クリニックの脱税が発覚したらどうなる?刑事責任・行政処分・手続きの流れを弁護士が解説

脱税

クリニックが脱税するとどうなるかについて弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

クリニックが支払う税金

クリニックが支払う税金は、その経営形態(個人事業主か医療法人か)によって大きく異なります。主な税金の種類は以下の通りです。

個人事業主の場合(個人クリニックの場合)

所得税:累進課税制度が適用され、所得が高くなるほど税率も高くなります(最大で45パーセント)
個人住民税
個人事業税

医療法人の場合

法人税:所得に応じて一定の税率で課税されます(出資金1億円以下の法人であれば、所得800万円以下の部分は15パーセント、800万円超えの部分は23.2パーセント)
法人住民税
法人事業税

いずれの経営形態でも発生する可能性のある税金

消費税:社会保険診療報酬は非課税ですが、基準期間における自費診療の売上などの課税売上高が1,000万円を超える場合、課税事業者となります。

クリニックが脱税を行った場合

脱税とは、課税される要件があるにも関わらず、これを故意に隠して、課税を免れようとする行為をいいます。
例えば、売上を意図的に除外したり、架空の経費を計上するなどにより、所得を圧縮する行為は脱税です。
この点、所得税法は「偽りその他不正の行為」により所得税を免れ、または所得税の還付を受けた者は、十年以下の拘禁刑若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科すると規定しています(所得税法238条1項)。その他の税目にも同様の規定があります(法人税法159条1項消費税法64条1項等)。

クリニックの場合も、適正に税金を納めなければならないことは当然です。この点、医療行為の収入は金額が大きいだけに、脱税が発覚した際の扱われ方も大きくなりがちで、一般社会に与える影響も大きいものがあります。また、脱税で有罪ということになれば、クリニックの経営そのものが成り立たなくなってしまう危険性があります。
さらには、医師の脱税行為に対しては、医師免許の取り消し、医業停止の処分など、所得税法等の条文に定められている上記刑事処分とは別に厳しい行政処分が科されるというリスクもあります。このような最悪の事態に陥らないよう注意が必要です。

刑事手続

クリニックにおいて脱税が発覚した場合、不納付額が過少の場合には、本来の納税額の納付に加えて、各種加算税等の納付の手続きを経て終結します。
しかしながら、不納付額が多額に上るなど悪質な脱税行為と判断された場合には、税務当局は、検察庁に刑事告発を行うことになります。

脱税の額が1億円になると脱税として刑事告発されると聞くことがありますが、実際にこうした明確な基準があるわけではありません。もちろん脱税の額も一つの基準とはなりますが、態様の悪質性や納税者のこれまでの対応など総合的に判断して、脱税として刑事告発されることになるようです。

刑事告発を受けた検察庁は、クリニックの経営者、経理関係者等を被疑者として取調べ、その後起訴するか否かを決めることになります。
最近では、刑事告発されると約8割から9割の高率で起訴されるに至っています。

また、起訴された場合には、刑事裁判が始まります。
国税局が毎年発表する資料によると、査察事件の第1審判決の状況は、いずれの年もほぼ100%の割合で有罪となっています。このことから一旦起訴されると有罪となる可能性は極めて高いのが実情です。

最後に

既にお話しましたように、ひとたび刑事告発をされてしまうと、極めて高い確率で起訴され、かつ、有罪となるという実情があります。ですから、クリニックが税務調査を受け、脱税が発覚するかもしれない、あるいは、発覚したという場合には、早急に弁護士に相談して刑事告発を避けるための活動をしていくのが極めて重要です。今現在何をどうしてよいかわからない方もとにかく早めに専門家に相談しましょう。

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