不法な利益も「収益」となる

不法な利益

不法な利益を得ていた会社における問題について、事例を参考に、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

1 事例

東京都にある会社X社は、金銭貸付等を事業を営んでいたところ、利息制限法の制限を超える利率で貸付を行っていました。
X社は、令和○年分の確定申告において、その年に回収した利息分のうち、利息制限法の制限を超える部分については、法律上無効なものであるから、収益として計上しなかったところ、税務調査を受けることになりました。

2 前提として―利息制限法

業者が金銭を貸し付ける際、利息を付けるのが通常です。利息制限法は、その利息が、不当に高いものとならないよう、一定の制限を設けています。たとえば、100万円以上の金銭を貸し付ける場合、年15%を超える利息については、無効とされ(利息制限法1条各号)、利息制限法を超える部分の返済は、残存元金に充当されます。

3 収益の意義

法人(ここでは日本国内に本店または主たる事務所がある法人を前提とします。)は、「当該事業年度の課税標準である所得の金額又は欠損金額」など一定の事項を記載した申告書を提出する必要があります(法人税法74条)。確定申告と呼ばれるものです。
法人の各事業年度の所得の金額は、その事業年度の益金の額から同年度の損金の額を控除した金額とされています(同法22条1項)。
そして、法人税法22条2項において、益金の額に算入すべき収益は、「資産の販売、有償又は無償による資産の譲渡又は役務の提供、無償による資産の譲受けその他の取引で資本等取引以外のものに係る当該事業年度の収益」とされています。
紹介した事例においては、法律上無効な取決めに基づいて回収した利息が収益に該当するかが問題となります。
この点、判例は、回収した利息のうち、利息制限法所定の制限を超えた部分についても、収益に該当するものとしています(最判昭和46年11月16日刑集25巻8号938頁)。
よって、X社が、その年に回収した利息分のうち、利息制限法の制限を超える部分について収益として計上しなかったことについては、法人税を免れたものにあたり、その法人の代表者などは、10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金(または罰金を併科)とされます(法人税法159条1項)。

4 法人税違反における弁護活動

X社は、税務調査を受けている段階ですので、早期に、修正申告をするということが考えられます。
修正申告は、たとえば会社に顧問の税理士がいる場合には、その税理士に行ってもらうことになりますが、法解釈について、弁護士のアドバイスを要することも考えられます。
特に、紹介した事例とは異なり、不法・違法な仕事によって収益を得る事案というのは、他にも様々なものが考えられ、収益として計上すべきかどうかということを慎重に判断する必要がある場合もあります。
また、顧問の税理士がいない場合にも、税務調査における対応や修正申告を取り扱っている税理士を探す必要があります。
税務調査の結果、法人税の過少申告だと発覚した際には、税務署長などが正しい税金の額を納めるよう命ずることになります(更正処分など)。
もっともそれにとどまらず、免れた法人税の額や行為態様、期間などによっては、税務調査にとどまらず、刑事事件に発展する場合もあります。そうしたことが予想される場合には、脱税事件の経験のある弁護士に、早期に相談する必要があります。

5 最後に

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、脱税事件に強い弁護士が所属し、法人税法違反など多数の事件を取り扱っています。法人税法違反の疑いがあるとして税務調査を受けた方は、初回の相談は無料ですので、お気軽にお問い合わせください。

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