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【はじめに】
外貨建て預金は、円預金とは違って為替の変動があるため、「利益が出ているのに申告していなかった」という事態が起こりやすい資産です。特に、円から外貨に換えて預け入れ、後日、円に戻したときには、為替差益が生じることがあります。この差益は、場合によっては所得税の対象となり、申告をしていなければ申告漏れと判断されるおそれがあります。
国税庁も、外貨建預貯金の払出しに伴う為替差損益の取扱いを示しており、実務上は雑所得として扱われています。外貨建て預金の利子は、預入先や商品内容によって課税方法が異なります。国内金融機関の預貯金利子は、原則として源泉徴収で課税関係が終了しますが、国外で受ける預金利子などは確定申告が必要になる場合があります。
本記事では、為替差額や利息の課税リスクと刑事事件の落とし穴について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【事例】
会社員のAさんは、円高の時期に100万円を米ドルに替えて外貨建て預金を始めました。その後、為替相場が変動し、預金を円に戻したところ、受け取った金額は当初の100万円を上回っていました。Aさんは「預金で増えただけだから申告は不要だろう」と考え、勤務先の年末調整だけで済ませていました。
(事例はフィクションであり、実在の依頼者、その他個人、会社、団体とは一切関係ありません。)
【外貨建て預金の申告漏れとは】
外貨を円に戻したことで生じた利益は、為替差益として課税対象になる場合があります。
為替差益とは、円を外貨に換えた時よりも、外貨を円に戻した時の方が円換算額が増えていた場合の利益をいいます。
国税庁は、外貨建預貯金を払い戻したことにより生じた為替差益は、原則として雑所得に該当すると示しています。
このように、外貨建て預金では、預入時と払戻時の為替の差によって所得が発生し、その申告をしないと申告漏れになるおそれがあります。
【雑所得とは】
雑所得とは、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得、一時所得のいずれにも当たらない所得をいいます。
国税庁も、雑所得について「他の所得区分に当たらない所得」であると説明しています。そして、国税庁の質疑応答事例では、外貨建預貯金の払出しによって生じた為替差損益は、原則として雑所得として取り扱う考え方が示されています。
つまり、外貨建て預金の為替差益は、給与や事業の利益ではなく、他の所得区分にも当てはまらないため、雑所得として整理されるのです。
この「所得区分」を誤ると、申告方法や計算を間違える原因になるため注意が必要です。
【申告漏れが発覚するとどうなるの?】
外貨建て預金の申告漏れが発覚すると、本来納めるべき税金に加えて、加算税や延滞税が課されることがあります。
加算税とは、申告が遅れたり、申告額が少なかったりしたことに対して上乗せされる税金です。
たとえば、申告自体をしていなければ無申告加算税、申告はしたものの金額が足りなければ過少申告加算税が問題になります。
また、延滞税とは、納付期限を過ぎたことによる利息に近い性質の負担です。
国税庁も、確定申告漏れがあった場合には加算税や延滞税がかかることがあると案内しています(場合によっては加算割合が変わります)。
さらに、税務署から督促を受けても納付しなければ、財産の差押えなどの滞納処分につながる可能性もあります。
【刑事事件化するの?】
外貨建て預金の申告漏れが、直ちに刑事事件になるわけではありません。
もっとも、単なる計算ミスではなく、意図的に利益を隠したり、取引資料を隠ぺいしたりした場合には、悪質な脱税として査察・告発を経て刑事責任を追及される可能性があります。
国税庁も、査察制度は悪質な脱税者に対して刑事責任を追及するための制度であると説明しています。
また、所得税法では、偽りその他不正の行為により所得税を免れた場合に刑罰を定めています。
そのため、外貨建て預金の利益を把握しながら申告せず、隠ぺいや仮装を伴っていたような事案では、税務上の追徴だけでなく、刑事事件化のリスクにも注意が必要です。
【申告漏れをしてしまったら?】
外貨建て預金の申告漏れに気付いたときは、そのまま放置せず、できるだけ早く内容を確認することが重要です。すでに確定申告をしていて税額が少なかった場合には、修正申告によって正しい金額に直すことになりますし、そもそも申告自体をしていなかった場合は期限後申告で対応します。
国税庁も、誤りを把握した際には、できるだけ早く修正申告をするよう案内しています。
また、税務署から調査の事前通知を受ける前に自主的に修正申告をした場合には、過少申告加算税がかからないとされています。
外貨建て預金では、預入時の為替レート、払戻時のレート、受取利息、取引明細などが重要な資料になります。
早い段階で資料を整理して対応すれば、申告内容の確認や訂正を進めやすくなります。
【最後に】
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件の弁護活動を中心に取り扱う法律事務所ですが、脱税事件など税務が刑事時点に発展する事案にも対応しております。
税務調査が刑事手続に発展する局面では、特に捜査対応や身柄事件(逮捕・勾留)への備えが必要になることがあります。そのため、事実関係の整理や提出資料の作り方、取調べ対応など、刑事弁護の観点から助言できる体制を整える必要があります。
初回の相談は無料ですので、一度ご相談にお越しください。
