【事件解説】千葉で国税徴収法違反(滞納処分免脱)事件で有罪判決

判決

千葉県銚子市で発生した国税徴収法違反(滞納処分免脱)事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が詳しく解説します。

事件の概要

千葉県銚子市所在のゴム製品の製造販売会社が税の滞納処分の執行を免れようと会社の財産約1億6200万円を隠匿したという国税徴収法違反(滞納処分免脱)事件について、令和6年9月4日に、千葉地方裁判所で、懲役1年6月、執行猶予3年、罰金50万円の判決言渡しがなされましたhttps://www.chiba-tv.com/plus/detail/202406100583
この事件の手口は、2017年7月から2023年8月までの間、取引3社に対し、受け取る代金およそ1億6200万円を自分以外の口座に入金させて、その会社の財産を隠匿したというものでした。

滞納処分の手続

そもそも、税金は、納税義務を具体化し、その納付すべき税額を確定させる課税処分があり、その課税処分によって確定した税額が納期限までに完納されない場合に、税債権の強制的実現を図る徴収手続きである滞納処分が実行されていくというプロセスをたどります。
課税処分により具体的な税額が確定し、その納期限が1日でも過ぎれば滞納の状態となります。そして税務署から督促状が届き、電話や文書による納税の催促の連絡がきます。それでも無視していると、預貯金や不動産などが差し押さえられた上、差し押さえられた資産が換金されて滞納した税金に充当されていきます。
このとき、滞納処分には自力執行力があるので、差押に当たっては、裁判所の判決や令状などは一切必要ありません

今回の事件のポイント

ただ、滞納処分とは言え、差押ができるのはあくまで納税義務者名義の資産ということになります。
今回の事件では、ここに目を付けたのです。つまり、取引先の会社に、納税義務者の名義ではない別名義の口座に売り上げなどの代金を振り込んでもらったのです。
本来は、それらの代金は、納税義務者の資産のはずですが、納税義務者の名義と異なる名義の口座に売り上げなどの代金が振り込まれたため、滞納処分によっても直ちにそれらの資産を差し押さえることができなくなっていたのです。
これこそまさに資産の隠匿であり、滞納処分を逃れるための違法な行為ということになります。
このような行為は、これに共謀又は加担するなどした取引先の裏付け捜査、振込がなされた別名義の口座の金の動きなどを調べることによりその全容が明らかにされていきます。
そして、このような行為に対しては、3年以下の懲役若しくは50万円以下の罰金、又は併科される処罰を受けることになります。

滞納処分に関する事件に関与してしまったら

こうした事件を起こしてしまった、あるいは加担してしまった、国税局の調査が入った、検察の捜査が始まったなどの場合、国税当局や検察がどのような証拠をどこまで収集できたか、また、それらの証拠収集の適法性などに問題がないかなど事実認定上の又は法律上の高度で専門的な判断を要します
こうした事件の公判に対応していくためには、これらのことに精通した弁護士に依頼することが必要となります。

あいち刑事事件総合法律事務所には、これらのことに精通した弁護士が多数在籍しております。このような事態にいたったときは、是非、弊所にご相談ください。

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