金密輸が発覚すると厳しい処罰も

金密輸について、発覚するとどのような処罰が考えられるのかについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

1.金密輸に関係する犯罪

金密輸の事例としては、東南アジアなどで金を買い付け、日本に持ち帰って買い取り業者に売るというものがあります。
海外で購入したものを日本に持ち帰ることは輸入に当たるといえますが、金を日本に持ち帰る場合には、注意が必要です。
重量が1キログラムを超える金の地金(純度90%以上)又は②ほかのお土産と合わせて20万円を超える金の地金を携帯輸入する場合には、事前に税関で申告する必要があります。
このような場合に、無申告で日本に持ち帰ると、「関税法違反」として処罰の対象となります。
関税法違反となる場合には、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金またはその両方の刑罰が科せられる可能性があります。

また、日本で売買することによって得た利益については、所得となります。
この場合に問題となるのは、消費税法、所得税法、地方税法です。
金を売った利益が所得となるため、所得税や住民税の確定申告が必要になりますし、売った場合には消費税の納税義務も生じます。
そのため、確定申告をしていなかったり、消費税の納付をしていない場合には、消費税法違反や所得税法違反、地方税法違反という罪に問われてしまう可能性があります。
この場合の罰則は、10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金またはその併科となっています。

2.手続きの流れ

金の密輸が疑われる場合、税関から通報され警察の捜査が開始されることもありますが、税務調査によって発覚する場合もあります。
税務調査は、所得隠しの疑いがあったりする場合に、確定申告の内容が適切かどうかを見極めるために行われるもので、任意調査です。
しかし、この税務調査で所得隠しが明るみになり、意図的に所得を隠していて悪質性が高かったり、無申告にかかる税額が多額に上ったりした場合には、国税局の査察調査を受けることになります。
査察調査は、強制調査として行われ、刑事告発を視野に行われます。
国税局査察部が会社などに立ち入り、必要な資料などを強制的に押収して聴き取り調査などを行います。
その後、刑事告発するかどうかが検討され、刑事告発すべきとなった場合には、検察庁に対して告発がなされ、以後は刑事事件として捜査を受けることになります。
多くの場合には逮捕されて捜査を受けることになり、その後刑事裁判を受けることになります。
刑事裁判では、有罪無罪のほか、有罪の場合には実刑か執行猶予判決か、罰金をいくら併科すべきかが決められます。
このように、脱税を疑われる場合には、税務調査から査察調査、刑事事件手続まで発展する可能性があります。

3.どのように対処すべきか

税務署の税務調査が入った場合には、まずは専門家に相談することをおすすめします。
なぜ税務調査が入ったのかを専門家である税理士や弁護士とともに検討して、査察調査に発展したり、刑事事件化してしまう可能性があるのかを確認してもらいましょう。
場合によっては、修正申告などで十分対応することが可能です。
しかし、査察調査や刑事事件に発展する可能性がある場合には、より慎重な対応が必要です。
告発をされないために、修正申告を行い未納の税額を早急に収めたり、聴き取り調査に対してきちんと対応したりできるかが重要となってきます。
また、刑事事件となって捜査を受けることになった場合には、逮捕されないための活動や不起訴獲得に向けた活動、さらには刑事裁判に対する準備なども早い段階から行っていくことが必要です。
特に査察調査が入った場合には、告発率は70%程度と言われていますので、刑事事件化を見据えて刑事事件に強い弁護士にも相談し、どのように対処していくべきか確認していくべきでしょう。
金密輸の場合には、悪質性が高いとして、比較的長期の懲役刑が科される可能性もありますし、併せて利益の3割程度の罰金刑も科される可能性があります。
刑罰とは別に、本来納めるべきであった税額に重加算税などの追徴課税も課せられることになるため、金銭的なペナルティが非常に重いものになります。
早期に弁護士や税理士などの専門家に相談して対応していきましょう。

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