Archive for the ‘所得税・法人税’ Category

業務上横領と課税の関係とは~犯罪収益であっても課税されるのか、会社側の税務対応も含めて解説~

2026-05-28
脱税 逮捕

会社の金銭を管理する立場にある者が、その金銭を私的に流用した場合には、業務上横領罪が問題になります。

もっとも、問題は刑事責任だけにとどまりません。
横領によって得た利益が所得税の課税対象となるのか、会社側で誤った経費処理や売上除外がされていた場合にどのような税務上の不利益が生じるのかも、重要な論点になります。
国税庁は、収入の原因となった行為が適法かどうかを問わず、課税の対象となり得るとの考え方を示しています。

そこで本記事では、業務上横領課税の関係について、個人に対する課税と会社側の税務問題の両面から解説します。

1.業務上横領と課税が同時に問題となる理由

業務上横領とは、業務として預かっている他人の財物を、自分のもののように処分する行為をいいます。
会社の経理担当者、代表者、取締役などが会社資金を私的に使った場合には、刑法上の業務上横領罪が成立する可能性があります。

しかし、問題はそれだけではありません。
税法上は、違法に得た利益であっても、現実に経済的利益を受けていれば課税対象となる余地があります。

そのため、横領した本人には刑事事件だけでなく申告漏れの問題が生じ得ますし、会社側でも経費の誤計上や売上除外により、法人税源泉所得税の問題を指摘される可能性があります。

2.事例

たとえば、会社で経理を担当していた従業員が、現金売上の一部を抜き取り、数回にわたって自己名義の口座へ移していたとします。
さらに、別の場面では、取締役が会社名義のクレジットカードを私的な飲食や買物に使い、その支出を交際費や会議費として処理していたとします。

このような場合、横領した本人には業務上横領罪が問題となるだけでなく、取得した金銭について所得税の申告漏れが生じる可能性があります。

また、会社側でも、本来経費にならない支出を損金算入していたとか、本来計上すべき売上を除外していたとして、過少申告重加算税の問題に発展するおそれがあります。

3.横領で得た利益は所得税の課税対象になる

「犯罪で得たお金なのだから、税金はかからないのではないか」と考える方もいるかもしれません。
しかし、国税庁の所得税基本通達36-1では、「収入の基因となった行為が適法であるかどうかを問わない」とされています。
つまり、適法な取引で得た収入か、違法行為によって得た収入かを問わず、現実に経済的利益を受けていれば、所得税の対象となり得るということです。

そのため、業務上横領によって得た金銭も、本人が自由に使える状態に置いていたのであれば、所得として申告が必要になる可能性があります。
業務上横領による利得についても、確定申告が必要となる場合があるため、注意が必要です。

4.一時所得か雑所得かで税負担が変わる

横領による利益が課税対象になるとしても、常に同じ税額になるわけではありません。

問題となるのは、その所得が一時所得に当たるのか、それとも雑所得に当たるのかという点です。
国税庁によれば、一時所得は営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の一時的な所得をいい、雑所得は他の所得区分に当たらない所得をいいます。

一時所得には特別控除や2分の1課税の仕組みがあるため、雑所得より税負担が軽くなる場合があります。
これに対し、何回にも分けて継続的に着服していたような事案では、雑所得と評価される方向に傾く可能性があります。

どちらに当たるかによって税額に大きな差が生じ得るため、事案ごとの慎重な検討が必要です。

5.会社側では損金算入、役員賞与、売上除外が争点になる

会社側の税務でも、業務上横領は深刻な問題になります。

まず、私的流用された支出を交際費などの名目で経費計上していた場合には、本来損金算入できないものを損金算入していたとして、法人税過少申告が問題になります。

また、代表者や一定の権限を持つ取締役が会社資金を着服した場合には、その金額が役員賞与と認定され、損金不算入となるだけでなく、源泉徴収義務まで問題となることがあります。
さらに、代表者が売上を個人口座へ移し、申告から除外していたような場合には、単なるミスではなく、売上除外による仮装・隠ぺいと評価されやすくなります。

このように、代表者による私的流用は、役員賞与認定や源泉徴収、売上除外の問題と結び付きやすいため、会社としても早期に事実関係を整理する必要があります。

6.無申告加算税、過少申告加算税、重加算税、延滞税に注意

横領した本人が申告をしていなければ、所得税について無申告加算税延滞税が発生する可能性があります。
国税庁のタックスアンサーでも、期限後申告や調査後の申告には無申告加算税がかかり、納付までの期間に応じて延滞税も必要になると案内されています。

また、会社側でも、誤った経費処理や売上除外があれば、過少申告加算税が問題になります。

さらに、仮装・隠ぺいがあったと判断されれば、通常の加算税ではなく重加算税が課されるおそれがあります。
特に、代表者主導の売上除外は悪質と見られやすいため、注意が必要です。

社内で横領が判明した段階で、税務調査が入る前に修正申告を検討することが重要になります。

7.事務所紹介

業務上横領の事案では、被害会社との示談交渉、刑事弁護、返済計画の立案だけでなく、申告漏れ修正申告税務調査対応まで視野に入れた対応が必要になることがあります。
特に、横領した本人の立場では、刑事事件への対応だけを考えていると、後から税務上の問題が大きくなるおそれがあります。

また、会社側でも、社内不正の発覚後にどのように事実関係を整理し、どの時点で修正申告を行うかによって、不利益の大きさが変わることがあります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件に関するご相談を幅広く取り扱っており、業務上横領が発覚した場合の初動対応についてもご相談いただけます。
早い段階で対応方針を整理することが、不利益の拡大防止につながります。

【報道解説】トレーディングカードの転売利益で申告漏れが指摘された事例

2026-05-14
税金とお金

近年,市場規模が拡大傾向にあるトレーディングカードは,ジャンルやテーマが豊富で,幅広い年齢層での人気が見られます。世界規模での大会も開催されるカードゲームにおける使用はもちろん,コレクション対象にもなるトレーディングカードは,時としてかなりの高値で取引されることもあります。

カードゲームにおいて強力なカードや,人気イラストレーターによるデザインのトレーディングカードは価値がつきやすく,大会やイベントでの限定配布といった流通数の少ないレアカードでは,その傾向はより顕著になります。カードによっては1枚あたり数百万円近くで取引されることもあり,オークションなどを通してさらに高値がつくこともあります。投機対象ともなるトレーディングカードは市場での注目度も高く,現在では専門のカードショップも多数存在するほか,個人で仕入と売却を行い,副業として成立させるケースもあります。

転売によって大きな利益を上げる可能性もあるトレーディングカードの取引ですが,申告漏れによって追徴課税をはじめとする多大なペナルティを受けてしまうこともあります。今回は,トレーディングカードの転売によって生じた利益の確定申告を怠り,国税局によって摘発がされた報道事例について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【報道事例】

人気アニメの「トレーディングカード」(トレカ)を転売していた神戸市の男性3人と会社1社が2022年,大阪国税局の税務調査を受け,計約1億円の申告漏れを指摘されていたことがわかった。関係者によると、神戸市に住む男性3人は17~21年,インターネットサイトや中古品販売店で購入したトレカをネットなどで転売。利益を得ていたが確定申告を怠り,計約8000万円の申告漏れを指摘され,無申告加算税を含む計約1900万円を追徴課税されたという。3人は税務調査に対して「申告方法がわからなかった」などと説明したという。
令和5年4月15日付読売新聞オンラインの記事より引用。一部修正)

【事例解説】

脱税申告漏れは,不正の目的の有無によって区別されます。
架空の経費計上や売り上げの一部を除外するといった,意図的な不正の目的があれば脱税となります。これに対して,計算ミスなどによって結果的に納税額が誤っていた場合は,申告漏れとして扱われます。

脱税に該当する場合,単に不足している税金を払うだけでなく,刑事事件に発展することもあります。脱税額が高額に及ぶ場合や,その手法の悪質性が顕著な場合は,国税局による告発と検察官による起訴を通じて,刑事裁判を受けなければならなくなります。刑事事件となった場合は,逮捕や勾留といった身体拘束,高額の罰金や拘禁刑による服役といった刑事処罰を伴うことになります。

報道事例では申告漏れと表現されているため,不正の目的までは国税局によって認定されなかったと考えられます。もっとも,脱税として刑事事件にはならなくても,追徴課税によるペナルティは軽視できません。追徴課税においては,本来納めるべき税金を納付するだけでなく,延滞税加算税といった附帯税が課せられることもあります。

報道事例では,トレーディングカードの転売利益について,そもそも確定申告をしていなかったため,無申告加算税が課せられています。
税務調査後に申告を行った場合,納付しなければならない税金に15パーセントの割合を乗じた額の無申告加算税がかかります。納付する税金が50万円を超えている場合は,超えている部分に20パーセントの割合無申告加算税が課せられます。

【トレーディングカードの取引と申告漏れのリスク】

報道事例のケースでは,トレーディングカードの転売によってかなりの利益を上げていたようですが,結果的には多額の追徴課税を受けています。申告方法がわからなかったという弁明がそのとおりだったとすると,適切に確定申告をしてさえいれば,さらに利益を上げることができていたため,非常にもったいなかったといえます。

副業としても成立する手軽さと,ものによっては大きな利益を上げることができるトレーディングカードの取引は魅力的ではありますが,税金に関する正しい理解を欠いていると,報道事例のように国税局の摘発対象となってしまいます。
今回紹介した事例では申告漏れが問題となっていましたが,同じトレーディングカード関係では,脱税事件として法人税法違反消費税法違反で告発や逮捕がされた報道例も存在しています。
国税局が公表した査察事例の中にも,トレーディングカードの取引に関するケースに言及がされているため,国税局から見ても関心の高い取引分野といえます。

【トレーディングカードの取引で申告漏れとならないために】

トレーディングカードの取引によって申告漏れが指摘されないためにも,専門家による助言やサポートは欠かせません。その際は,税理士によるチェックに加えて,弁護士の関与も重要となってきます。単なる申告漏れで済まず,脱税として刑事事件に発展する可能性があるか否かは,法律の専門家である弁護士の視点や判断も必要となってくるからです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では,刑事事件を専門的に取り扱ってきた経験を活かし,脱税事件となるリスクについても,法律家の観点からアドバイスを行います。初回無料の法律相談はオンライでも対応しておりますので,トレーディングカードの取引で申告漏れとなっていないか不安な方は,弊所までご相談ください。

【事例解説】インフルエンサー,ユーチューバーとしての活動と脱税リスク

2026-04-23
動画投稿者

多数のフォロワーを抱えるインフルエンサーの発信は,SNSの普及もあいまって,社会的に大きな影響力を有しています。現在では一般層にも定着したといえるユーチューバーも,インフルエンサーの一種です。企業案件や広告収入によって収益を得るインフルエンサーですが,その活動が脱税事件として摘発されてしまうリスクもあります。
今回は,実際に脱税事件として摘発されたインフルエンサーの報道事例を基にして,脱税事件となった場合のリスクや予防策について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【報道事例】

著名なインフルエンサーとして活動していた女性に対し,東京地方裁判所は初公判の日程を決めました。女性は約4億9600万円の所得を隠し,法人税や消費税など合わせて1億5700万円ほどを脱税した罪で,昨年12月に東京地方検察庁特捜部に在宅起訴されていました(2月17日付ヤフーニュースの記事より引用。一部修正)。

【事例解説】

本事例は著名なインフルエンサーによる脱税事件として,起訴の時点から大きく報道されていました。既に刑事裁判となっているため,ここまでに国税局による査察調査及び告発,検察庁による起訴がされたことになります。脱税事件の流れについては,こちらの記事もご参照ください。

起訴された時点の報道によりますと,法人の代表でもあったインフルエンサーの女性は,架空の業務委託費を計上する手口で,2021年1月期と24年1月期までの2年間に,計約4億9600万円の所得を隠し,法人税など計約1億2600万円を脱税したようです。
また,2022年2月から2025年1月にかけて,消費税など計約3100万円を脱税したとも報道されています。代表である女性のほか,法人と会社役員2名も起訴されているようです(12月25日付時事ドットコムニュースの記事より引用。一部修正)。

査察調査を経て,悪質な脱税事件と判断された場合は,国税局から検察庁へ告発が行われます。告発後は検察庁による取調べが行われ,ケースによっては逮捕・勾留といった身体拘束を伴うこともあります。検察官が起訴の判断を行った場合は,刑事裁判を受けることになります。本事例では脱税額が高額であったことなどから,告発起訴は免れなかったと考えられます。

本事例では法人税法違反などを理由に起訴がされていますが,法人税法を例に挙げると,脱税事件の罰則については「10年以下の拘禁刑若しくは1000万円以下の罰金に処し,又はこれを併科する」と定められています(法人税法159条1項)。
有罪となった場合,拘禁刑と罰金のいずれも言い渡されるのが一般的です。本事例のように,代表だけでなく法人も起訴されている場合は,法人に対しても罰金処分が科されることになります。

【脱税リスクを避けるためには弁護士に相談を】

ひとたび脱税事件として起訴がされてしまうと,高額な罰金が言い渡されてしまいます。脱税額や手法の悪質性によっては,拘禁刑に執行猶予がつかず,実刑となるケースもあります。また,検察庁への告発がされた時点で,捜索差押えの実施や逮捕・勾留による身体拘束がされるおそれもあります。刑事処罰としての罰金だけでなく,重加算税などのペナルティが科されるリスクも無視できません。

そのため,脱税事件として摘発されるリスクを抱えていないかどうか,専門家による助言を得ることが何より重要となります。ユーチューバーを含むインフルエンサーの場合,その情報発信力がビジネスの根底にあるため,どうしても当局の目につきやすいという問題があります。自分だけは大丈夫だろうという油断は禁物です。

専門家による支援としては,税理士はもちろんのこと,弁護士による支援も欠かせません。特に,刑事事件化する可能性が高いケースでは,検察官との交渉や刑事裁判をはじめ,法律の専門家である弁護士でなければ対応できない局面も少なくありません。事案によっては,高額な罰金をはじめとする刑事処罰を減刑するだけでなく,起訴や告発そのものを回避していく余地もあります。

弁護士法人あいち刑事事件総合事務所では,脱税事件の取扱いに長けた弁護士が,国税局査察部出身の税理士と提携のうえ,状況に応じた弁護活動を展開します。ユーチューバーを含むインフルエンサーとして活動されている方で,脱税事件としての摘発リスクにお悩みの方は,まずは弊所までご相談ください。初回相談はオンラインを含め,無料で行っております。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の特徴を詳しくお知りになりたい方はこちらをご覧ください。

クリニックの脱税はどう処罰される?実刑判決の事例とリスクを解説

2026-04-16
病院

クリニックが脱税するとどうなるかについて弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
今回は、具体的な事例を紹介します。

事例の内容、判決結果等

今回紹介する事例は、平成5年に判決のあった事例で、Aクリニックの名称で泌尿器科、形成外科等を扱う診療所を営む医師であるB氏が、昭和63年から平成元年にかけて包茎手術等により多額の自由診療収入を得たにもかかわらず、それら自由診療収入の一部を除外するなどの方法により所得を秘匿したうえ、虚偽所得税確定申告書を提出して、所得税脱税したという事例です。

本件の脱税額は、2年分の合計で4億8000万余りに上り、ほ脱率も2期通算で約94パーセントと高率でした。また、脱税の態様は、雑誌等の広告により多数の患者を集めて行った包茎手術が自由診療であることから、その手術代の一部を除外したというものであり、B氏自ら経理担当者に指示して、まず発覚しにくい現金払い分を除外し、さらに分割払い分の分も除外した上、金庫や仮名・借名口座を含む数口の預金口座に分散隠匿し、カルテもB氏所有のマンションに隠匿するというものでした。さらに、犯行の動機を見ると、提携診療所の開設の状況や、B氏を実質経営者とする医療関係会社の設立の状況等をみると、B氏の事業欲が脱税の動機の大きな部分を占めているのは否定しがたく、本件犯行の動機に酌量の余地は乏しいものでした。

一方、ほ脱された本件2年分の本税については既に完納され、重加算税等についても相当部分が納付済みであり、現在もB氏は残額の納付に努力していること、B氏は前科前歴もなく、犯行を素直に認めて本件を真摯に反省悔悟していると認められること、B氏は本件で逮捕・勾留され、その他本件の発覚により、既にある程度の社会的制裁を受けていることなどがB氏に有利な事情でした。

判決においては、このようなB氏に有利な諸事情を十分斟酌しても、本件犯行は、その脱税額、ほ脱率、犯行態様・動機等からして、悪質な事案であり、大きな社会的非難を免れないものであるとして、B氏を懲役1年4月及び罰金1億円に処しました(なお、検察官の求刑は、懲役2年及び罰金1億3000万円でした)

自由診療収入の申告と管理について

自由診療クリニックで最も注意すべきは、自由診療収入を正確に申告・管理しているかです。保険診療は制度上、不正が起こりにくい仕組みになっています。一方、自由診療は患者から直接現金やカードで受け取るため、計上漏れや過少計上が発生しやすいと見られています。そのため自由診療が多いクリニックの場合、税務調査の際にも自由診療の売上計上漏れがないかなどについては特に厳しくチェックされる傾向があります。
本件事例は、このようないわば申告に当って不正が発生しやすい自由診療収入を多額に得たことから、悪い気持ちを起こし脱税に及んだ事例と言えるでしょう。

脱税事案では実刑判決もあり得る

本件事例では、実刑判決という重い判決が出ていますが、例えば令和6年度中に1審判決のあった脱税事件99件では、うち13人(約13パーセント)が実刑判決を受けています。この実刑率自体決して低いものとは言えないと思います。一般に、ほ脱額が合計3億円を超える場合には、全額納付しても実刑判決となる場合が多いとも言われており、この点、医療行為の収入は金額が大きいだけに、要注意です。

最後に

クリニックにおいて脱税が疑われた場合には、早期に弁護士に相談し、たとえ起訴されるに至っても実刑判決という重い判決を受けることがないよう、また、そもそも起訴や刑事告発を避けられるよう活動してもらうことが極めて大切です。

クリニックの脱税が発覚したらどうなる?刑事責任・行政処分・手続きの流れを弁護士が解説

2026-03-19
脱税

クリニックが脱税するとどうなるかについて弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

クリニックが支払う税金

クリニックが支払う税金は、その経営形態(個人事業主か医療法人か)によって大きく異なります。主な税金の種類は以下の通りです。

個人事業主の場合(個人クリニックの場合)

所得税:累進課税制度が適用され、所得が高くなるほど税率も高くなります(最大で45パーセント)
個人住民税
個人事業税

医療法人の場合

法人税:所得に応じて一定の税率で課税されます(出資金1億円以下の法人であれば、所得800万円以下の部分は15パーセント、800万円超えの部分は23.2パーセント)
法人住民税
法人事業税

いずれの経営形態でも発生する可能性のある税金

消費税:社会保険診療報酬は非課税ですが、基準期間における自費診療の売上などの課税売上高が1,000万円を超える場合、課税事業者となります。

クリニックが脱税を行った場合

脱税とは、課税される要件があるにも関わらず、これを故意に隠して、課税を免れようとする行為をいいます。
例えば、売上を意図的に除外したり、架空の経費を計上するなどにより、所得を圧縮する行為は脱税です。
この点、所得税法は「偽りその他不正の行為」により所得税を免れ、または所得税の還付を受けた者は、十年以下の拘禁刑若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科すると規定しています(所得税法238条1項)。その他の税目にも同様の規定があります(法人税法159条1項消費税法64条1項等)。

クリニックの場合も、適正に税金を納めなければならないことは当然です。この点、医療行為の収入は金額が大きいだけに、脱税が発覚した際の扱われ方も大きくなりがちで、一般社会に与える影響も大きいものがあります。また、脱税で有罪ということになれば、クリニックの経営そのものが成り立たなくなってしまう危険性があります。
さらには、医師の脱税行為に対しては、医師免許の取り消し、医業停止の処分など、所得税法等の条文に定められている上記刑事処分とは別に厳しい行政処分が科されるというリスクもあります。このような最悪の事態に陥らないよう注意が必要です。

刑事手続

クリニックにおいて脱税が発覚した場合、不納付額が過少の場合には、本来の納税額の納付に加えて、各種加算税等の納付の手続きを経て終結します。
しかしながら、不納付額が多額に上るなど悪質な脱税行為と判断された場合には、税務当局は、検察庁に刑事告発を行うことになります。

脱税の額が1億円になると脱税として刑事告発されると聞くことがありますが、実際にこうした明確な基準があるわけではありません。もちろん脱税の額も一つの基準とはなりますが、態様の悪質性や納税者のこれまでの対応など総合的に判断して、脱税として刑事告発されることになるようです。

刑事告発を受けた検察庁は、クリニックの経営者、経理関係者等を被疑者として取調べ、その後起訴するか否かを決めることになります。
最近では、刑事告発されると約8割から9割の高率で起訴されるに至っています。

また、起訴された場合には、刑事裁判が始まります。
国税局が毎年発表する資料によると、査察事件の第1審判決の状況は、いずれの年もほぼ100%の割合で有罪となっています。このことから一旦起訴されると有罪となる可能性は極めて高いのが実情です。

最後に

既にお話しましたように、ひとたび刑事告発をされてしまうと、極めて高い確率で起訴され、かつ、有罪となるという実情があります。ですから、クリニックが税務調査を受け、脱税が発覚するかもしれない、あるいは、発覚したという場合には、早急に弁護士に相談して刑事告発を避けるための活動をしていくのが極めて重要です。今現在何をどうしてよいかわからない方もとにかく早めに専門家に相談しましょう。

【個人事業主向け】飲食店の源泉徴収漏れは脱税になる?突然の税務調査や刑事責任のリスクを弁護士が解説

2026-03-05

個人経営の飲食店における源泉徴収漏れ

飲食店経理

飲食店において源泉徴収漏れが発覚した場合のリスクについて、今回は個人事業主の方を対象に弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

源泉徴収とは

源泉徴収とは、企業が従業員の給与から所得税に当たる部分を差し引いて、企業が従業員の代わりに所得税を国に収める制度のことを言います。
源泉徴収制度の目的は、従業員の所得税の申告漏れを防ぐことにあります。
企業に勤めている従業員の方は、この源泉徴収制度により所得税が納められているため、基本的には自分で確定申告をして所得税を納める必要がありません。

個人事業主は源泉徴収義務者に該当するか

源泉徴収制度においては、源泉徴収に係る所得税を給与や報酬から差し引いて、国へ納税する義務がある者を源泉徴収義務者といいます。これが法人であれば、給与の支払者となるので源泉徴収義務者になりますが、個人事業主の場合には、支払う費用によって源泉徴収義務者に該当する場合と、該当しない場合があります。

(源泉徴収義務者に該当する場合)
個人事業主であっても正社員、アルバイト、パートなどの従業員を雇用し給与を支払っている

(源泉徴収義務者に該当しない場合)
・従業員を雇っておらず、弁護士や税理士などの報酬や料金だけを支払っている
・常時2人以下の家事使用人のみに給与を支払っている

飲食業は税務調査が入りやすい業種、調査が突然行われることも

飲食業は、税務調査が入りやすい業種の一つです。

その理由としては、現金商売が多いため、売上の除外や過少申告のリスクが高いこと、日々の仕入れが頻繁に発生し、食材や備品の購入を現金で行うことも多いため、仕入れの計上漏れが起こりやすいことなどが挙げられます。

また、飲食業に対する税務調査は、無予告で突然行われることが多いといえます。税務調査が行われる場合、課税庁は、納税義務者に対し、あらかじめ、調査を開始する日時・場所、調査の目的、調査の対象となる税目、調査の対象となる期間等を通知しなければならないとされています(国税通則法74条の9・1項)。このように、税務調査が行われる場合には、課税庁から事前連絡があるのが原則です。
しかし、飲食業の場合、現金商売が多いため、事前連絡なしで、いきなり店舗に調査官が訪れるケースもあり得ます。現金商売の場合、事前に通知をすることで、その時だけ現金の調整をされてしまうと、税務調査に出向く意味がなくなってしまうからです。

このような無予告調査は、法律で認められている調査であり、課税庁は、被調査者である納税義務者の申告や過去の調査実績、事業内容などから、違法または不当な行為を容易にし、正確な所得や税額などの把握を困難にするおそれ、その他調査の遂行に支障を及ぼすおそれがあると認める場合には、事前通知を要しない、とされています(国税通則法74条の10)。

個人経営の飲食店において源泉徴収漏れが発覚した場合のリスクについて

飲食店の個人経営者にとっても、従業員を雇っていれば、従業員の給与等から所得税を天引きして納税する源泉徴収は日常業務の一環です。
しかし、源泉徴収義務は法律上の徴収義務であるだけに、源泉徴収漏れが生じた場合、その影響はかなり深刻です。飲食店業は、そもそも税務調査が入りやすい業種であることは既にお話しましたが、飲食店に税務調査が入り、源泉徴収漏れが発覚した場合、単なる経理処理上のミスでは済まされず、追徴課税延滞税はもちろん、悪質な場合には刑事責任まで問われるリスクもあります。

個人経営の飲食店で頻発する源泉徴収漏れとは

飲食店では、アルバイト従業員に対する給与等の支払いについて源泉所得税の徴収漏れが生じやすいと言われています。
多くの個人経営の飲食店でもアルバイトやパートを雇用していますが、毎月継続して給与を支払っている以上、源泉徴収を行わなければならないことは正規の従業員と変わりありません。しかるに、アルバイトやパートの場合、源泉徴収をする必要はないと誤解して源泉所得税が徴収漏れとなっているケースが多々見受けられます。
また、家族経営等の小規模飲食店の場合、アルバイト従業員に対する給与を手渡ししており、源泉所得税の天引きを失念していたケース等もあります。

税務調査で源泉徴収漏れを指摘された場合の一般的な流れ

源泉徴収漏れというのは、本来納付すべき税額に不足が生じている事態ですので、その不足分については延滞税及び加算税(不納付加算税)が課されます。また、税務調査の結果、隠蔽又は仮装工作によるものと判断された場合には、通常の加算税に代えて重加算税が賦課されます。重加算税は、不納付加算税を賦課する代わりに、本来納めるべき税額の35%もの高率で賦課される税金です。

刑事手続

源泉徴収漏れが発覚した場合、一般的な納付税額の過少の場合には、本来の納税額の納付に加えて、各種加算税等の納付の手続きを経て終結します。
しかしながら、源泉徴収漏れが単なる偶発的なミスではなく、意図的なもので、不納付額も多額に上るなど悪質な脱税行為と判断された場合には、税務当局は、検察庁に刑事告発を行うことになります。
刑事告発を受けた検察庁は、飲食店の経営者、経理関係者等を被疑者として取調べ、その後起訴するか否かを決めることになります。

最近では、刑事告発されると約8割から9割の高率で起訴されるに至っています。

また、起訴された場合には、刑事裁判が始まります。
国税局が令和7年6月に発表した資料によると、査察事件の第1審判決の状況は、令和6年度中の判決件数99件全てが有罪であり、有罪率は100%となっています。このことから一旦起訴されると有罪となる可能性は極めて高いのが実情です。

最後に

既にお話しましたように、ひとたび刑事告発をされてしまうと、極めて高い確率で起訴され、かつ、有罪となるという実情があります。ですから、税務調査を受け、源泉徴収漏れが発覚するかもしれない、あるいは、発覚したという場合には、早急に弁護士に相談して刑事告発を避けるための活動をしていくのが極めて重要と考えられます。弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、脱税に関する相談を無料で行っていますので、気軽に早急にお問合せください。

eスポーツの大会賞金と課税リスク ~確定申告や源泉徴収は必要? 弁護士が解説します~

2026-02-05

eスポーツの大会賞金と課税リスク

ゲームとお金

eスポーツの大会で獲得される賞金課税リスクについて,選手と企業それぞれの観点を踏まえ,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

eスポーツとは

コンピューターゲーム等の各種ゲームを,個人が行う娯楽にとどまらず,スポーツ競技としての領域にまで昇華させたものがeスポーツになります。eスポーツの市場規模は,国内においても年々,拡大傾向にあります。ゲームの種類によっては世界的な大会も開催されており,多額の大会賞金が提供されることもeスポーツの特徴の一つです。
一大コンテンツとしてeスポーツが成長することに伴い,大会賞金スポンサー収入で生計を立てるプロゲーマーの人口も増えています。プロゲーマーの多くは個人事業主に該当しますが,eスポーツチームの運営会社といった企業に所属しているケースもあります。

eスポーツの大会賞金と税金の関係

規模によっては相当な額の賞金が発生するeスポーツの大会ですが,お金が動く以上は,税金のことも考えなければなりません。選手の立場で見ていきますと,eスポーツ大会賞金には所得税が課されるため,確定申告が必要になります。

プロゲーマーのように,営利を目的とした継続的な所得が認められる場合は,eスポーツ大会賞金事業所得として扱われます。これに対して,個人が趣味の範疇で参加した大会で賞金を獲得したような場合は,営利目的や継続的行為といった性質を欠くため,一時所得として扱われることになります。一時所得として扱われる場合は,所得の計算方法が変わります。差し引かれるのが必要経費ではなく,収入を得るために直接支出した金額に限られるなどの違いあるため,注意が必要です。

なお,国内ではまだ少数にとどまりますが,選手が個人事業主ではなく,起業に所属して給与を得ている場合は,源泉徴収がされるため,自ら確定申告をする必要はありません。この場合は大会賞金を企業が受け取る形になるため,法人税として課税されることになります。

eスポーツの大会賞金と課税リスク

ここまで述べたとおり,選手の立場で見ると,eスポーツ大会賞金には原則として所得税が課せられることになります。そのため,適切に確定申告を行わなければ,課税リスクを伴うことになります。
意図的に税金を逃れようとする脱税の場合はもちろんですが,確定申告にあたって計算を間違えるといった,いわゆる申告漏れのケースでも課税リスクは顕在化します。以前よりメジャーになってきたとはいえ,プロゲーマー自体が新しいタイプの仕事ということもあり,必要経費が認められる範囲などは,税務上も問題になりやすいといえます。

申告漏れとなってしまった場合,不足した納付分について追徴課税がされるのは当然ですが,それ以外にも各種のペナルティが生じます。期限までに納付が間に合わない場合は,延滞税が課せられます。完納までに時間を要すると,延滞税による負担も増すことになります。他にも,適正な申告がされていない場合は,過少申告加算税無申告加算税といった各種の加算税も課せられます。延滞税加算税については,こちらの記事もご参照ください。

不正の目的をもって納付を免れた場合は,脱税事件として国税局による査察告発がされる可能性もあります。脱税事件となってしまった場合は,重加算税が課せられるおそれや,刑事処罰として拘禁刑や罰金が言い渡されるリスクもあります。なお,期限内に確定申告を行わなかった場合は,意図的な脱税でなかったとしても,刑事罰の対象にもなっています(所得税法241条)。法定刑は「1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金」となります。

企業の立場から見ると,所得税ではなく法人税となりますが,同様に申告漏れには課税リスクが生じます。適切な源泉徴収が行われていない場合,不納付加算税も課せられます。

eスポーツに関係する税務上の問題は弁護士に相談を

eスポーツそのものの歴史は長いものがありますが,コンテンツとして身近になったのは,ごく最近といえます。そのため,申告漏れによる課税リスクや,適切な確定申告について,周知が十分でないケースもあり得ます。
個人事業主として活動するeスポーツ選手で,申告漏れをはじめとする課税リスクに不安がある場合は,速やかに専門家に相談を行うことをお勧めします。ストリーマーとして活動することも多いeスポーツ選手にとって,税務上の問題が生じることは,風評の面でも深刻な結果がもたらされるリスクも考えられます。
法的なリスクについては,税の専門家である税理士のみならず,法の専門家である弁護士から助言を得ることも重要です。

飲食店における源泉徴収漏れ

2025-10-29
源泉徴収漏れ

飲食店において源泉徴収漏れが発覚した場合のリスクについて弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

源泉徴収とは

源泉徴収とは、企業が従業員の給与から所得税に当たる部分を差し引いて、企業が従業員の代わりに所得税を国に収める制度のことを言います。

源泉徴収制度の目的は、従業員の所得税の申告漏れを防ぐことにあります。

企業に勤めている従業員の方は、この源泉徴収制度により所得税が納められているため、基本的には自分で確定申告をして所得税を納める必要がありません

源泉徴収の仕組み

源泉徴収制度は、企業が従業員の代わりに従業員の所得税の計算や申告をするものです。

そのため、納税義務者は企業ということになります。

源泉徴収の対象となるのは、基本的に企業から支払われる給与所得です。

その他には、退職金や株の配当金なども源泉徴収の対象になります。

源泉徴収されているかどうかは、企業から交付される給与明細をご覧いただくと、所得税などが差し引きされていると思いますので、給与から差し引きされている場合には源泉徴収が行われていると判断することができます。

この源泉徴収された税金部分(源泉所得税)は、企業が毎月国に納税しています。

飲食業は、税務調査が入りやすい業種であり、しかも調査は突然行われることが多い。

飲食業は、税務調査が入りやすい業種の一つです。その理由としては、現金商売が多いため、売上の除外や過少申告のリスクが高いこと、日々の仕入れが頻繁に発生し、食材や備品の購入を現金で行うことも多いため、仕入れの計上漏れが起こりやすいことなどが挙げられます。

また、飲食業に対する税務調査は、無予告で突然行われることが多いといえます。税務調査が行われる場合、課税庁は、納税義務者に対し、あらかじめ、調査を開始する日時・場所、調査の目的、調査の対象となる税目、調査の対象となる期間等を通知しなければならないとされています(国税通則法74条の9・1項)。このように、税務調査が行われる場合には、課税庁から事前連絡があるのが原則です。

しかし、飲食業の場合、現金商売が多いため、事前連絡なしで、いきなり店舗に調査官が訪れるケースもあり得ます。現金商売の場合、事前に通知をすることで、その時だけ現金の調整をされてしまうと、税務調査に出向く意味がなくなってしまうからです。

このような無予告調査は、法律で認められている調査であり、課税庁は、被調査者である納税義務者の申告や過去の調査実績、事業内容などから、違法または不当な行為を容易にし、正確な所得や税額などの把握を困難にするおそれ、その他調査の遂行に支障を及ぼすおそれがあると認める場合には、事前通知を要しない、とされています(国税通則法74条の10)。

飲食店において源泉徴収漏れが発覚した場合のリスクについて

飲食店の経営者にとっても、従業員の給与等から所得税を天引きして納税する源泉徴収は日常業務の一環です。

しかし、源泉徴収義務は法律上の徴収義務であるだけに、源泉徴収漏れが生じた場合、その影響はかなり深刻です。飲食店業は、そもそも税務調査が入りやすい業種であることは既にお話しましたが、飲食店に税務調査が入り、源泉徴収漏れが発覚した場合、単なる経理処理上のミスでは済まされず、追徴課税や延滞税はもちろん、悪質な場合には刑事責任まで問われるリスクもあります。

飲食店で頻発する源泉徴収漏れとは

飲食店では、アルバイト従業員に対する給与等の支払いについて源泉所得税の徴収漏れが生じやすいと言われています。

多くの飲食店がアルバイトやパートを雇用していますが、毎月継続して給与を支払っている以上、源泉徴収を行わなければならないことは正規の従業員と変わりありません。しかるに、アルバイトやパートの場合、源泉徴収をする必要はないと誤解して源泉所得税が徴収漏れとなっているケースが多々見受けられます。

また、家族経営等の小規模飲食店の場合、アルバイト従業員に対する給与を手渡ししており、源泉所得税の天引きを失念していたケース等もあります。

税務調査で源泉徴収漏れを指摘された場合の一般的な流れ

源泉徴収漏れというのは、本来納付すべき税額に不足が生じている事態ですので、その不足分については延滞税及び加算税(不納付加算税)が課されます。また、税務調査の結果、隠蔽又は仮装工作によるものと判断された場合には、通常の加算税に代えて重加算税が賦課されます。重加算税は、不納付加算税を賦課する代わりに、本来納めるべき税額の35%もの高率で賦課される税金です。

刑事手続

源泉徴収漏れが発覚した場合、一般的な納付税額の過少の場合には、本来の納税額の納付に加えて、各種加算税等の納付の手続きを経て終結します。

しかしながら、源泉徴収漏れが単なる偶発的なミスではなく、意図的なもので、不納付額も多額に上るなど悪質な脱税行為と判断された場合には、税務当局は、検察庁に刑事告発を行うことになります。

刑事告発を受けた検察庁は、飲食店の経営者、経理関係者等を被疑者として取調べ、その後起訴するか否かを決めることになります。

最近では、刑事告発されると約8割から9割の高率で起訴されるに至っています。

また、起訴された場合には、刑事裁判が始まります。

国税局が令和7年6月に発表した資料によると、査察事件の第1審判決の状況は、令和6年度中の判決件数99件全てが有罪であり、有罪率は100%となっています。このことから一旦起訴されると有罪となる可能性は極めて高いのが実情です。

最後に 既にお話しましたように、ひとたび刑事告発をされてしまうと、極めて高い確率で起訴され、かつ、有罪となるという実情があります。ですから、税務調査を受け、源泉徴収漏れが発覚するかもしれない、あるいは、発覚したという場合には、早急に弁護士に相談して刑事告発を避けるための活動をしていくのが極めて重要と考えられます。弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、脱税に関する相談を無料で行っていますので、気軽に早急にお問合せください。

投げ銭は贈与?税金は?

2025-10-01
税制度

投げ銭(スーパーチャット)は贈与でしょうか?税金はかかるのでしょうか?その疑問に弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所がお答えします。

投げ銭(スーパーチャット)とは

投げ銭という言葉は、もともと路上パフォーマーなどのパフォーマンスに対して、観客がパフォーマー側が準備した集金箱などに金銭を投げ入れる行為のことを指していました。
映画などで大道芸人が演技が終わった後にシルクハットなどを観客に差し出してそこに観客からお金を入れてもらう場面を見たことがあるのではないでしょうか?

しかし、インターネットが普及した現在においては、「投げ銭」の意味も変化しています。
今回取り上げる「投げ銭」とは、インターネットでの配信などに対して、視聴者やファンなどがオンラインで送金する行為を言います。
YouTubeではスーパーチャット(スパチャ)と言われていますが、これも代表的な「投げ銭」と言えるでしょう。
「投げ銭」のシステムは、オンライン上で金銭を送金する以外にも、有料ギフトを購入し送るなどの方法もあり様々ですが、いずれも配信者を金銭面で支援しているという面で共通しています。

投げ銭は贈与か?

投げ銭は贈与でしょうか?
贈与とは、無償で金銭等を譲渡する(譲り受ける)行為をいいます。
そのため、インターネット配信をしている人が何もパフォーマンスなどをしていないのに、投げ銭をされた場合には贈与に当たるといえるかもしれません。

しかし、ほとんどの場合、なにがしかのパフォーマンスを配信し、そのパフォーマンスに対して投げ銭が行われています。
そうすると、対価性が認められることになり、もはや「贈与」ということはできなくなります。
この場合、投げ銭で得た利益は「所得」として申告する必要があります。

贈与か所得かは納税の段階で非常に大きな違いが出てきます。
「贈与」の場合、贈与税の申告が必要となりますが、1年間に得た贈与の額が110万円を超えていなければ申告する必要がありません。
一方「所得」の場合には、基本的に20万円を超えている場合には確定申告が必要となります。

投げ銭の所得は何所得か?

投げ銭が「所得」になるとして、その所得の種類が問題となります。
すなわち「事業所得」か「雑所得」かです。

この点、基本的には「事業所得」となると考えられます。
たとえば、YouTuberの方などは動画配信を仕事として行っており、その動画配信を通じて「投げ銭」を得ていることになるので、仕事=事業によって得た収入と考えられます。
つまり、なにがしかの事業若しくは反復継続性のある行為によって得た利益は「事業所得」となると考えられます。

一方、一般の方が趣味でアップした動画などについては、「雑所得」となる可能性の方が高いと言えます。
反復継続性がなかったり、その行為によって利益を得ることを目的としているとはいえないからです。

投げ銭による所得の申告漏れが発覚したケース

ライブ配信者(ライバー)が投げ銭による所得を申告せず、国税局から多額の追徴課税を受けた実例について、以下の引用記事を基に解説します。

事件の概要

あるアプリでトークのライブ配信を行っていた女性が、大阪国税局から約2100万円の追徴課税を受けた。「ライバー」は、アイテムやギフトなどと呼ばれる視聴者からの投げ銭を主な収益源としているが、この投げ銭ももちろん課税の対象となる。しかし、女性は、4年分の投げ銭1億1900万円もの所得を一切申告していなかった。女性は「忙しくて確定申告をしていなかった」という趣旨の説明をしたという。
(令和6年12月10日付goo blog記事より抜粋。大元の記事(FNN)はリンク切れ)
https://blog.goo.ne.jp/kaikeinews/e/5615dce16ebd35a9daf30e832548790d

投げ銭(スーパーチャット)はYouTubeなどが有名ですが、引用記事のように各種トークアプリでも広く実装された機能といえます。投げ銭の額が大きくなるほど、無申告だった場合の加算税の負担も大きくなり、ケースによっては重加算税が課されたり、脱税事件として刑事処罰の対象となったりもします。

投げ銭の確定申告

事業所得に当たる場合、総収入から経費や控除額を引いたものが課税対象の金額となります。

ここで、青色申告か白色申告かによって、控除額が異なります。
たとえば、個人事業主で開業届を提出し青色申告承認申請をしている場合、青色申告をすることができます。
青色申告では最高55万円(令和元年以前は65万円)を控除することができます。

投げ銭は履歴が残るため、税務調査が入ると申告漏れが発覚しやすいといえます。
投げ銭が贈与になるのか事業所得になるのかわからない、所得になるのに贈与として申告していて心配という方は専門家に相談しましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では無料の法律相談を実施していますので、税務調査・査察調査が入ったという方は一度お問い合わせください。

YouTubeの収入は確定申告が必要?

2025-09-17
税制度

YouTubeでの収入は確定申告が必要か、確定申告しないとバレるのかについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

YouTubeでの収入

YouTubeに動画をアップして広告収入を得ているYouTuber(ユーチューバー)は、近年子供のなりたい職業ランキングに登場するなど一般的になりつつあります。
また、新型コロナの影響により、YouTubeで動画を配信して収入を得ている方も増えてきています。
そんなユーチューバーの方は、一部の有名な方々を除くと、ほとんどがYouTubeから広告収入を得ていると思います。
広告収入についても、所得税の申告が必要となるのは当然です。
もっとも、広告収入のすべてに所得税が課せられるのではなく、収入から必要経費や控除額を差し引いた残りが所得税の申告が必要となる「所得」となります。
そのため、収入の額が控除される額(基礎控除は48万円)以下の場合には「所得」がないということになり、申告は不要となります。

YouTubeでの収入は税務署にバレる?

YouTubeなどのインターネットを利用している取引については、国税庁が積極的に調査を実施しています。
国税庁が発表している「インターネット取引を行っている個人の調査状況」という資料によれば、平成29年度におけるインターネット取引の実地調査件数は2015件で、コンテンツ配信やネット広告に関する件数は274件を占めています。
また、国税庁は「電子商取引監視チーム」を配置し、インターネット取引を中心に扱う専門官が監視を強化しています。
このように、インターネット取引については、国税庁が常に目を光らせている分野といえます。

そして、YouTubeの収入については、
①再生回数が表示される
②広告収入は電子送金される
ということから税務署はユーチューバーが収入をどれくらい得ているのか把握しやすいといえます。
再生回数が多く、相当程度の広告収入を得ているはずなのに、確定申告がなされていないと税務署が調査に入ることになります。

確定申告を怠ったYouTuberが実際に追徴課税を受けたケース

確定申告を行なわなかったことが国税局に発覚し、多額の無申告加算税を支払うことになった実例について、以下の引用記事を基に解説します。

事件の概要

動画をユーチューブに投稿し、その報酬などとして約3600万円を得ていた男性が、確定申告をしていなかったとして、関東信越国税局の税務調査を受けた。重加算税を含む約700万円を追徴課税されたという。男性はかつて会社員だった。当初、国税局に対して「確定申告が必要なことを知らなかった」という趣旨の説明をしていたという。さらに追及を受けた男性は、意図的に申告をしなかったことを認めた。国税関係者は「確信的な無申告だったのに、それを隠そうとする。言い逃れの典型例だ」と指摘する。
(令和5年3月11日付朝日新聞オンラインの記事より抜粋)
https://www.asahi.com/articles/ASR3B3W07R36UTIL00P.html

引用記事によりますと、国税局は男性が税務調査への対応策を事前に調べていた事実も掴んでいたようです。先ほど述べたとおり、YouTuberの収入は国税局からすれば容易に捕捉することができるため、ごまかしは効きません。自分だけは大丈夫と思わずに、適切な確定申告を行うことが求められます。

YouTubeの収入を確定申告していないと

YouTubeの収入を確定申告していないと「無申告加算税」が課せられることになり、確定申告をしていた場合よりも多くの税金を支払わなければならなくなります。
また、意図的に確定申告をせず所得を隠していたということになれば、「重加算税」の対象となってしまう場合もあります。
さらに、無申告には刑罰も定められているため、金額や悪質性によっては、刑事裁判にかけられてしまう可能性もあります。

バレないから大丈夫と安易に考えていると、急に税務署が調査にうやって来て、多額の課税がなされる場合があります。
また、チャンネルの継続が難しくなる可能性もありますので、確定申告を忘れてしまっていたという方は、早めに専門家に相談して修正申告などをしていきましょう。

« Older Entries

keyboard_arrow_up

0120631881 問い合わせバナー LINE予約はこちら