脱税事件において刑事告発されても不起訴となる場合について

起訴

脱税で刑事告発されたら必ず起訴されるのでしょうか、逆にいうと告発されても不起訴となる場合があるのでしょうか、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

刑事告発と起訴

ここでいう告発とは、国税局が査察調査の結果、刑事罰を与える必要があると考えた場合に、検察庁に刑事裁判にかけること(起訴)を求めて訴え出ることです。
告発は、基本的に脱税をしてしまった人や会社が所在する地域を管轄する地方検察庁に対して行われます。
告発を受けた検察庁は、その後刑事事件として捜査を開始し、捜査が行われた結果、犯罪の嫌疑が認められれば、起訴されることになります。
起訴された場合には、刑事裁判が始まります。

※脱税事件の流れについてはこちらhttps://datsuzei-bengoshi.com/datuzei_nagare/

判決

国税庁が令和5年に発表した資料によると、査察事件の第1審判決の状況は、令和4年度中の判決件数61件全てが有罪であり、有罪率は100%となっています、このことから一旦起訴されると有罪となる可能性は極めて高いのが実情です。

脱税で告発された場合、不起訴となる場合があるのか

既に述べたように、告発を受け、検察でさらに捜査が行われた結果、犯罪の嫌疑が認められる場合には、起訴されることになるのですが、検察統計によると、租税に関する直接税(所得税法、法人税法、相続税法、地方法人税法)関係の犯罪及び間接税(酒税法、消費税法)関係の犯罪を合わせた起訴率は、平成30年から令和4年の5年間をみるといずれも80%を超える高率で推移しており、90%を超えている年もあります。
国税局の査察部が調査を遂げた後、検察官と国税局の間で会議(告発要否勘案協議会)が設けられています。起訴率が高いのは、同会議で告発するかどうかの判断がなされ、検察官によって告発を受理することが認められた事件だけが、実際に告発に至っているという実情があるからです。

どのような場合が不起訴になっているのか

検察統計によれば、少数ながら、告発されても不起訴となっている者がいることも事実です。
ただし、脱税の共犯者等が不起訴になることはあっても、納税義務者が不起訴となることはまずありません。納税義務者は、脱税の主犯であり、脱税によって利益を得ていると考えられるからです。
起訴されない場合とは、納税義務者以外の者で
①経理担当者として脱税に協力し、納税義務者との間で脱税の共謀が認められるものの、特別な利益(脱税に協力したことのボーナス等)は得ておらず、納税義務者の指示に従っただけである者
②領収書や請求書等を偽造して脱税に協力しただけの者、すなわち、幇助犯にとどまる者

等の場合が考えられます。なお、この①,②の場合、脱税に協力していたとしても、そもそも告発されない可能性もあります。
逆に、②の場合のように、脱税への関与が小さいと考えられる者でも、その報酬の額によっては、起訴されることもあり得るので注意が必要です。

起訴されないために重要なこととは

起訴をするかどうかの決定権限は検察だけが持っています。そのため、起訴されないためには、検察に意見書を提出するなどして、起訴されないように積極的に意見を述べる必要があります。
具体的には、犯罪の嫌疑自体がないこと、嫌疑があったとしても脱税への関与が小さく、報酬も得ていないなど、起訴すべき事案ではないことを検察に対して積極的に意見し、かつ、実際に説得することができるかが重要です。
そこでは、こちら側の主張を根拠付ける資料を可能な限り収集し、検察に提供できるか等も重要なことになります。

最後に

脱税事件によって刑事告発をされたら、すぐに弁護士に相談しましょう。
納税義務者でない場合、たとえ告発を受けたとしても、脱税事件に強い弁護士に依頼をすることで、不起訴を勝ち取れる可能性が出てきます。

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