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延滞税とは
法定納期限までに税金を納付していない場合に課税されるものです。
延滞税が課されるのは、
- 申告などで確定した税額を法定納期限までに完納しないとき
- 期限後申告書又は修正申告書を提出した場合で、納付しなければならない税額があるとき
- 更正又は決定の処分を受けた場合で、納付しなければならない税額があるとき
です。
延滞税は本税を対象に課税されるため、加算税などには課されません。
※延滞税の計算方法
- 納付期限(平成26年1月1日以後)の翌日から2か月の間の場合
年率「7.3%」か「特例基準割合に1%を加えた割合」のどちらか低い方を納税すべき金額に乗じ、その値に「税金の完納期限の翌日から完納又は2か月を経過する日数」に応じた割合 - 2か月を超える期間の場合
年率「14.6%」か「特例基準割合に7.3%を加えた割合」のどちらか低い方を納税すべき額に乗じ、「2か月を経過する日の翌日から完納の日」に応じた割合
※特例基準割合…前年の銀行の新規の短期貸出約定平均金利に年1%分を加えた割合
※本税が1万円に満たない場合、延滞税は発生しません。
加算税とは
申告が適正になされなかった場合や源泉徴収義務を怠った場合に課税されるものです。
加算税には、過少申告加算税、無申告加算税、不納付加算税、重加算税の4種類があります。
①過少申告加算税
期限内に確定申告をしたが、申告額が申告をしなければならない額よりも少なかったため、修正申告や更正があり、新たに納めることになった税金が発生した場合に課税されるものです。
原則として、新たに納めることになった税金の10%が課税されますが、新たに納めることになった税金が期限内に申告した税額と50万円のいずれか多い方の金額を超える部分については、15%が課税されます。
調査通知前までの修正申告の場合には、過少申告加算税が課税されませんが、調査通知以後、更正・決定予知前にされた修正申告に基づく過少申告加算税の割合は5%となります(上記15%課税される部分については10%に軽減)。
②無申告加算税
期限内に確定申告せず、加えて納付すべき税金がある場合に課税されるものです。
なお、申告期限から1カ月以内に自主的に申告すること及び納めるべき税額の全てが法定納期限までに完納しており、過去5年で無申告加算税又は重加算税が課税されたことがなく、かつ期限内申告をする意思があったと認められた場合は、課税されません。
納付すべき税金のうち50万円までは15%、50万円を超える部分については20%が課税されます。
調査通知前の修正申告・期限後申告の場合には5%、調査通知以後から調査による更正等予知前までの場合には10%(50万円を超える部分については15%)に軽減されます。
③不納付加算税
源泉徴収した所得税を納付期限内に支払わなかった場合に課税されます。
納付すべき税金の10%が課税されますが、納税の告知を予知しない法定納期限後の納付の場合には5%に軽減されます。
④重加算税
①~③の各加算税が課税される場合で、仮装や事実の隠ぺいにより申告した、又は申告を怠った場合に課税されます。
- 過少申告加算税の代わりに追加本税の35%が課税
- 無申告加算税の代わりに納付すべき税金の40%が課税
- 不納付加算税の代わりに納税すべき税金の35%が課税
※過去5年以内に無申告加算税又は重加算税を課されたことがある場合には、それぞれ10%が加算されます。
加算税と罰金の違い
加算税のことを「罰金」と記載している記事が多くあります。
特に重加算税は税率が高いため、罰金と言われる方がしっくりくるかもしれません。
しかし、刑事罰としての「罰金」と加算税は全然違うものです。
刑事罰の「罰金」は、刑事裁判を経て有罪となった場合に科されるもので、罰金刑が法律上規定されている犯罪について科すことができるものです。
罰金刑に処された場合、前科となり、資格や職業によっては欠格事由となっているものもあります。
一方、加算税はあくまでも確定申告などが適正に行われなかったことに対するペナルティであり、行政制裁的な性格を有するものです。
ですから、加算税を課税するにあたって裁判を経ることは必要ではありません。
また、たとえ重加算税が課せられたとしても、前科にはなりません。
もっとも、加算税が課せられるような事案の場合、同時に刑事事件に発展することもあります。
例えば、正当な理由なく、納税申告書をその提出期限までに提出しなかった場合、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処されることになります。
また、故意に納税申告書を期限までに提出しなかったなど違法性が強いと判断される場合には、5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金又はその併科と定められています。
さらに、「偽りその他不正の行為」によって税金を免れた場合には、ほ脱犯として、10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金又はその併科という重い刑罰を科せられる可能性があります。
なお、罰金刑の上限額よりも脱税額が多いときには脱税額に合わせて罰金を科すことも可能ですので、場合によっては1000万円を超える罰金刑に処される場合もあります。
すべての加算税が課せられる事案で刑事事件化するわけではありませんが、国税局の査察調査が入った場合など、刑事事件化する可能性が高い状況にある場合には、早急に刑事事件に強い弁護士に相談しましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件を中心に取り扱っており、脱税事件についても取り扱っています。ぜひ一度ご相談ください。