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ドラッグストアが追徴課税を受けた事件の報道をもとに、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
1 報道の内容
「ドラッグストア『ダイコクドラッグ』の大阪にある複数の店舗が、転売目的が疑われる中国人観光客に不適切な免税品の販売を繰り返していたと大阪国税局から指摘され、店舗を経営する2つの会社があわせておよそ3億円を追徴課税されていたことが関係者への取材で分かりました。」
「免税品を国内での転売目的が疑われる客に販売することは認められていませんが、関係者によりますと、大阪の繁華街ミナミにあるダイコクドラッグの複数の店舗では、中国人観光客に対して、スーツケースに入りきらないほどの量の化粧品や医薬品などを免税価格で販売していたことが大阪国税局の税務調査で確認されたということです。
国税局は、転売目的が疑われる客に免税販売を繰り返し、2019年から2年にわたって消費税の申告漏れがあったと指摘し、2社に過少申告加算税を含めてあわせておよそ3億円を追徴課税しました。
店舗には日本に住む案内役の中国人に連れられた観光客がたびたび訪れていたということで、不適切な免税販売の売り上げは30億円にのぼるとみられています。
親会社の『ダイコク』は修正申告と納付は済ませたとしたうえで『国税局の指摘を真摯(しんし)に受け止め、現在はルールにのっとった販売を行っています』としています。」
NHK「ダイコクドラッグ 転売疑いの客に免税販売か 国税局が追徴課税」(2024年6月4日)より抜粋
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240604/k10014470241000.html
2 免税店とは
物品の譲渡やサービスの提供が国内における取引であっても、その物品が輸出され、あるいはそのサービスの提供が国外で行われる場合には、それに対する消費税は免除されます。
その一環として、輸出物品販売場(これが免税店です。)において、日本に居住していない者に一定の物を販売する場合にも、消費税が免除されます。
免税店として販売しようとする場合、税務署に申請をし、許可をもらう必要があります。
3 転売目的の販売について
免税店においては、日本に居住していない者に対し「通常生活の用に供する物品」を販売する場合に、消費税が免許されています。
つまり、事業用又は販売(転売)用として購入することが明らかな場合には、免税販売対象外となります。
そこで、報道された会社は、転売目的が疑われる者に対する販売について、免税取引だとして、その分については消費税がかからないとして、申告したことが申告漏れとされたため、追徴課税がなされています。
4 修正申告について
報道された会社は、「修正申告と納付は済ませた」としています。
修正申告とは、事後的に納税者自ら従前の確定申告の内容を是正する手続をいいます。
そして、修正申告した上で、追徴課税も含めて納付を済ませたということであれば、税金に関する対応は基本的に済んでいるということになります。
もっとも、ここで注意して欲しいのは、上記のような税金に関する対応と、企業や代表者等が刑事責任を問われるかどうかは全く別の問題です。
国税庁より告発が行われ、刑事責任が問われるかどうかは、脱税した金額や脱税の方法などを考慮して、検察官が起訴するかどうかを判断し、裁判所がどのような刑罰に科するかを決定します。
そのような手続の中で修正申告が考慮される事情だとしても、修正申告をしたことで何もお咎めがないかと言われると別問題だということには注意が必要です。
5 最後に
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、脱税事件に強い弁護士が所属し、消費税法違反など多数の事件を取り扱っています。脱税をしたかもしれない、税務調査を受けることになった、国税庁から告発され刑事事件化するかもしれないなど不安に感じていらっしゃる方は、初回の相談は無料ですので、お気軽にお問い合わせください。