事件別―消費税法違反

事例

Aさんは、代表取締役をしている会社の課税期間における消費税の課税標準税額及びこれに対する消費税額を低く算出し、これにより控除される消費税額が実際よりも多く、消費税の控除不足還付税額も実際よりも多い金額であるという虚偽の消費税の確定申告書を税務署に提出し、実際の控除不足還付税額よりも多くの控除不足還付税額の還付を受けました。

解説

1.重点事案

国税庁では、査察制度の目的に鑑み、社会的波及効果が高いと見込まれる事案を重点事案として、査察に積極的に取り組んでいます。

消費税に対する国民の関心が極めて高いこと、特に消費税の輸出免税制度などを利用した消費税不正受還付事案は、いわば国庫金の詐取ともいえる悪質性の高い事案であることから、重点事案とされ、告発まで至るケースが多く見られます。

2.消費税還付

消費税を支払いすぎている場合に、払いすぎた分を返してもらえるという制度です。

還付される金額は、課税対象の売り上げて受け取った消費税額から、仕入れや経費で支払った消費税額を差し引いた額となります。

還付金を受け取れる可能性がある主な場合として、

  1. 赤字の場合
  2. 高額な設備投資を行った場合
  3. 輸出業を営んでいる場合

があげられます。

このうち、③の輸出業を営んでいる場合については、消費税の課税が国内での取引に限られるため、売り上げが国外で発生している場合には、還付金を受け取れる可能性があります。

3.税務調査、査察

消費税の不申告や消費税不正受還付を疑われる場合には、税務署の税務調査を受けることになり、悪質性が高い場合には国税庁の査察調査が行われることになります。

消費税事案については、重点事案になっていることから、査察が行われる可能性が高く、また、査察は刑事告発を念頭において行われるものであるため、刑事告発がなされ、刑事事件化する可能性が高いといえます。

4.刑事事件

刑事告発がなされると、刑事事件として捜査を受けることになり、逮捕・勾留といった身体拘束を受けたり、起訴されて刑事裁判を受けることになったり、脱税や不正受給の金額によっては、実刑判決を受けることになったりする可能性があります。

消費税を不正に免れたり、不正に還付を受けた場合には、消費税法違反として「10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」ということになります(消費税法64条)。

身体拘束を受けたくない、起訴されたくない、実刑判決を受けたくないという方は、査察がなされた段階から弁護士に相談し、今後の対応などについて協議し、十分な準備をしておく必要があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件を中心として数多くの事件を取り扱ってきた実績がありますので、刑事事件に発展してまった、刑事事件に発展しそうといった方はお早めにご相談頂くことをお勧めします。

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