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1.弁護士の業務範囲
弁護士は、
当事者その他関係人の依頼又は官公署の委嘱によって、
- 訴訟事件に関する行為
- 非訟事件に関する行為
- 審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件に関する行為
- その他一般の法律事務
を行うことを職務とし、当然、弁理士及び税理士の事務を行うことができる(弁護士法3条)とされています。
このように、弁護士は、税務を含む法律事務全般を取り扱うことができ、その権限についての制限はありません。
なお、弁護士は、税理士業務を行う場合には、所属弁護士会を経て、国税局長に通知する必要がありますが(税理士法51条)、通知を行えば、随時その国税局の管轄区域内において税理士業務を行うことができます。
2.税理士の業務範囲
税理士は、以下の業務ができるとされています。
- 税務代理(税理士法2条1項1号)
ア 税務官公署に対する法令に基づく申告等の代理又は代行
イ 税務官公署の調査、処分に対してする主張・陳述についての代理又は代行 - 税務官公署に対する申告書等の作成(税理士法2条1項2号)
- 税務代理又は税務書類作成に関し、租税の課税標準等の計算に関する事項について相談に応ずること(税理士法2条1項3号)
- 税理士業務に付随して行う財務書類の作成、会計帳簿の記載代行その他財務に関する事務(税理士法2条2項)
- 租税債務の確定に必要な事務の範囲内で行う社会保険労務士業務(社会保険労務士法27条但書、同法施行令2条2号)
- 租税に関する訴訟の補佐人として弁護士である訴訟代理人とともに出頭し陳述する権限(税理士法2条の2第1項)
- 現物出資等における財産の価格の証明(会社法207条9項4号)
- 会計参与(会社法333条)
このように、税理士が行える業務は、税務に関することに特化されています。
なお、⑥に関係して、税理士はあくまで補佐人として訴訟に関与することしかできず、訴訟代理人となれるのは弁護士です。
3.弁護士と税理士の業務まとめ
弁護士(※1) | 税理士 | |
税務相談 | ○ | ○ |
税務署類の作成 | ○ | ○ |
税務手続の代理・代行(訴訟を除く) | ○ | ○ |
税務訴訟の代理 | ○ | ×(※2) |
会計参与 | × | ○ |
※1 弁護士は税理士業務を行うためには、国税局長に通知をする必要があります(税理士法51条)。
※2 税理士は「補佐人」として関与することは可能です。
4.弁護士と税理士どちらに依頼すべきか
以上のとおり、税理士と弁護士の業務はほとんどの範囲で重なりがあります。
そのため、どのような場合に弁護士に依頼すべきか迷われることでしょう。
一般的な税務、日常の税に関する手続については、税務の専門家である税理士にお任せする方が、より細やかなアドバイスがもらえるでしょう。
しかし、税務訴訟や、査察が入って刑事事件化しそうな場合などは、訴訟代理人になれるのが弁護士だけですので、弁護士に依頼するしかありません。
弁護士は法律に関する様々な手続を代行することができますので、今おかれている現状で誰に相談や依頼をしてよいか迷っている方は、まず弁護士に相談されることをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、そのような方のご相談にも対応していますので、一度ご相談にお越しください。