このページの目次
1.地方税の種類
地方税 | |||
道府県税 | 市町村税 | ||
普通税 | 目的税 | 普通税 | 目的税 |
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2.個人住民税
(1)個人住民税とは
個人住民税とは、市町村民税と道府県民税を合わせたものです。
納税する場合には、市町村民税と道府県民税を一括して市町村に納め、道府県民税は各市町村から道府県に払い込まれることになります。
(2)所得割と均等割
個人住民税には、所得に応じた負担を求める「所得割」と、所得にかかわらず定額の負担を求める「均等割」があります。
所得割の税率は、所得に対して一律10%とされており、前年の1月1日から12月31日までの所得で算定されます。
均等割は、個人住民税は「地域社会の会費」的なものであるとして負担を求める個人住民税の性格を反映したもので、通常5000円(市町村民税3500円、道府県民税1500円)と定められています。
(3)税額の計算方法
①課税所得金額
所得金額から所得控除額を引いたもので、課税対象となる所得金額のことです。
②所得割額
課税所得金額に、所得割の税率である10%を掛けた後、税額控除額を引いたものです。
③税額
所得割額と均等割額(5000円)を足したものが個人住民税の税額となります。
④計算式
※所得控除
所得控除とは、納税義務者に扶養親族※がいるかどうか、病気や災害などによる出費があるかどうかなどの個人的な事情を考慮して、納税義務者の実情に応じた税の負担になるように、所得金額から差し引くものです。
※税額控除
税額控除とは、株式の配当などの配当所得がある場合や、対象団体に寄附をした場合に、税率を乗じた後の算出金額から、一定金額を差し引くものです。例えば、対象地方団体への寄附である、ふるさと納税があります。
(4)罰則
偽りその他不正の行為により市町村民税の全部または一部を免れた場合には、10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金に処し、又はこれを併科するとされています(地方税法324条1項)。
また、法人の道府県民税の脱税に関しては、同じく10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金に処し、又はこれを併科するとされています(地方税法62条1項)
3.固定資産税
(1)固定資産の種類
固定資産の種類 | 例 |
土地 |
田んぼ、畑、住宅地、池沼、山林、鉱泉地(温泉など)、牧場、原野などの土地 |
家屋 |
住宅、お店、工場(発電所や変電所を含む)、倉庫などの建物 |
償却資産 | 会社等(事業者)が所有する構築物(広告塔やフェンスなど)、 飛行機、船、車両や運搬具(鉄道やトロッコなど)、 備品(パソコンや工具など) |
(2)固定資産の評価
区分 | 評価方法 |
土地 | 宅地や農地の地目別(地目とは、それぞれの土地をその用途によって分類したもの。 例えば、田や畑、宅地。)に売買実例価格等を基礎として、評価額を計算。 なお、宅地については地価公示価格等の7割を目途に評価額を計算。 |
家屋 | 再建築価格(評価対象となる家屋と同一のものを、評価時点において、 その場所に新築するとした場合に必要となる建築費)に経年減点補正率等(家屋の建築後の年数の経過に応じて、生じる減価を基礎として定めた率)に乗じて、評価額を計算。 |
償却資産 | 償却資産の取得価格を基礎として、取得後の経過した年数に応じた価値の減少(減価)を考慮して評価額を計算。 |
(3)課税標準額の決定
算定された固定資産の評価に基づき、賦課期日(1月1日)の資産価格を決定し、これが課税標準額になります。
また、評価額に対して低い場合や評価額が急激に上昇した場合でも税負担をゆるやかに上昇させるよう負担調整措置という仕組みが講じられています。
なお、場合により特例措置(課税標準額を減少させる措置)が適用されることがあります。
※特例措置の例―住宅用地特例
住宅やマンションなど、居住できる建物の敷地を「住宅用地」といいます。
200m2以下の住宅用地は、課税標準額が価格の6分の1に軽減されます。200m2を超える住宅用地は、超えた部分の課税標準額が価格の3分の1になります。
(4)税額の計算
課税標準額に対し、税率(原則1.4%)を掛けた額が税額となります。しかし、市町村は必要に応じて、1.4%と異なる税率を条例で定めることができます。
また、場合により減額措置(税額を減少させる措置)が適用されることがあります(例:新築住宅特例など)
(5)罰則
固定資産税の納税者が滞納処分の執行を免れる目的でその財産を隠蔽し、損壊し、市町村の不利益に処分し、又はその財産に係る負担を偽って増加する行為をしたときは、その者は、3年以下の懲役若しくは250万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する(地方税法374条1項)とされています。
4.地方税で困ったら
地方税の中でも、特になじみのある住民税と固定資産税について概要を見てきましたが、最初に書いてあるように、地方税には様々な種類があります。
税率の算定方法や税の減額措置などについても様々あり、また、不正に税金納付を免れた場合には罰則も規定されています。
地方税についてどのようにどれくらい支払えばよいか分からない、過少申告してしまった、不正に税納付を免れてしまったというような場合には、早めに専門家に相談し、アドバイスを受けることをお勧めします。
特に刑事事件になる可能性もある場合には、税理士だけではなく弁護士にも相談して、最悪の事態を避けることができるよう、弁護士に協力してもらいましょう。