国税局から告発されたらどうなるの?

国税局から検察庁に告発された場合にどうなるのかについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

Aさんは、自らが代表取締役を務める甲会社の所得約1億3000万円を隠し、法人税約3500万円を脱税したとして、大阪国税局から大阪地方検察庁に告発されてしまいました。(フィクションです)

告発とは

告発とは、犯罪の被害者ではない第三者が捜査機関に犯罪が行われたことを報告し、犯人の処罰を求める意思表示のことです。
似た用語として、被害届の提出や告訴がありますが、被害届の提出や告訴は原則として被害者が行うのに対して、告発は被害者以外の第三者が犯人の処罰を求める点で違いがあります。
脱税事件においては、国税局査察部(いわゆるマルサ)が査察調査を行い、脱税の事実があり、その態様が悪質であったり、脱税額が多かったりした場合には、管轄の地方検察庁に対して告発を行います。
税金は国に対して納めるもので、国税局自体は被害者ではありませんので、被害届の提出や告訴ではなく、脱税した人を処罰してほしい場合には「告発」を行うことになります。
事例のAさんの場合は、大阪国税局が査察調査を行った結果、約1億円以上の所得隠しが発覚しており、悪質性が高いと考えられること、脱税額も3000万円を超えており多額と言えることから、刑事処罰を求めるために告発されたと考えられます。

告発されると

地方検察庁に告発されると、刑事事件としての手続きが始まります。
一般の刑事事件との違いとして、脱税事件の捜査は警察ではなく、検察官が行うことが挙げられます。
告発を受けた検察庁は、検察官が被疑者の取調べを行ったり、追加の証拠収集を行ったりします。
捜査を開始するにあたっては、逮捕される場合もあります。
逮捕されるか否かは、事件内容の軽重、証拠隠滅や逃亡のおそれの有無、共犯者の有無、自白しているか否かなどによって変わってきます。
たとえば、脱税額が巨額で、関係者が多数いる場合などは逮捕される可能性が高いといえます。
逆に、査察調査の段階から脱税の事実を認めて、脱税を指摘された部分についての税金を追徴課税も含めて納税済みである場合などは逮捕されない可能性が高くなります。
事例のAさんの場合には、脱税を指摘された部分について納税を一部でもしていれば逮捕を免れる可能性が高いと考えられます。

そして、捜査の上で、検察官が起訴するか不起訴にするかを決定します。
不起訴となった場合には、罪に問われることはなく、身体拘束を受けていた場合には釈放されます。
一方、起訴された場合には、その後刑事裁判が開かれることになり、身体拘束を受けていた場合には、身体拘束が継続してしまいます。
起訴するか不起訴にするかは、事件内容の軽重、脱税額を事後的にでも納税しているか、前科前歴の有無などによって決まってきます。
なお、脱税事件の起訴率は約70%くらいです。
事例のAさんの場合には、脱税額が多く、所得隠しという悪質性の高い行為を行っていることから起訴される可能性が高いと考えられます。

告発されたらどうすべきか

告発をされた場合には、刑事事件となり、逮捕されたり、起訴されて裁判を受けることになったり、悪い場合では実刑になってしまう場合があります。
そのため、逮捕や起訴、実刑を避けるために、まずは脱税を指摘された部分について納税義務を果たしていくことが重要となります。
その他にも、証拠の隠滅や逃亡をしないことを誓約して、身元の引受人などの監督者を選任するなど逮捕を避けるための準備をするなど逮捕、起訴、裁判の各段階で必要な準備をしておく必要があります。
すべてを抱え込んでしまうと、刑事事件化したことによるストレスや不安で押しつぶされてしまい、十分な準備ができなくなってしまったり、そもそもどういったことをすれば有効なのかわからないといったことも考えられます。
そのため、告発されたら早い段階で専門家である弁護士に相談してアドバイスを受けましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件を中心に扱っている事務所ですので、刑事事件に精通した弁護士が丁寧にアドバイスします。
ぜひ一度ご相談ください。

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