事件別―パパ活

事例

Aさんは、マッチングアプリを通じて知り合った複数の男性とデートや性交渉をする見返りとして、1年間で合計1000万円を超えるお金をもらっていました。

また、Aさんは、お金ではなく自動車をプレゼントしてもらったこともありました。

Aさんは、もらった車の写真とともに「パパからもらった車」という文章をSNSにアップしました。

すると、SNSを見た友人から「ちゃんと税金払わないと脱税で逮捕されちゃうよ」とメッセージが来たので、不安になったAさんは、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に相談することにしました。

解説

1.パパ活とは

事例のAさんが男性から金銭をもらっていた行為は、いわゆる「パパ活」といえるでしょう。

「パパ活」とは、明確な定義はありませんが、一般的にSNSなどで個人的に知り合った人と金銭的な見返りを約束して飲食や性交渉を行うことということができるでしょう。

「パパ活」と似た概念として「ギャラ飲み」が挙げられますが、「パパ活」は基本的に1対1の関係であること、個人的に知り合った人との関係であること、飲食以外の行為も含まれることが多いことなどから「ギャラ飲み」とは区別されます。

また、「パパ活」はSNSなどを通じて個人的に関係をもつため、間にマッチングアプリ運営会社などを挟まないことから、見返りとなる金銭の額が高額になる反面、性犯罪などが起こりやすいという問題点も指摘されています。

2.パパ活の問題点

パパ活は、食事だけでなく性的関係を内容とするものもあり、様々な犯罪の加害者だけでなく、被害者にもなってしまう危険性が指摘されていますが、ここでは、税金に関係する問題について取り上げます。

パパ活の税金関係の問題点としては、「パパ活で得た利益について確定申告していない」という人がほとんどであることが挙げられます。

パパ活で「月に○回会って、〇円もらう」などの継続的な関係前提としてお金をもらっている場合、仕事に該当するとして、それによって得た金銭は所得税の対象となります。

また、1回きりの関係だとしても、相手があなたを個人事業主と捉えて報酬として金銭を支払っている場合も所得税の対象となります。

さらに、プレゼントとして自動車など高価なものをもらったり、生活への援助として金銭を受け取った場合には、贈与税の対象となる可能性が高いといえます。

このように、パパ活によって得た利益は、確定申告をしなければならない税の対象となりますので、確定申告をしていないと脱税となってしまいます。

なお、20万円を下回っていれば確定申告が必要ないという情報がインターネットなどに拡散されていますが、20万円を下回っていたとしても、住民税の確定申告が必要となるので注意が必要です。

3.脱税してしまったら

パパ活の収入が脱税に当たる場合、Aさんの例のようにSNSの履歴から発覚したり、友人知人からの通報により発覚したりすることが考えられます。

税務署が脱税の疑いを持つと、税務調査が行われ、場合によっては国税局による査察を受けてしまう可能性もあります。

また、調査の結果、悪質性が高く、脱税額も高額であるなどの事情がある場合には、刑事告発されて刑事事件化することも考えられます。

報道されている事件の中には、パパ活により数千万円の収入を得ていたのに、確定申告をしないで税金の支払いを免れていた人が逮捕されて刑罰を受けることになった例もあります。

パパ活をしていることを知られたくない人も多いと思いますが、そのような事態にならないためにも、きちんと確定申告をしておく必要があります。

もし、確定申告をし忘れたりして、確定申告をしていない場合には、脱税になってしまっていますので、早急に対応をする必要があります。

少ない金額だからとか、ばれなければいいだろうと軽く考えていると、所得税法違反の罪に問われてしまい、10年以下の懲役か1000万円以下の罰金、若しくはその両方を科せられてしまうこともあります。

すぐに対応することにより、悪質性が低いと考えられ、刑事事件化を避けられる可能性が出てきますので、早めに専門家に相談しましょう。

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