【報道解説】法人税法等違反で東京国税局査察部が告発 脱税事件と刑事手続について

告発

法人税法等に違反したという理由で東京国税局査察部が告発を行った事件報道について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

報道内容

架空の外注費を計上し,法人税など約6100万円を脱税したとして,東京国税局査察部が法人税法違反などの容疑で,都内のイベント企画会社と同社代表取締役を東京地検に告発した。関係者によると,同社は2023年8月期までの3年間で,約1億8000万円の所得を隠し,法人税など約4600万円を脱税した疑いが持たれている。また,20年9月~23年8月,消費税など約1500万円を脱税し,約400万円の還付を受けた疑いもある。同社と取引のない法人や実在しない人物の名義で請求書を捏造し,架空の外注費を計上していた。代表者は取材に対し,「(脱税は)悪いことだと分かっていたが,会社の運営資金のためにやらざるを得なかった。既に修正申告や納付は済ませている」と話した。

(時事通信 令和7年4月9日付記事 一部改変
https://www.jiji.com/jc/article?k=2025040900611&g=soc)

事案解説

本件では,架空の外注費計上という典型的な手法で法人税等の脱税が行われています。脱税額は4000万円を超えており,金額的にも国税局による告発ラインにあがっていると考えられます。また,国税局が重点案件として調査対象としている,消費税の不正還付も問題とされています。

脱税事件と刑事手続

いわゆる脱税事件では,税務署が主体となる税務調査や,国税局による査察調査が行われます。税務調査や査察調査の段階で終了した場合は,刑事事件となることはありません。
これに対して,査察調査を終えた国税局が検察庁に告発を行った場合,刑事手続に移行することになります。捜査として検察官による取調べが行われるほか,場合によっては逮捕がされることもあります。検察官が起訴に踏み切った場合は刑事裁判となり,有罪の場合は懲役刑や多額の罰金刑が言い渡されます。

刑事手続を回避するためには

逮捕や起訴を伴う刑事手続に移行してしまうと,それまでの査察調査とは比較にならないほどの不利益を被ることになります。そのため,税務調査や査察調査にとどまっている段階で,早期に刑事事件の対応に詳しい弁護士へ相談や依頼を行う必要があります。
報道内容によると,代表取締役は脱税の事実を認めて修正申告を済ませているようですが,ここにも刑事手続におけるリスク回避のヒントがあります。例えば,脱税の事実を認めていることは,反省の態度を示すことになりますし,修正申告や予納を行うことにもつながります。脱税額にもよりますが,事実を認めていることは証拠隠滅の可能性にも関わるため,告発後の逮捕リスクを低減させる事情になります。
もちろん,ケースによっては脱税となるか否かを争わざるを得ない場合もあると思いますが,その主張が法的に通る見込みがあるかどうかは,早い段階で弁護士に相談しておくことが肝要です。
修正申告や予納の事実も,逮捕リスクの低減につながります。報道事案では既に告発がされていますが,脱税の手法や額によっては,早期に修正申告や予納を済ますことで,告発そのものを回避できるケースもあります。

早期対応がリスク回避につながります

ここまで述べたとおり,脱税事件として刑事手続へ移行することを回避するポイントは複数存在します。大切なことは,脱税となってしまうかどうかについて自ら判断してしまうのではなく,専門家の意見を確認することです。金額等の事情から告発や起訴も見込まれる事件については,税理士に加えて刑事事件に詳しい弁護士からも助言を得ることが重要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では,脱税事件での相談を初回無料で行っています。WEBによる遠隔相談にも対応しておりますので,査察調査等が始まってしまった場合は,弊所へご相談ください。
(https://datsuzei-bengoshi.com/soudan/)

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