暗号資産と課税

税制度

暗号資産(資金決済法の改正で令和2年5月1日より呼称が仮装通貨から暗号資産に変更されました。)取引によって生じた利益は、課税対象となるでしょうか。暗号資産取引によって生じた利益に対する課税について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

Aさんは、今年の4月にビットコイン(4ビット)を200万円で購入しました。その後、ビットコインが値上がりしたので、12月に240万円で売却しました。Aさんは、ビットコインも資産であり、その売却による所得は譲渡所得と考え、また、50万円の特別控除額を控除すると所得は0円になるので、確定申告をする必要はないと考えています。この考えは正しいのでしょうか。

(フィクションです)

解説

譲渡所得にいうところの資産は、他人に譲渡することができる有形、無形の資産を全て含むます。そうすると、ビットコインは、流通し、取引されていることから考えても、資産であることは明白であるように思えます。

しかしながら、現在の国税庁の見解は以下のようになっており、暗号資産取引については注意が必要です。

「問 暗号資産取引により生じた利益は、所得税法上の何所得に区分されますか。

答 暗号資産取引により生じた利益は、所得税の課税対象になり、原則として雑所得(その他雑所得)に区分されます。

暗号資産取引により生じた損益は、邦貨又は外貨との相対的な関係により認識される損益と認められますので、原則として雑所得(その他雑所得)に区分されます。

ただし、その年の暗号資産取引に係る収入金額が300万円を超える場合には、次の所得に区分されます。

・暗号資産取引に係る帳簿書類の保存がある場合・・・原則として事業所得

・暗号資産取引に係る帳簿書類の保存がない場合・・・原則として雑所得(業務に係る雑所得)

なお、暗号資産取引が事業所得等の基因となる行為に付随したものである場合、例えば、事業所得者が、事業用資産として暗号資産を保有し、棚卸資産等の購入の際の決済手段として暗号資産を使用した場合には、事業所得に区分されます。」

【令和5年12月25日に国税庁が公表した「暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(情報)】

国税庁の見解によると、Aさんは、確定申告をしなければならない。

仮装通貨取引による雑所得には、総合課税が適用されます。

また、仮装通貨の取引では源泉徴収は行われないため、納税者自ら確定申告という手続きを通じて税務署へ申告する必要があります。

本件の事例で,仮にAさんが会社員だった場合でも、仮装通貨取引による利益が20万円を超えるときには確定申告を行う必要があります。

暗号資産取引による所得について確定申告をしていない場合

暗号資産取引では、確定申告が必要であるのに、申告を忘れていたり、申告漏れがあった場合には、確定申告期限前であれば直ちに、申告漏れのない確定申告を行ってください。確定申告後であれば修正申告をする必要があります。

これを怠っていれば、税務調査の対象となり、申告をしていない金額が大きくなれば査察調査の対象となって、更に悪質性が高いと判断されれば刑事事件に発展してしまう場合もあります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件を中心として扱っていますが、税法についても知識のある弁護士がそろっています。 初回の相談は無料ですので、一度ご相談にお越しください。

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