日本の輸出事業における消費税還付②

税制度

輸出事業における消費税還付について、その仕組みなどを複数回にわたって紹介します。2回目の今回は消費税還付の対象となる事業者や取引の要件、還付受取の方法や期間などについて紹介します。

対象となる事業者の要件

①課税事業者であること
消費税還付を受けられる事業者は、課税事業者に限られます
免税事業者の場合、消費税の申告義務がないため、たとえ輸出取引があっても仕入税額の還付を受けることはできません。
輸出を行う企業・事業者であれば、規模が小さく基準売上高1000万円以下でも、必要に応じて課税事業者選択届出を提出し課税事業者となることで還付申請が可能となります。
これは、輸出で仕入税額が多額になる場合、還付を受けられるよう自主的に課税事業者になる選択が有利となるためです(届出を適用する課税期間開始前日までに提出)。
②仕入税額控除の適用要件を満たすこと
還付を受けるには課税売上に対する仕入税額控除の適用要件を満たす必要があります。具体的には、帳簿及び適格請求書(インボイス)等の保存要件を満たし、課税仕入れについて適法に税額控除できる状態であることが重要です(2023年10月以降インボイス制度開始により、適格請求書等の保存が仕入税額控除の要件)。
輸出免税となる売上であっても、帳簿・証憑不備で仕入税額控除が否認されると結果的に還付も受けられなくなるため注意が必要です。

対象となる取引

輸出取引の種類については、商品の国外輸送による販売だけでなく、国外向けの役務提供や無形資産の譲渡も含まれます
例えばメーカーが製品を海外顧客に直接販売するケース、商社が国内商品を買い付けて海外に輸出するケース、ソフトウェア企業が海外法人にソフトを提供するケースなどが該当します。これらはいずれも法律上は課税取引扱いで免税となるため、それに要した仕入や経費の消費税は全額控除・還付対象となります。
一方、非課税取引(例:国内の医療、教育、住宅の賃貸、金融など)や不課税取引(給与支払い、寄附など)はそもそも課税対象外であり、対応する仕入税額は控除できません。
輸出取引は非課税ではなく「課税対象だが税率0%」という位置付けのため、国内課税取引と同様に仕入税額控除が可能である点が大きな特徴です。
したがって、輸出売上を有する事業者は、たとえ売上に消費税がかからなくても課税事業者でありさえすれば仕入税額の還付を受けられます
ただし事業者によっては、課税売上と非課税売上が混在する場合もあります。例えば国内で医薬品販売(社会保険診療は非課税)と輸出販売を併営するようなケースでは、非課税売上に対応する部分の仕入税額は控除できないため、その部分は還付対象外となります。
このように、還付を受けられる仕入税額はあくまで課税売上(輸出を含む)に紐づく部分のみである点に留意が必要です。

還付の受け取りの方法や期間

①還付金の受け取り方法
還付金の受け取り方法は、申告時に指定した銀行口座への振込か、ゆうちょ銀行・郵便局窓口での受領の2通りがあります。
一般には口座振込が利用されますが、口座名義は申告者本人または納税管理人名義である必要があります。
②還付金が振り込まれるまでの期間
消費税還付が振り込まれるまでの期間は、申告から概ね1~2か月程度が一般的な目安です。
税務署による申告内容の確認や書類チェックにある程度時間を要するため、還付金の入金完了まで数週間から数ヶ月かかるのが通常です。
ただし、電子申告(e-Tax)を利用した場合は処理が迅速化される傾向があり、早ければ提出後2~3週間で還付されるケースもあります。
実際、繁忙期でない時期にe-Taxで申告書を送信すれば1か月以内に振り込まれる例も報告されています。
一方、2月~3月の確定申告シーズンは事務処理が立て込むため、通常より時間がかかる可能性があります。
資金繰り上、還付金を早めに受け取りたい場合は、できるだけ早期に申告手続きを行い、e-Taxを活用するのが望ましいでしょう。
還付額が継続的に発生する輸出業者では、資金繰りの観点から還付を迅速に受けるための制度活用も有効です。例えば課税期間の短縮特例を利用すると、通常1年ごとの課税期間を四半期毎や月毎に区切って申告できるため、還付発生時期を早めることができます(適用には事前に「課税期間特例選択届出書」を提出し2年間の継続適用が必要です)。

申告期限を徒過した場合の不利益

申告期限は厳守する必要があります。法人の場合、課税期間(事業年度)終了日の翌日から2ヶ月以内が確定申告の法定期限であり、これを過ぎると期限後申告となります。期限後申告でも還付自体は受けられますが、その場合税務上いくつかの不利益があります。
①還付加算金の計算起点の繰り下がり
還付加算金(税務署から支払われる利息相当額)の計算起点が繰り下がります。
通常、適法な期限内申告で還付となった場合、申告期限の翌日から還付される日までの期間について年利により算出した還付加算金が支払われます国税通則法第58条)。
税務署側の処理遅延については、法律上、還付申告に対する還付金は速やかに支払うものとされています。万一、税務署の事情で大幅に還付が遅れる場合には、その期間に応じた還付加算金が付されます。
実務上は申告から1~2ヶ月程度で還付されることがほとんどですが、仮に調査が長引く等で還付が遅れた場合でも、納税者には一定の利息補填がなされる仕組みです。
しかし期限後申告で還付を受ける場合、加算金の起算日は本来の期限ではなく、課税期間終了後2ヶ月経過日や申告書提出日の属する月末などに修正されます。
その結果、期限内申告に比べて遅延した期間分の利息が付かなくなる(事実上、還付が遅れるだけ損をする)ことになります。
ペナルティ
また、期限後申告そのものに対して無申告加算税などのペナルティが課される可能性もあります。
以上から、還付を確実かつ有利に受けるためには申告期限内に正確な申告を行うことが重要です。

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