として計上できないものが申告された経費に含まれていないかを厳しくチェックします。
意図的に経費とできないものを経費として計上している場合や、その金額があまりにも多い場合には、過少申告加算税などが課されたり、場合によっては刑事告発の対象になる場合もあります。

また、一時的に従業員を雇用することもできますが、雇用契約ではなく委任や請負契約として申告する場合もあります。
雇用契約であれば従業員に払う給与として申告しますが、委任や請負契約であれば外注費として計上できます。給与か外注費かによって税額が変わるため、このような虚偽の申告をしてしまう場合があります。
しかし、税務署の調査によって、外注費ではなく給与として認定されてしまい、更正を受けたり、加算税を払わなければならなくなったりする可能性があります。
より悪質性が高く意図的に行われているという場合には、偽りの方法により税金を免れたとして所得税法違反などの罪に問われてしまう可能性もある危険な行為です。

確定申告したが、納税しない

確定申告をしたのに、法定納期限までに支払うべき税金を納付しないという事例もあります。
支払える金銭が手元にないなどの理由により納付ができない場合もあると思いますが、その場合には延納申請などができます。
法定納期限までに税金を完納しない場合には、延滞税が課せられます。
法定納期限から2か月を経過しているか否かで延滞税の課税割合が変わりますので、できるだけ早く納付する方がよいといえるでしょう。

2回にわたって、一人親方の脱税に関する問題について解説してきました。
一人親方の方は、税理士に依頼していない方も多く、税金の仕組みについて詳しくない方も多いと思います。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、そのような方に対しても丁寧にアドバイスを差し上げますので、不安がある方は無料の法律相談をご利用下さい。

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