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【報道解説】脱税容疑で国税OB逮捕 知人にスキーム指南か―東京地検

2025-03-05
逮捕

国税局の元職員が脱税スキームを指南したとして東京地検特捜部に逮捕された事件報道について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

報道内容

知人の会社の法人税など約5100万円を脱税したとして、東京地検特捜部は6日、法人税法違反容疑で、大阪国税局元職員の会社役員を逮捕した。特捜部は認否を明らかにしていない。
関係者によると、容疑者は脱税スキームを指南していたとみられる。他の企業に対しても同様の手口を伝えていた可能性があるという。
逮捕容疑は、東京都内の不動産会社代表取締役の知人男性と共謀し、有価証券売却によって同社に損失が出たように装うなどして、2020年4月期の所得約2億1100万円を隠し、法人税など計約5100万円を免れた疑い
(時事通信 令和7年2月6日付記事https://www.jiji.com/jc/article?k=2025020600897&g=socより一部改変)

脱税事件の捜査

刑事事件で捜査というと、警察が行うものという印象が強いと思います。
通常の刑事事件の場合、警察が捜査を行い、捜査を遂げた上で警察から検察庁に書類送検などを行って、検察庁にいる検察官が容疑者を裁判にかけるのかいなか(起訴か不起訴か)を決定していくという流れをたどります。
もっとも、検察官が捜査をできないわけではなく、通常の刑事事件でも検察官が独自に捜査をする場合もあります。
一方、脱税事件では、警察ではなく検察官が最初から捜査を行います
脱税事件では、国税局が査察調査を行い、刑罰を与えるのが相当であると判断した場合には、検察庁と協議の上で、国税局が検察庁に告発を行います。
告発先は、警察ではなく検察庁という点で通常の事件とは大きく異なります。
告発を受けた検察庁では、特別捜査部(いわゆる特捜部)や特別刑事部(いわゆる特刑)などが捜査を担当します。
地方検察庁は各都道府県に設置されていますが、特別捜査部を設置しているのは東京、大阪、名古屋の3つだけとなっており、特別刑事部を設置しているのは札幌、仙台、さいたま、千葉、横浜、京都、神戸、広島、高松、福岡の10地方検察庁のみとなっています。その他の地方検察庁では一般の刑事事件を担当する検察官が脱税事件も担当することになります。
脱税事件は、国の財源に対する犯罪といえるため、地方公務員である警察ではなく、国家公務員である検察官が捜査を担当することになっており、専門性も高いことから専門部署で捜査を行っていくことになっています。
今回の報道でも、東京地検特捜部が捜査を担当しています。

脱税事件での逮捕

脱税事件に限らず、刑事事件では捜査の手法として逮捕をして身体拘束する場合と逮捕せず捜査をする場合(在宅捜査)の2パターンがあります。
逮捕をするかどうかについては、証拠隠滅の可能性、逃亡の可能性、身体拘束の必要性などから判断されます。
脱税事件の場合には、検察庁が捜査を開始する前に、国税局から査察調査を受けており、査察調査では身体拘束を伴う調査ができないため、査察調査にきちんと対応していれば身体拘束をしなくとも捜査にも協力してくれるだろうと思われることで、逮捕されることはそこまで多くありません。
もっとも、告発を受けた対象者が多数おり共犯者間で主張内容が食い違っていたり、証拠資料を査察調査前に破棄していたりといった場合には、逮捕される可能性が高まります。
今回の報道では、逮捕された理由は明確ではありませんが、容疑者が多数の企業へ指南をしている疑いがあり、関係者多数といえ、口裏合わせなどで証拠を隠滅する可能性が高いと判断されたと考えられます。

元国税局員であることの影響

今回の報道によれば、容疑者は大阪国税局の元職員とのことですので、税金についてはその知識も十分にあり、納税を十全に履行させるために尽力していた職業人であったといえます。
そのため、節税のレベルを超えて脱税を指南したということであれば、職業人として得た知識などを悪用し、国税局員という職に対する信頼もゆるがせたと判断され、一般の方が同じような事件を起こしてしまった場合と比べて、下される処分がより重くなる可能性があります。
当然、現職の国税局職員であった場合には、より重くなると思われます。

脱税事件で捜査を受けたら

脱税事件で捜査を受けることになった場合、起訴されるのは7~8割ほどとなっています。
そのため、裁判を見据えた活動をしていくことが重要です。
たとえば、取調べにおいてどのように供述していくのがよいのか、裁判で有利に働く証拠を作成できないかなど、弁護士に相談しながら準備しておくべきです。
また、逮捕をされている場合には、釈放を目指す活動も弁護士を通じて行っていきましょう。
早めに活動を開始することにより、最終的な結果も納得のできるものとなる可能性が高くなります。

【報道解説】賞与水増しで法人所得を過少申告 手渡し後に〝回収〟 大阪の部品会社を告発

2025-02-26
報道

大阪の部品会社が、ボーナスを水増しし、支払った後に回収するという手法で法人税等を過少申告し、大阪国税局から告発された事件の報道を、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

報道の内容

従業員の賞与を水増しして計上し、法人所得を過少に申告したなどとして、大阪国税局が法人税法違反の罪などで、大阪市東成区のディーゼルエンジン部品製造会社の社長と法人としての同社を大阪地検に告発したことが11日、関係者への取材で分かった。
関係者によると、社長は令和3年4月~5年3月までの2年間、一部従業員の賞与を実際より水増しして計上し、会社の所得を約3億8100万円少なくみせ、約9700万円を脱税したという。
社長はいったん実際よりも多い賞与を従業員に手渡し、その後、会社に戻させる手口で水増ししていた。こうして得た金は、社長と妻がブランド品の購入などに充てていたという。
(令和7年2月12日付産経新聞ネット記事 https://www.sankei.com/article/20250212-LJV5WYWHA5LNVJXN4XQDP6VQM4/ より内容を一部改変)

賞与と税金

賞与いわゆるボーナスは、月々の給与とは別に業績などに応じて支払われる金銭のことです。
賞与に関しては、労働基準法など労使関係について定める法律に明確な規定がないため、賞与を支払うも支払わないも自由とされています。
もっとも、雇用契約や就業規則等に賞与支払いについての定めがある場合には、賞与を支払わないことが「給与未払い」として扱われることになるため、注意が必要です。

賞与は給与所得となるため、賞与が支払われる際には受け取る側(従業員)の所得税の額が支払われる側(会社)から事前に差し引かれる(徴収される)源泉徴収制度の対象となります。
そのため、賞与にも所得税が課せられているといえます。

一方、賞与を支払う側(会社)は、支払った賞与について「経費」として損金計上できます。
そのため、賞与を支払うことが会社の節税につながるというメリットがあります。

今回報道されている会社は、この賞与が経費として計上できることを悪用し、法人所得から支払った賞与分を経費として差し引くことで課税される法人所得を低く見せたうえで、支払った賞与の一部を回収することにより不当に利益を得ていたということでしょう。

過少申告と加算税

今回報道されている会社は、会社の所得を少なく見せて脱税していたということですので、過少申告をしていたということになります。
過少申告とは、所得があるにも関わらずそれを一切申告していない「無申告」ではなく、所得の全てではなく一部だけしか申告していない場合のことを言います。
確定申告が一応なされている点で、無申告とは区別されます。
過少申告をしていた場合、正当な理由がある場合を除き、ペナルティとして過少申告加算税が課せられます。
過少申告加算税は、10%(期限内申告税額と50万円のいずれか多い金額を超える部分については15%)の割合で本然にプラスして支払わなければならなくなります。
また、仮装隠ぺいをしていたなど悪質性が高い場合には、過少申告加算税に代えて重加算税が課せられます。
重加算税は、過少申告加算税に代えて35%の割合で課せられることになります。
今回報道されている会社の場合には、手口が悪質で仮装隠ぺいをしていたといえるため、過少申告加算税ではなく、重加算税が課せられることになると考えられます。

告発された場合

今回報道されている会社は、大阪国税局から大阪地方検察庁に法人税法違反などの罪で告発をされています。
告発をされると、検察庁で刑事事件としての捜査が始まり、ほとんどの場合、刑事裁判になります。
刑事裁判になることを起訴(公訴の提起)といいます。
刑事事件として捜査を受ける場合、逮捕される可能性もあります。
逮捕されるかどうかは、証拠隠滅の可能性や逃亡の可能性がどれくらい高いといえるかなどで決まってきますが、たとえば、関係者が多数いるとか、脱税の事実を認めていない、脱税額が多額で実刑判決が予想されるなどの具体的事実を考慮して判断されます。
また、刑事裁判になると、これまでの事例では100%有罪判決を受けています。
有罪判決となった場合、会社代表者など人に対してだけではなく、その会社自体にも刑罰が科せられる可能性があります。
会社に対しての刑罰は罰金刑です。
罰金刑の額は脱税した額の約2~3割とされることが多いようです。
会社代表者などの人に対しては、懲役刑が下されます。この懲役刑に執行猶予が付けばいきなり刑務所に服役することはありませんが、執行猶予が付かなければ刑務所に服役することなります。

刑事事件に発展したら

告発を受けた場合には、すぐに弁護士に相談しましょう。
逮捕を避けたり、実刑判決を回避したりするため、修正申告や予納といった税金に関する手続を行うほか、弁護士を会社の顧問として雇って再犯防止に向けた施策を行っていくなど、刑罰を軽くするための活動を行ってくれます。
脱税事件については、裁判資料も計算書類など専門的な知識がないと理解できなかったり、そもそも分量が多くすべてを理解するためには多くの時間を要する等、通常の刑事事件に比べてより多くの労力や専門知識が必要となります。
そのため、脱税事件に詳しい弁護士に早急に相談されることをお勧めします。

【報道解説】北新地の高級クラブ代表 ホステス給与めぐり脱税の疑いで告発

2025-02-19
報道

高級クラブの代表者がホステスらの給与から源泉徴収した所得税を申告していなかったとして国税局から告発されたという報道をもとに、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

報道の内容

大阪の繁華街、北新地高級クラブを経営する代表が、ホステスなどから徴収した所得税を納めず、およそ8600万円を脱税した疑いで大阪国税局から告発されたことが関係者への取材で分かりました。
告発されたのは、大阪の北新地で3つの高級クラブを経営する代表です。
関係者によりますと、3つの店舗に在籍していたホステスやスタッフの給与から源泉徴収した所得税を申告しなかった疑いがあるということです。
大阪国税局は令和5年12月までの1年余りで、およそ8600万円を納めずに脱税したとして、代表を所得税法違反の疑いで大阪地方検察庁に告発しました。
NHKの取材に対し、代表は「脱税で得た金は、事業の過程で生じた借金の返済に使った。すでに一部の納税は、済ませている」とコメントしています。
(NHK 関西 NEWS WEB 令和7年2月12日の記事 https://www3.nhk.or.jp/kansainews/20250212/2000091615.html より一部改変)

源泉徴収とは

特定の所得については、その所得の支払の際に支払者が所得税を徴収して納付する源泉徴収制度が採用されています。
この源泉徴収制度は、①給与や利子、配当、税理士報酬などの所得を支払う者が、②その所得を支払う際に所定の方法により所得税額を計算し、③支払金額からその所得税額を差し引いて国に納付するというものです。

所得税は本来、所得を得た者が自ら確定申告をして納付するものですが、給与など特定の所得については、給与を支払う者が給与を支払う際に所得税額分を差し引いて給与を支払い、差し引いた(徴収した)所得税額分については、給与を支払った者が代わりに納付することになっています。

今回の報道の例でみると、高級クラブの代表者が給与をホステスに支払う際所得税額分を給与から差し引いて(徴収して)、残りの給与をホステスに支払っており、徴収した所得税額分はまとめて代表者が確定申告の上で納付する必要がありました。

不納付加算税

源泉徴収した所得税を納期限までに納めていないと、不納付加算税が課せられます。
正当な理由がある場合には、不納付加算税は課せられませんが、そうではない場合、原則として10%の不納付加算税が課せられることになります。
また、仮装や隠ぺいがあったような悪質と評価できる場合には、不納付加算税に代えて重加算税が課せられることになります。
重加算税は35%と非常に割合が高くなっています。

告発されると

今回の報道では、大阪国税局から大阪地方検察庁に告発がなされています。
告発とは、刑事処罰をもとめて捜査機関に訴え出る事です。
脱税事件の場合には、国税局の査察調査を受けたのちに、刑事処罰を求めることが相当と判断された場合に、地方検察庁に告発がなされます。
一般の刑事事件とは違い、初期の捜査から警察ではなく検察庁が捜査を行うことになります。
また、告発をされた場合、起訴率は約8割となっており、起訴された場合の有罪率は100%となっています。
刑事裁判では、懲役刑のほかに、罰金刑も併科されることがほとんどです。
そのため、本来納めるべきであった本税やペナルティとしての加算税のほか、罰金についても支払っていかなければならなくなり、脱税をして得た利益を全て吐き出させるような式身になっています。

専門家へ早めの相談を

脱税事件は、税務調査、査察調査、刑事事件としての捜査、刑事裁判という流れを通常たどります。
申告漏れなどがある場合には、税務調査など早めの段階から税理士や弁護士といった専門家に相談して、しっかりと対応していくことで、その後の査察調査や告発などを避けることが出来る可能性が高まります。
脱税をしてしまっているかもしれないなど、不安がある方は早めに専門家に相談しましょう。

税務調査と予納制度

2025-02-12
税制度

税務署による税務調査を受けている際に使うことのできる予納制度について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

税務調査と修正申告

所得税や法人税の確定申告内容に誤りがないかどうかを確かめるために、税務署は数年に1回ほどの頻度で税務調査を行います。調査の結果、申告内容に不備があることが発覚した場合は、本来納めるべきはずの税金を納付しなければいけません。
既に確定申告期限が過ぎている場合は、修正申告を行うことになります。本税の他にも、期限までに税金を納付しなかったことへのペナルティとして、附帯税も課せられます。附帯税には加算税(過少申告加算税や重加算税など)や延滞税といったものがあります。

延滞税とは

延滞税とは、期限までに税金を納めていなかった場合に、法定納期限の翌日から実際に納付を行った日までの日数に応じて課せられる附帯税の一種です。延滞税の割合は、法定納期限の翌日から2ヶ月を経過しているか否かで変わってきます
延滞税は、本税を基準に納付が行われるまで課せられるため、納税者にとって大きな負担となる場合があり得ます。

予納制度とは

先ほども述べたとおり、通常は修正申告を行ってから本税や附帯税を納めることになります。もっとも、修正申告までに時間を要してしまえば、その分だけ延滞税の負担も大きくなっていきます。また、既に国税局による査察調査に移行している場合は、強制調査によって関係資料が押収されてしまい、修正申告をしようにもできないこともあり得ます。
このような場合に役に立つのが予納の制度です。予納とは、納付すべき税額の見込額を税務署長に申し出て、あらかじめ納付することを指します。予納は修正申告を行う前にも可能なため、修正申告を行うまでに時間を要する場合や、手元資料の関係で修正申告が困難な場合にも行うことができます。
予納を行う際は、国税の予納申出書に必要事項を記載して所轄税務署に提出し、納付を行うことになります。予納申出書については、国税庁のホームページでも紹介してありますので、そちらもご参照ください。
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/zeirishi/annai/pdf/0019011-087_03.pdf

予納による延滞税の負担軽減

延滞税は税金を納めるまで課せられるため、予納制度により早期に納付を行えば、延滞税の負担を最小限に抑えることができます。税務調査官の方から予納を促されることもありますが、延滞税の負担を軽減する大きなメリットがあるため、納付できる現金が手元にある場合は、積極的に予納制度を用いて早期の納付を行っていくことが重要です。

予納制度と刑事事件の関係

予納制度を利用するもう1つのメリットに、刑事事件化を抑止する事情の1つになることが挙げられます。刑事事件化とは、税務署による税務調査や国税局による査察調査だけでは済まず、国税局によって検察庁に刑事告発をされた場合を指します。
刑事告発をされてしまうと、脱税事件という刑事事件として扱われることになるため、逮捕や勾留によって身体拘束がされるおそれもあります。検察庁によって起訴された場合は、刑事裁判を受けることになります。脱税事件が起訴された場合の有罪率は100%なため、起訴をされてしまうと、懲役刑や多額の罰金が科せられることになってしまいます。
予納制度を利用して税金の納付を行うことは、刑事事件化を回避するうえで有利な事情の1つとなりえます。国税局による告発や検察庁の起訴を行うか否かは、主として脱税額や脱税スキームの悪質性で判断されますが、納税者の姿勢も考慮されます。実際に、脱税事件の刑事裁判の量刑理由においても、修正申告の有無や本税、附帯税の納付が済んでいるかは考慮されています
予納により早期の納付を行うことは、好ましい納税者の姿勢として、有利な情状として考慮されます。ケースによっては、告発や起訴そのものを回避できることもありますし、起訴されるにしても、その範囲が縮小されることもあります。

早期に弁護士へ相談を

ここまで述べたとおり、予納制度は延滞税の負担軽減や刑事事件化の回避を目指すうえで重要な手段の一つといえます。
もっとも、予納によってどの程度まで刑事事件化を回避できるかを自力で正確に判断するのは困難です。そのため、予納制度の利用を検討している場合は、税理士だけでなく弁護士にも相談をしておくことが肝要です。

【事件解説】大阪国税局が大阪の会社、元税理士らを告発

2025-02-05
告発

大阪市阿倍野区内にある税理士事務所の代表らを大阪国税局が告発した事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事件の概要

大阪阿倍野区にある税理士事務所の代表であるA税理士が、顧問先の2つの会社に脱税を指南し、脱税させたとして、大阪国税局は、A税理士を法人税法違反などの疑いで大阪地方検察庁に告発しました。A税理士は、自己の顧問先に架空の請求書を用意させ、いずれも同じく自己の顧問先である大阪府寝屋川市の空調設備会社であるB会社と大阪市城東区の測量会社であるC会社に架空の外注費を計上させて所得を少なく見せかける手口で、脱税を指南していたということです。

大阪国税局の調査では、1昨年までの3年間で、2つの会社を合わせて計3億円余りの所得を隠し、脱税額は約1億2700円に上るとのことです。Aは、隠した所得の一部を報酬として得ていました。

また、B会社及びC会社の両前社長とも法人としての両会社も脱税した疑いで大阪国税局に告発されました。

(2024年12月4日、THE SANKEI SHIMBUNの記事より一部改変)

https://www.sankei.com/article/20241204-3466LCRGSVOK3CB6UB2P2GC2NQ

税理士が刑事罰の対象になる場合

主犯である納税義務者が脱税犯として処罰の対象になる(査察の対象になる)ような売上除外や架空経費の計上などの実行行為を行った場合に、税理士がそれと知りながら内容虚偽の申告書を作成し提出したような場合、脱税を手助けしたとして脱税幇助犯(刑法62条1項)となる可能性があります。

それを超えて、税理士が、納税義務者と共謀して主体的に脱税行為を行ったり、脱税した税金を山分けしていたら共同正犯者(刑法60条)として、納税義務者と同様に正犯(犯罪の実行者)の責任を負うことになります。

本件におけるA税理士は、自己の顧問先に架空の請求書を用意させるなど、納税義務者と共謀して主体的に脱税行為を行っており、共同正犯者として納税義務者と同等の責任を負う可能性が高いと考えられます。

また、税理士という職業からして、税務に関する専門家として、納税義務の適正な実現を図ることを使命としている(税理士法1条)ため、刑事罰の対象となった場合、一般人以上に厳しい処罰が要請されると考えられます。

最後に

今回は、実際報道されている事件をもとに、解説しました。 納税義務者でなくても他人の脱税に関与してしまったという場合には、早急に弁護士に相談して刑事告発を避けるための活動をしていくのが重要と考えられます。ひとたび刑事告発をされてしまうと、極めて高い確率で起訴され(最近では、刑事告発されると約8割から9割の高率で起訴されるに至っています。)、かつ、有罪となるという実情があるからです。弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、脱税に関する相談を無料で行っていますので、気軽に早急にお問合せください。

赤字と消費税

2025-01-29
税制度

赤字企業でも、消費税を納税する義務があるのでしょうか。弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

間接税と直接税

まず、今回の質問について述べる前提として、税金には間接税と直接税の2つがあります。間接税は、納税義務者(税金を国や地方自治体へ納める義務がある人)と担税者(税金を負担する人)が異なるもので、消費税がその代表で、そのほか酒税等があります。一方、直接税は、納税義務者と担税者が同じであり、法人税、所得税等が挙げられます。

赤字でも消費税の納税義務はある。

今回問題となっている「赤字企業でも納税義務があるのか」という質問に対する回答は、結論から述べると、赤字でも消費税の納税義務はあるということになります。たとえば、会社が支払う税金の場合、消費税は、法人自体が負担するものと思いがちです。しかし、実際には、消費税は、商品やサービスを購入する消費者が負担するものなのです。

もっとも、商品を購入するたびに、税務署に申告するのは煩雑で面倒であり、そのため法人や個人事業主が消費者から消費税を預かって、「代わりに」納税するしくみになっています。消費税が納税義務者と担税者が異なる間接税であるというのは、そういう意味です。

商品やサービスの価格を設定する際には、消費税分の金額を上乗せするのが通常でしょうが、この場合、法人や個人事業主は、消費者が支払うべき税金を預かっている状態なのです。したがって、赤字であるかどうかは、消費税の納税義務があるかどうかとは関係ないことになります。

消費税について確定申告をしていない場合

消費税で、確定申告が必要であるのに、申告を忘れていたり、申告漏れがあった場合には、確定申告期限前であれば直ちに、申告漏れのない確定申告を行ってください。確定申告後であれば修正申告する必要があります。とりわけ、企業が赤字の場合、経営者によっては、消費税を払わなくてよいと勘違いしている人も実際おられますので、要注意です。消費税については、その意味を正しく理解し、税額についてきちんと把握しておく必要があります。その結果、消費税を払い過ぎている場合には、消費税の還付を受けられる場合もあります。

一方、申告をしていない金額が大きくなれば査察調査の対象となって、更に悪質性が高いと判断されれば刑事事件に発展してしまう場合もあります。 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件を中心として扱っていますが、税法についても知識のある弁護士がそろっています。 初回の相談は無料ですので、一度ご相談にお越しください。

【報道解説】架空の外注費を計上するなどして刑事告発

2025-01-22
告発

架空の外注費を計上するなどして法人税法などを脱税したとして刑事告発されたという報道について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

1 報道の内容

「佐賀市にある化粧品会社の代表取締役らが、架空の外注費を計上するなどの方法で法人税などおよそ3200万円を脱税したとして、福岡国税局から告発されました。

告発されたのは、佐賀市兵庫北にある化粧品の製造や販売などを行う」会社の代表取締役と、その取引先の役員です。

「福岡国税局によりますと、代表取締役と取引先の役員は共謀して、化粧品会社から取引先への貸付金を架空の外注費として計上するなどの方法で所得を少なく見せかけていた疑いがあるということです。

福岡国税局は令和3年12月までの1年間に1億2700万円あまりの所得を隠し、法人税などおよそ3200万円を脱税したとして、化粧品会社と2人を福岡地方検察庁に告発しました。」

引用:佐賀 NEWS WEB(配信日:令和6年12月25日)
https://www3.nhk.or.jp/lnews/saga/20241225/5080018634.html

2 法人税法違反

法人税とは、法人の各事業年度の所得に対して課される税金です。
そして、法人の各事業年度の所得の金額は、当該事業年度の益金の額から当該事業年度の損金の額を控除した金額とされています(法人税法22条1項)。

報道によると、告発された代表取締役と取引先の役員は、化粧品会社から取引先への貸付金を架空の外注費として計上するなどの方法で所得を少なく見せかけていた疑いがあるとされています。
貸付金は、将来金銭を受け取る権利を表す資産として計上すべきであるにもかかわらず、それを架空の外注費、つまり損金に含まれる費用として計上することによって、所得を少なく見せかけていた疑いがかけられているものと考えられます。

このような脱税行為は、10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金に処し、またはこれを併科するとされています(法人税法159条1項)。
また、法人住民税などにも違反することも考えられます。

3 告発

報道によると、化粧品会社、代表取締役、取引先の役員は、福岡国税局から検察庁に告発されていることから、今後、法人税法違反などにより、刑事事件として取り扱われ、取調べや刑事裁判にかけられる可能性があります。

4 弁護活動について

刑事告発されたが、脱税したわけではないと主張していく場合には、今後行われるであろう取調べの中で、事情を説明する必要があり、そこには弁護士のアドバイスが必要になってきます。

また、脱税に該当するとしても、その認識や経緯などを踏まえて、取調べの中で説明していく必要があります。
特に、報道のような共犯事件の場合、誰が言い出したものなのか、役割分担がどうだったのかなどの点も問題となってくるので、適切な対応が必要になります。
さらに、脱税に該当するとすれば、本来納めるべき税金に加え、制裁としてさらに税金(重加算税といいます。)が課されることになると思われますが、それらについて修正申告した上で、率先して納めていくという動き方も考えられます。
そうした税金を納めるだけの資金がある場合にはそれほど問題になりませんが、十分な資金がない場合には、どの税金から、どのような時期に、納めていくかを検討する必要もあり、そこには弁護士によるアドバイスが必要になってくることが考えられます。

5 最後に

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、脱税事件に強い弁護士が所属し、多数の脱税事件を取り扱っています。法人税法違反で刑事告発された方は、初回の相談は無料ですので、お気軽にお問い合わせください。

【制度解説】保証債務の履行に伴う譲渡所得の特例

2025-01-15
税制度

譲渡所得とこの所得について保証債務の履行に伴う特例について見てみましょう。

所得の種類

所得税は、同じ個人の所得でも、その発生形態の違いから所得の種類を、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、譲渡所得など10種類に分けて、それぞれの所得の税金を負担する能力の違い等に応じて計算方法を変えるなどして税負担の公平を図っています。

 今回は、それらの所得のうち、譲渡所得とこの所得について保証債務の履行に伴う特例について見てみましょう。

譲渡所得とは

 譲渡所得とは、土地、借地権、家屋などの不動産のほか、機械器具、車両等の動産、特許権、漁業権、著作権などの無形固定資産の財産上の権利を移転させることにより、その対価として支払いを受けたものを指します。

 譲渡資産が、不動産であれば、その所有期間に応じて、長期譲渡所得、短期譲渡所得に分けられて課税されるなど、譲渡所得には細かいルールが定められています。いずれにしても資産の譲渡に対する対価が認識されれば、それは所得税として課税されることになります。

保証債務の特例

 このように本来であれば譲渡所得として課税されるところですが、一つの特例として、保証債務を履行するために資産を譲渡した場合に生じた譲渡所得に対しては所得税を課さないという定めがあります(所得税法64条2項)。

 中小企業では会社の代表取締役などが、会社の借り入れについて保証をするいわゆる経営者保証というのが非常に多いです。会社の経営が行き詰まれば、経営者は、自己の資産を処分してでも会社の借入金の返済をしなければなりません。保証債務を余儀なくされて資産を譲渡する一方で、結局、求償権は事実上画餅に過ぎないにもかかわらず、これに譲渡所得を課するというのあまりにおかしいというのが法の趣旨であると言われています。

問題点

 ただ、この定めは、過去に悪用されたこともありました。脱税請負人なる者らが、架空の保証債務を作出し、その履行を仮装して土地譲渡収入に対する譲渡所得の課税を免れるというものです。悪質なものには、保証債務の存在と履行を仮装するために、簡易裁判所における訴え提起前の和解(いわゆる即決和解)手続を利用して虚偽の和解調書を作成させたりするものもあったようです。なお、即決和解というのは、民事に関して争いのある事件について、民事訴訟を起こす前に、話合いによる解決ができた場合に、訴訟を起こすことなく、簡易裁判所に和解を申し立てて和解調書を作成してもらう手続きのことです。簡易裁判所においては、このような不正がないように、特に、即決和解の要件である紛争性については慎重に審査をしているところです。

 所得税法64条2項は、過去にこうした悪用事例があったことなどもあり、その適用に関して慎重な考え方もあるようですが、前述した立法趣旨からすれば、現下の経営者保証の実情などを踏まえ、適正妥当な解釈適用が望まれるところです。

【制度解説】盗品の被害額の表示は消費税を含むのか?

2025-01-08
税制度

 盗品の被害額について、事例を参考に、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

1 事例

ある日の深夜,某有名時計店で侵入盗の被害がありました。

犯人は,3人の外国人グループで,大胆にもお店のドアの施錠を破壊し,店内のディスプレに展示されていた高級腕時計をごっそり盗んでいきました。そのお店は民間の警備会社の機械警備が設置されており,犯人グループが侵入すると直ちに発報。しかし,警備員や警察官が駆け付けたときは,時既に遅し・・・,店内はもぬけの殻・・・。その後,警察の必死の捜査で,犯人グループの1人が逮捕され,他の犯人が検挙されないまま起訴されることとなりました。

犯人が盗んだ腕時計の中で,最も高級なものは,本体価格300万円の外国製の高級腕時計でした。当然,起訴状には,高級腕時計が被害品としてあげられていたのですが,その起訴状の公訴事実をよく見ると「被告人は,共犯者らと共謀の上,・・・・高級腕時計(販売価格330万円)を窃取したものである。」

と記載されていました。

 犯人達の盗んだ高級腕時計は,確か300万円。ということは,販売価格の330万円のうち,30万円は消費税です。

 しかし,盗難品の被害額の表示には消費税を含むのでしょうか?

2 消費税のしくみ

消費税の課税の対象になるのは,資産の譲渡等の場合です。

資産の譲渡等というのは,皆さんが消費者として毎日のように買物をするのがその典型です。

今回は、盗難被害に遭ったこの高級腕時計を例にして,消費税の仕組みをみていきましょう。

まず,高級腕時計の製造業者をA、問屋業者をB、小売業者をC、消費者をDとします。

製造業者Aが原価100万円の高級腕時計1個を製造し,これを問屋業者Bに売った場合,BがAに10万円の消費税を支払いAがこの10万円をBから一旦預かり消費税として納税します。次に,Bが100万円の仕入原価に利益分として100万円を乗せ,高級腕時計を200万円で売ると,消費税は20万円となり,CがこれをBに支払いますが,Bが消費税として納税する額は10万円です。これは,仕入原価100万円にかかる消費税10万円分は,仕入税額控除という税額控除を受けることになっているからです。ですからBはCから20万円を消費税として受け取っても,納税する額は10万円でいいわけです。これはつまり,Aから高級腕時計を仕入れる時点でBがAに支払っている消費税分であり,Aはその消費税を納税済みであり,その分は,最終的に消費者Dに転嫁される性質のものと考えればよいわけです。

そして,小売業者Cが200万円で仕入れた高級腕時計について,さらに100万円の利益を上乗せして300万円で消費者Dに売ると,消費税の最終負担者であるDが消費税として30万円をCに支払い,Cがその内,仕入れ時にBに支払った消費税額20万円を仕入税額控除して,10万円を納税すればよいことになります。

こうして取引の段階ごとに課税していくことを多段階課税方式といいます。

3 盗難被害に遭った高級腕時計の消費税はどうなるのか

既に述べた消費税の仕組みでわかるとおり、通常であれば、消費者が最終負担者として消費税の30万円を負担するわけですが、紹介した事案のような高級腕時計は、盗難に遭ったため、消費税の最終負担者である消費者はいません。

このように消費者のいない盗難は,消費税法上、買物のような資産の譲渡等には当たらないので,そもそも消費税が課税されないとされています。これを不課税といいます。そうすると、さきほどの消費税の仕組みの解説で出てきた小売業者のCは、本来、消費者から預かるはずであった30万円のうち10万円の消費税は納税する必要がなくなります。また、消費税法の基本通達(第11章第2節課税仕入の範囲11-2-9)では、課税仕入れのうち、盗難にあった物については、仕入税額控除をすることができるとされています。つまり、小売業者Cは、問屋業者Bに支払った仕入税額の20万円を控除することができるのです。ですから、最終的にCは、盗難にあった高級腕時計の消費税を負担しなくて済むということになるわけです。

4 それでも、盗難品の被害額には消費税が含まれる?

お話ししたように,盗品の場合,消費税は不課税となりますし、小売業者Cは、盗品に係る仕入税額は控除できるので、盗まれた高級腕時計の実被害額は300万円のはずです。

ただ,令和3年4月1日以降、商品の値札に取引価格を表示する際に,消費税額を含めた価格を表示する総額表示(内税表示)が義務付けられるようになり、消費税込みの額が販売価格となるのが当然となりましたし、捜査実務上、被害額の特定は販売価格によるとされていることから、盗難品の被害額を消費税込みの販売価格としているようです。 ご紹介した事例であれば、実際の盗難被害にあった腕時計の本体価格は300万円であり、それこそが実損害額であるはずなのに、誰も負担することのない消費税を含めた販売価格が被害額として表示されるのは、犯人に不利に被害額が大きくなるようで、いささか違和感を覚えますが、起訴状記載の公訴事実にしても、判決書の罪となるべき事実としても、被害品の記載の後にカッコ書きで「(販売価格330万円)」と表示されるのであり、販売価格とのことわりがあることからして、その実態として、被害の実額が300万円であるという認定はされているのでしょうから、消費税が含まれた被害額の認定としても、量刑上、被告人に不利な影響を与えることはないということになるのでしょう。

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2025-01-01
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