リバースチャージ方式とは

消費税

消費税のリバースチャージ方式について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

消費税の課税対象

消費税法第4条によると、①国内において、②事業者が行った、③資産の譲渡等について消費税の課税対象とする旨規定されています。
そして、同法2条によると、ここでいう資産の譲渡等とは、事業として、対価を得て行われる資産の譲渡及び貸付並びに役務の提供とされています。

従来、国外事業者が行う電子書籍や広告の配信などを行う役務の提供については、消費税の課税対象ではなかったもの

以前は、インターネットを介して電子書籍や広告の配信などを行う役務の提供が、国内取引に当たるか否かの判断は、役務の提供にかかる事務所の所在地が国内にあるか否かで判断することとされていました。
その結果、同じコンテンツを配信する場合であっても、役務の提供にかかる事務所が国内にある場合には国内取引として消費税が課税され、外国にある場合には消費税が課されないことになっていました。
これでは、事業者間で競争条件に大きな差が生じてしまいます。

リバースチャージ方式による消費税の課税関係について

上記のような不公平を是正するため、2015年10月から、消費税法が改正され、電子書籍・音楽・広告の配信等の電子商取引を「電気通信利用役務の提供」と定義し、国境を越えた事業者間の電気通信利用役務の提供にかかる消費税の課税においては、リバースチャージ方式が導入されました。
リバースチャージ方式とは、簡単に言うと、「支払った側」が消費税を納付する方式です。私達が、サービスを購入した際に支払う消費税については、税金を払っているという感覚はあるものの、実際に税金を国に納付しているのは、サービスを提供した(売った)側です。「リバース」とは日本語に訳すと「反対の」という意味であり、すなわち、リバースチャージ方式がとられれば、サービスを提供した(売った)側とは反対のサービスを受けた(購入し支払った)側が消費税を国に納付するということになるのです。
リバースチャージ方式が導入された結果、国外事業者から事業者向け電気通信利用役務の提供を受けた場合、サービスの提供者(売手)ではなく、サービスの受け手(買手)である国内事業者に消費税を課されることになり、これによって、外国の事務所からの配信であっても役務の受け手が国内に所在していれば、国内取引として消費税が課されることになりました。

リバースチャージ方式での申告・納税が必要な事業者

リバースチャージ方式は、全ての事業者に適用されるわけではありません。
経過措置により、一般課税制度により申告する場合で課税売上高割合が95%未満である事業者にのみ、リバースチャージ方式による申告と納税が必要になります。

最後に

リバースチャージ方式は、一般の方には、複雑でわかりにくい方式といえます。しかし、消費税といえども、税を課される事業者が申告・納税しなければ、税金の問題が生じ、税務署に把握されれば、無申告についてのペナルティを別途受ける可能性があります。
また、仮装隠ぺいなど悪質性が高いと判断された場合には、無申告加算税に代えて重加算税が課せられます。
さらに、納税が遅れると、その期間に応じた「延滞税」の支払いが求められます。
納めるべき税額が大きい場合、刑事告発されることも考えられます。
申告・納税しなければならないのにしていない方は、早めに税理士や弁護士といった専門家に相談しましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件を中心として扱っていますが、税法についても知識のある弁護士がそろっています。
初回の相談は無料ですので、一度ご相談にお越しください。

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