Archive for the ‘所得税・法人税’ Category
脱税事件における刑事手続の特徴
脱税で刑事事件化した場合の特色や、刑事裁判において減刑を求めるうえで有利になる事情について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
脱税に関する罰則規定
法律上、正式な定義があるわけではありませんが、脱税とは、不正の目的をもって払うべき税金の納付を免れたり、本来受けられない還付を受けたりすることを指します。
それゆえ、脱税を行った場合、法人税法や所得税法といった、各種税法に違反していることになります。法人税を例に挙げると、架空の経費計上のように、虚偽の申告内容によって納税を免れた場合(虚偽過少申告ほ脱犯)は、「10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」と罰則が規定されています(法人税法159条1項)。税法ごとの罰則については、こちらの記事もご参照ください。https://datsuzei-bengoshi.com/datuzei_syurui/
脱税と刑事事件の関係
もっとも、あらゆる脱税が刑事事件として扱われるわけではありません。脱税事件として刑事事件化するのは、国税局によって検察庁に告発された場合です。税務署による税務調査や、国税局による査察調査を実施した場合でも、検察庁への告発がされなければ、刑事事件にはなりません。
脱税の金額や手法によっては、各調査を行ったうえで、修正申告を促されて終わりということもあります。このように,脱税を行ってしまった場合でも、必ずしも刑事事件化するわけではありません。
脱税事件における刑事裁判の特徴
検察庁に告発されてしまうと、通常の刑事事件と同様に、逮捕や勾留といった身体拘束や、取調べが行われることになります。
告発を受けても起訴されない場合はありますが、ひとたび起訴されてしまうと、ほぼ例外なく有罪になってしまうのが脱税事件における刑事裁判の特徴です。検察官が起訴できる事件を選別しているため、通常の刑事裁判でも有罪率は高いですが、脱税事件ではその傾向がより顕著になります。
国税局による令和4年度の発表資料においても、一審判決すべてに有罪が言い渡されており、有罪率は100パーセントになっています。
https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2023/sasatsu/r04_sasatsu.pdf
すなわち、脱税事件で検察庁に起訴されてしまうと,個人については懲役刑が,法人に対しては罰金刑が必ず科せられることになります。
脱税事件の刑事裁判で有利になる事情
懲役刑に執行猶予がつかなければ、刑務所へ服役することになります。また、脱税事件では高額な罰金も科せられます。そのため、服役の回避や罰金の減額を求めるためにも、脱税事件において裁判所に考慮される有利な事情(情状)が何かを把握しておくことは、極めて重要になってきます。
脱税事件の刑事裁判において、実際に裁判所が判決理由の中で有利な事情として言及したものとしては、以下のような事情があります。まず、脱税以外の通常の刑事事件とも共通する事情としては、事実を認めて反省していることや、前科がないこと、個人については監督者の存在があることなどが挙げられます。
脱税事件に特有の事情としては、告発後の取調べといった捜査のみならず、それ以前に行われた税務調査の段階で積極的に協力したことも、有利な事情として考慮されています。
再犯防止の観点からは、経営体制の改善も有利な事情となります。具体的には、脱税に関与した者が役員を辞して代表者を刷新したこと、外部から顧問や監査役、監査法人を招くといった事情が考慮されます。
脱税は国の課税権を侵害するという意味では財産犯でもあるため、事後的な被害(損害)の回復、すなわち、修正申告を行うことで本税や重加算税などの各種附帯税を納付したことも有利な事情とされます。なお、判決の時点で納付が完了していなくても、納税のための資金を準備していることも考慮されています。
このように、脱税の刑事裁判において有利に考慮される事情は、ある程度の類型化はできます。もっとも、具体的な刑事裁判においてどのような判決が見通されるか不安な場合は、弁護士に相談することが重要です。早期に相談を行えば、刑事事件化に至る前に解決が図られるケースもあります。脱税をしてしまってお悩みの場合は、まずは弁護士にご相談ください。
ネットオークションと課税
ネットオークションを利用して利益を得た場合、課税対象となるでしょうか、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事例
C社に勤める会社員Aさんは、古本屋で安く買った本を、自分で読むのではなく、ネットオークションで高く売ることを繰り返していました。Aさんとしては、小遣い稼ぎのつもりでしたが、気が付けば年間で30万円を超える儲けが出ていました。Aさんは、この金を遊興費等に費消しましたが、確定申告は必要ないと考えてしていませんでした。
(フィクションです)
解説
基本的に、どのような手段であれ、個人でお金を得る行為を行うと、課税対象となります。そのため、ヤフオクなどネットオークションに出品・売却して売り上げたお金は課税対象であり、確定申告が必要となるのが原則です。
しかし、実際にはすべての売買に対して確定申告が必要とされるわけではありません。
生活用動産に該当するものを売却した場合は、所得税法上、非課税となり確定申告は必要ない
この生活用動産とは、普段の日常生活で使っている物品のことを指します。生活用動産となるものは、具体的には、日常的に使っていた衣服や家具、家電などが該当します。また、書籍など、生活必需品とまではいえないものでも、生活用動産に該当し得ます。
ただ、本事例のAさんは、転売目的で古本屋から本を購入しており、この生活用動産の売却には当たらないと考えられます。
Aさんがネットオークションによって利益を得た場合、確定申告をしなければならないのは具体的にどのような場合か
この点、Aさんは、C社に勤める会社員であり、給与所得者です。所得税法上、給与所得者の場合は、1か所からの給与所得を受け、給与所得以外の所得が年間で20万円以下であれば、原則として確定申告の義務はありません。これは、給与所得者の場合は、確定申告に代わる年末調整という手続きにより、給与所得にかかる税額は確定しているからです。しかし、本事例のAさんのように、給与所得以外の副収入等によって年間で20万円を超える所得を得ている場合には、確定申告が必要となります。
このように、給与所得が片手間でオークション売買を行っている場合、年間の儲けが20万円以下であれば、確定申告をしなくてもよいことにはなっていますが、いつ20万円を超えるとも限りませんから、平素から売買の記録をつける習慣をつけておくべきでしょう。
ネットオークションによってAさんが得た利益は、所得税法上、どの所得に該当するか
給与所得者の副収入ということを前提とすれば、Aさんが得た利益は、雑所得に該当すると考えられ、雑所得として確定申告をしなければなりません。所得の金額を計算する際は、収入金額から経費を差し引いてその所得金額を求めます。収入金額とは、1年間に商品を売却して得た金額です。基本的には、ネットオークションに出品した商品が売れた場合、その売却代金が収入金額となります。
Aさんは今後どうなるか
ネット上の話なので、税務署に発覚することはないと思っているかもしれませんが、実際はそうではないことを知っておくべきです。取引履歴についても、照会をかけて調べることは簡単であり、ヤフオクなどネットオークションでの取引状況は、税務署に発覚しやすいといえます。
Aさんはネットオークションによって得た利益について確定申告をしていないので、税金の問題があり、税務署に把握されれば、無申告についてのペナルティを別途受ける可能性があります。
また、仮装隠ぺいなど悪質性が高いと判断された場合には、無申告加算税に代えて重加算税が課せられます。
さらに、納税が遅れると、その期間に応じた「延滞税」の支払いが求められます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件を中心として扱っていますが、税法についても知識のある弁護士がそろっています。初回の相談は無料ですので、一度ご相談にお越しください。
FX取引と査察調査 無申告のままだと脱税事件に
FX取引によって得た利益と課税の関係や、無申告で脱税事件となってしまった場合の手続の流れや対応について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
参考事件
Aさんは本業とは別にFX取引を行い、多額の利益を上げていました。しかし、AさんはFX取引で得た所得の申告をまったく行わず、3000万円以上の所得税の納付を免れていました。Aさんの脱税は国税局の査察調査によって発覚し、最終的に国税局は所得税法違反の疑いでAさんを検察庁に告発しました。
(この参考事件はフィクションです。)
FX取引とは
FXとはForeign Exchangeの略称で、外国為替証拠金取引と呼ばれています。名前のとおり、特定の国の通貨を別の国の通貨に交換することを意味します。外貨の売買で差益を得ることがその目的になります。
FXの最大の特徴は、取引額の一部に相当する証拠金(保証金)を預けるだけで、その何十倍もの額で取引が行えることです。レバレッジと呼ばれるこの特徴によって、少額でも多額の取引を行うことも可能になります。
レバレッジの仕組みを有効に活用すれば、少額の元手から取引を始めて、多額の利益を得ることも考えられます。
FX取引と課税の関係
FX取引によって得た利益は、先物取引に係る雑所得等として扱われ、所得税が課せられます(国税庁のホームページでもFX取引の定義や課税関係について紹介しています。詳細は以下のリンク先をご覧ください。https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1521.htm)。
そのため、副業による収入だからと申告を怠っていると、参考事件のAさんのように、脱税事件として刑事告発されてしまうおそれがあります。FX取引では、レバレッジにより証拠金以上の多額の損失が生じるリスクが問題視されることもありますが、反対に多額の利益を得た場合も、無申告のままでは脱税事件になってしまうため、注意が必要です。
脱税事件となってしまった場合
脱税の疑いが生じた場合、通常は税務署による税務調査が行われますが、ケースによっては証拠隠滅などを防ぐために、最初から国税局による査察調査が入ることもあります。脱税事件の流れについては、こちらの記事もご参照ください。
https://datsuzei-bengoshi.com/datuzei_nagare/
脱税額が多額にわたる、脱税に用いた手法が悪質といった事情がある場合、査察調査を行った国税局から検察庁に刑事告発がされることになります。参考事件のAさんのように、3000万円以上の所得税納付を免れたとなると、刑事告発されてしまうリスクが極めて高くなります。
国税局による告発がされてしまうと刑事事件となってしまうため、逮捕や勾留によって長期間の身体拘束を伴うことも考えられます。検察庁に起訴された場合、刑事裁判も受けなければなりません。
ひとたび脱税事件を起こしてしまうと、本来払うべき本税の他に、加算税や延滞税なども支払うことになります。これに加えて、刑事裁判になった場合は、同じく高額にわたることもある罰金まで支払う必要に迫られます。
このように、FX取引による所得を申告しなかった場合、一時的に利益は得られたとしても、最終的には脱税した額以上の損失を被ることになります。令和4年の国税庁の発表でも、FX取引によって得た所得を申告していなかったことで、告発からの刑事裁判になったケースが紹介されています。詳細は以下のリンクをご参照ください。
https://www.nta.go.jp/about/organization/nagoya/release/r04/sasatsu/sasatsu.pdf
早期に弁護士への相談を
脱税を行ってしまった場合は、税理士による修正申告を行っていくことになります。もっとも、国税局によって告発がされた場合は刑事事件となるため、税理士だけでなく弁護士によるサポートが欠かせなくなります。査察調査以前の税務調査の段階であっても、後々に刑事告発や起訴のリスクがあり得る場合は、早期に弁護士にも相談をしておくことが肝要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件の対応に注力してきた経験・実績を活かし、脱税事件における弁護対応も行っています。FX取引によって利益が出たものの、申告を怠ってしまった場合は、速やかに弊所にご相談ください。
不法な利益も「収益」となる
不法な利益を得ていた会社における問題について、事例を参考に、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
1 事例
東京都にある会社X社は、金銭貸付等を事業を営んでいたところ、利息制限法の制限を超える利率で貸付を行っていました。
X社は、令和○年分の確定申告において、その年に回収した利息分のうち、利息制限法の制限を超える部分については、法律上無効なものであるから、収益として計上しなかったところ、税務調査を受けることになりました。
2 前提として―利息制限法
業者が金銭を貸し付ける際、利息を付けるのが通常です。利息制限法は、その利息が、不当に高いものとならないよう、一定の制限を設けています。たとえば、100万円以上の金銭を貸し付ける場合、年15%を超える利息については、無効とされ(利息制限法1条各号)、利息制限法を超える部分の返済は、残存元金に充当されます。
3 収益の意義
法人(ここでは日本国内に本店または主たる事務所がある法人を前提とします。)は、「当該事業年度の課税標準である所得の金額又は欠損金額」など一定の事項を記載した申告書を提出する必要があります(法人税法74条)。確定申告と呼ばれるものです。
法人の各事業年度の所得の金額は、その事業年度の益金の額から同年度の損金の額を控除した金額とされています(同法22条1項)。
そして、法人税法22条2項において、益金の額に算入すべき収益は、「資産の販売、有償又は無償による資産の譲渡又は役務の提供、無償による資産の譲受けその他の取引で資本等取引以外のものに係る当該事業年度の収益」とされています。
紹介した事例においては、法律上無効な取決めに基づいて回収した利息が収益に該当するかが問題となります。
この点、判例は、回収した利息のうち、利息制限法所定の制限を超えた部分についても、収益に該当するものとしています(最判昭和46年11月16日刑集25巻8号938頁)。
よって、X社が、その年に回収した利息分のうち、利息制限法の制限を超える部分について収益として計上しなかったことについては、法人税を免れたものにあたり、その法人の代表者などは、10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金(または罰金を併科)とされます(法人税法159条1項)。
4 法人税違反における弁護活動
X社は、税務調査を受けている段階ですので、早期に、修正申告をするということが考えられます。
修正申告は、たとえば会社に顧問の税理士がいる場合には、その税理士に行ってもらうことになりますが、法解釈について、弁護士のアドバイスを要することも考えられます。
特に、紹介した事例とは異なり、不法・違法な仕事によって収益を得る事案というのは、他にも様々なものが考えられ、収益として計上すべきかどうかということを慎重に判断する必要がある場合もあります。
また、顧問の税理士がいない場合にも、税務調査における対応や修正申告を取り扱っている税理士を探す必要があります。
税務調査の結果、法人税の過少申告だと発覚した際には、税務署長などが正しい税金の額を納めるよう命ずることになります(更正処分など)。
もっともそれにとどまらず、免れた法人税の額や行為態様、期間などによっては、税務調査にとどまらず、刑事事件に発展する場合もあります。そうしたことが予想される場合には、脱税事件の経験のある弁護士に、早期に相談する必要があります。
5 最後に
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、脱税事件に強い弁護士が所属し、法人税法違反など多数の事件を取り扱っています。法人税法違反の疑いがあるとして税務調査を受けた方は、初回の相談は無料ですので、お気軽にお問い合わせください。
業務上横領と課税
業務上横領によって得た利益についても課税対象となるでしょうか?犯罪行為によって得た利益に対する課税について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事例
福岡県福岡市にある会社で経理を担当していたAさんは、会社のために保管していた現金を着服し、1年間で合計4500万円ほど横領していました。
会社の売り上げと決算書の内容に不審な点があることから、会社に福岡国税局資料調査課から税務調査が入り、Aさんの業務上横領が発覚しました。
今後のことが不安になったAさんは弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の無料相談を利用することにしました。
(フィクションです)
解説
業務上横領によって得た利益は所得税の課税対象となるか
業務上横領によって得た利益は、違法な行為によって得た利益といえるため、所得と言えるでしょうか。
この点について、所得税基本通達36-1は、「法第36条1項に規定する『収入金額とすべき金額』又は『総収入金額に算入すべき金額』は、その収入の基因となった行為が適法であるかどうかを問わない」と規定しています。
したがって、本件のAさんが業務上横領によって得た利益についても所得として確定申告をする必要があるということになります。
一時所得か雑所得か
次にAさんが業務上横領によって得た利益が、「一時所得」なのか「雑所得」なのかが、税額を計算するベースとなる「課税所得金額」に大きな差がでるため問題となります。
①一時所得の場合
(一時所得の金額-必要経費-特別控除額)×2分の1=一時所得の課税所得金額
という計算式で求めます。
本件のAさんの場合、(4500万-0円-50万)÷2=2225万円となり、2225万円が一時所得の課税所得金額となります。
※一時所得の金額から経費を差し引いた金額が50万円以上の場合、特別控除額は50万円
Aさんに他に収入がない場合には、総所得金額も2225万円となるため、所得税の税率は40%となります。
また、この場合の所得税の控除額は279万6000円です。
そのため、Aさんに課税される所得税は2225万×0.4-279万6000円=610万4000円となります。
②雑所得の場合
雑所得の金額-必要経費=雑所得の課税所得金額
という計算式で求めます。
本件のAさんの場合、4500万-0円=4500万円となり、4500万円が課税所得金額となります。
4000万円を超えている場合の所得税の税率は45%、控除額は479万6000円です。
そのため、Aさんに課税される所得税は4500万×0.45-479万6000円=1545万4000円となります。
このように、一時所得か雑所得かでは、所得税の額に2倍以上の差が出てしまうことになります。
では、本件のAさんの場合には一時所得と雑所得のいずれに当たる可能性が高いでしょうか。
この点について、最高裁は「所得税法上、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得および譲渡所得以外の所得で、営利を目的とする継続的行為から生じた所得は、一時所得ではなく雑所得に区分されるところ、営利を目的とする継続的行為から生じた所得であるか否かは、文理に照らし、行為の期間、回数、頻度その他の態様、利益発生の規模、期間その他の状況等の事情を総合考慮して判断するのが相当である」と判示しています(最判平成29年12月15日)。
そのため、一時所得か雑所得かの区別は、ほかの8種類の所得に当たらないことを前提として、「営利を目的とする継続的行為から生じた所得」といえるか否かが主な基準となっているということができるでしょう。
本件のAさんの場合には、1度に4500万円を着服したのであれば、継続的行為とは明らかにいえないので、一時所得に当たるということになるでしょう。
一方、何回かに分けて着服していた場合には、行為の期間や回数、頻度そのほかの態様など判例が示している考慮要素をもとに判断していくことになり、一概にどちらに当たるということは難しいといえます。
一時所得に当たるのか否かについては、このように様々な考慮要素をもとに判断していくことになるため、一度専門家に相談してみるのがよいでしょう。
Aさんは今後どうなるか
Aさんは、会社のお金を業務上横領しているため、会社が警察などの捜査機関に被害届の提出や告訴をすれば、業務上横領の被疑者として取り調べを受けたり、刑事裁判で有罪の判決を受けて前科が付く可能性があります。
業務上横領の金額が多額ですので、会社と示談ができなければ実刑となる可能性が高いといえるでしょう。
一方、会社が被害届の提出など刑事事件化をしなかったとしても、会社から業務上横領によって失われた利益を返還するよう、損害賠償請求をされる可能性もあります。
このような会社との関係とは別に、Aさんは業務上横領によって得た利益について確定申告をしていないはずなので、無申告又過少申告についてのペナルティを別途受ける可能性があります。
確定申告期限内に一切の所得について確定申告がなされていなかった場合には無申告加算税、一部だけしか確定申告をしていなかった場合には、過少申告加算税がペナルティとして課されます。
また、仮装隠ぺいなど悪質性が高いと判断された場合には、無申告加算税又は過少申告加算税に代えて重加算税が課せられます。
さらに、納税が遅れると、その期間に応じた「延滞税」の支払いが求められます。
このほか、Aさんの場合には、税務調査が入っていますが、悪質性が高かったり脱税額が巨額になる場合には、査察調査に発展することもあります。
査察調査は財務調査と違い、強制的に調査をすることができ、最終的には刑事告発に至る場合が少なくありません。実際、査察調査から刑事告発される割合は約70%と言われています。
まとめ
Aさんのように犯罪によって得られた利益も課税対象になりますので、確定申告をしていなければ、業務上横領の罪とは別に所得税法違反など税法違反の罪にも問われてしまう可能性があります。
そのため、犯罪行為によって利益を得ている場合には、その犯罪だけではなく税金の問題についても考慮しておく必要があります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件を中心として扱っていますが、税法についても知識のある弁護士がそろっています。
初回の相談は無料ですので、一度ご相談にお越しください。
金密輸が発覚すると厳しい処罰も
金密輸について、発覚するとどのような処罰が考えられるのかについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
1.金密輸に関係する犯罪
金密輸の事例としては、東南アジアなどで金を買い付け、日本に持ち帰って買い取り業者に売るというものがあります。
海外で購入したものを日本に持ち帰ることは輸入に当たるといえますが、金を日本に持ち帰る場合には、注意が必要です。
①重量が1キログラムを超える金の地金(純度90%以上)又は②ほかのお土産と合わせて20万円を超える金の地金を携帯輸入する場合には、事前に税関で申告する必要があります。
このような場合に、無申告で日本に持ち帰ると、「関税法違反」として処罰の対象となります。
関税法違反となる場合には、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金またはその両方の刑罰が科せられる可能性があります。
また、日本で売買することによって得た利益については、所得となります。
この場合に問題となるのは、消費税法、所得税法、地方税法です。
金を売った利益が所得となるため、所得税や住民税の確定申告が必要になりますし、売った場合には消費税の納税義務も生じます。
そのため、確定申告をしていなかったり、消費税の納付をしていない場合には、消費税法違反や所得税法違反、地方税法違反という罪に問われてしまう可能性があります。
この場合の罰則は、10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金またはその併科となっています。
2.手続きの流れ
金の密輸が疑われる場合、税関から通報され警察の捜査が開始されることもありますが、税務調査によって発覚する場合もあります。
税務調査は、所得隠しの疑いがあったりする場合に、確定申告の内容が適切かどうかを見極めるために行われるもので、任意調査です。
しかし、この税務調査で所得隠しが明るみになり、意図的に所得を隠していて悪質性が高かったり、無申告にかかる税額が多額に上ったりした場合には、国税局の査察調査を受けることになります。
査察調査は、強制調査として行われ、刑事告発を視野に行われます。
国税局査察部が会社などに立ち入り、必要な資料などを強制的に押収して聴き取り調査などを行います。
その後、刑事告発するかどうかが検討され、刑事告発すべきとなった場合には、検察庁に対して告発がなされ、以後は刑事事件として捜査を受けることになります。
多くの場合には逮捕されて捜査を受けることになり、その後刑事裁判を受けることになります。
刑事裁判では、有罪無罪のほか、有罪の場合には実刑か執行猶予判決か、罰金をいくら併科すべきかが決められます。
このように、脱税を疑われる場合には、税務調査から査察調査、刑事事件手続まで発展する可能性があります。
3.どのように対処すべきか
税務署の税務調査が入った場合には、まずは専門家に相談することをおすすめします。
なぜ税務調査が入ったのかを専門家である税理士や弁護士とともに検討して、査察調査に発展したり、刑事事件化してしまう可能性があるのかを確認してもらいましょう。
場合によっては、修正申告などで十分対応することが可能です。
しかし、査察調査や刑事事件に発展する可能性がある場合には、より慎重な対応が必要です。
告発をされないために、修正申告を行い未納の税額を早急に収めたり、聴き取り調査に対してきちんと対応したりできるかが重要となってきます。
また、刑事事件となって捜査を受けることになった場合には、逮捕されないための活動や不起訴獲得に向けた活動、さらには刑事裁判に対する準備なども早い段階から行っていくことが必要です。
特に査察調査が入った場合には、告発率は70%程度と言われていますので、刑事事件化を見据えて刑事事件に強い弁護士にも相談し、どのように対処していくべきか確認していくべきでしょう。
金密輸の場合には、悪質性が高いとして、比較的長期の懲役刑が科される可能性もありますし、併せて利益の3割程度の罰金刑も科される可能性があります。
刑罰とは別に、本来納めるべきであった税額に重加算税などの追徴課税も課せられることになるため、金銭的なペナルティが非常に重いものになります。
早期に弁護士や税理士などの専門家に相談して対応していきましょう。
【制度解説】累進課税制度とは
所得税などに適用されている累進課税制度について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
累進課税制度とは
累進課税制度とは、課税対象の金額が増えるごとに税率が上がる制度のことです。
累進課税制度には、単純累進課税と超過累進課税の2種類があります。
単純累進課税は累進課税率を課税額全体に適用する方法です。
一方、超過累進課税とは、一定の金額を超過した分だけその超過した分に対応する累進課税率をそれぞれ乗じて計算する方法です。
日本では、超過累進課税の方法が採用されています。
日本で累進課税の対象となっている税金は、所得税、相続税、贈与税の3つです。
所得税の税率
課税される所得金額 税率
1,000~1,949,000円まで 5%
1,950,000~3,299,000円まで 10%
3,300,000~6,949,000円まで 20%
6,950,000~8,999,000円まで 23%
9,000,000~17,999,000円まで 33%
18,000,000~39,999,000円まで 40%
40,000,000円以上 45%
累進課税の計算例
超過累進課税の場合
①所得300万円の場合
195万円までは5%、195万円以上の部分が10%の税率が掛けられます。
195万円×5%+(300万円-195万円)×10%=202,500円
20万2500円が所得税額となります。
②所得500万円の場合
195万円までが5%、195万円以上330万円までが10%、330万円以上650万円までが20%の税率が掛けられます。
195万円×5%+(330万円-195万円)×10%+(500万円-330万円)×20%=572,500円
57万2500円が所得税額となります。
※単純累進課税の場合
①所得300万円の場合
300万円に対応する税率は10%となるため
300万円×10%=30万円(税額)
②所得500万円の場合
500万円に対応する税率は20%となるため
500万円×20%=100万円(税額)
となります。
超過累進課税に比べると単純累進課税の方が納めるべき税額がかなり高額になることがわかります。
所得税の速算表
これまで見てきたように、所得税の計算は超過累進課税をとっているため、累進課税が掛けられる金額ごとに計算が必要となり、非常に煩雑です。
そのため、速算表に基づく計算が便利です。
速算表は国税庁のホームページに掲載されています。
課税所得金額にそれに対応する税率を掛けたものから速算表に記載がある「控除額」を差し引けば、累進課税の段階ごとに各税率を計算して算出したのと同じ結果が得られることになります。
たとえば、課税所得500万円の場合には、500万円×20%-427,500円=572,500円となります。
課税される所得金額 税率 控除額
1,000円 から 1,949,000円まで 5% 0円
1,950,000円 から 3,299,000円まで 10% 97,500円
3,300,000円 から 6,949,000円まで 20% 427,500円
6,950,000円 から 8,999,000円まで 23% 636,000円
9,000,000円 から 17,999,000円まで 33% 1,536,000円
18,000,000円 から 39,999,000円まで 40% 2,796,000円
40,000,000円 以上 45% 4,796,000円
所得税の計算は
これまで見てきたのは累進課税の基本的な内容です。
実際の所得税額の計算をする場合には、そもそも「課税所得金額」を算出する必要があります。
課税所得金額とは、課税がなされる所得金額のことで、年収から経費や給与所得控除金額などを差し引いて求められるものです。
どのような支出が経費として認められるのか、どのような場合に控除が受けられるのかなど分からないことがあれば、確定申告前に専門家に相談しましょう。
不正加担先に架空外注費を計上した法人税法違反事件
不正加担先に虚偽の領収証を作成させ、架空の外注費を計上する方法により所得を秘匿し、法人税を免れていた法人税法違反事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
参考事件
Aさんは、エアコンの設置工事等を行っている会社(A社)の代表をしていますが、友人Xと共謀して、Xが経営している会社(X社)と取引事実がないにもかかわらず、X社に虚偽の領収証を作成させ、架空の外注費を計上する方法により、所得を秘匿し、法人税を免れていました。
A社には東京国税局の査察調査が入り、AさんとA社は法人税法違反の容疑で東京地方検察庁に告発されました。
(令和5年6月東京国税局査察部発表の「令和4年度査察の概要」に記載の事案をもとに作成したフィクションです)
架空外注費
外注費とは、外部の法人や個人と契約を結び、業務の一部を委託する際に発生する費用のことです。
外注費は経費として計上することで、法人税が課税される所得の額を低くすることができ、支払うべき法人税の額が減ることになります。
そのため、税金を安くしようとして存在しない架空の外注費を計上してしまうことが起きます。
架空外注費を計上する手口として多いのは、参考事件のように取引先などと通謀して虚偽の請求書や領収証を作成してもらい、それにより実際には存在しない外注をあったかのように偽装して経費計上する手口です。
このような手口については、税務調査によって発覚してしまいます。
外注の場合には、外注先の会社が確定申告をきちんとしているのかを調べたり、金銭の流れが実際にあるのかを口座情報などをもとに綿密に調べていきます。
また、外注費として計上する場合、消費税についても仕入額控除がなされることになるため、消費税の脱税についても問われる可能性があります。
仮装隠ぺい
架空外注費計上の手口として、取引先等と通謀して虚偽の領収証等を作成して行うものであった場合、仮装隠ぺい行為を行ったとして悪質性が高い事案に当たるとされる可能性が高いといえます。
通常、過少申告や無申告などの税務調査は過去3~5年の期間にさかのぼって行われることが多いですが、仮装員ぺが行われた悪質性の高い法人税脱税事案となると、調査期間が7年前までさかのぼられることになります。
また、税務調査にとどまらず査察調査が入る可能性も高くなります。
架空外注費計上の場合には、法人税の過少申告事案ということになるため、免れた税額が少額の場合には査察調査までならない可能性がありますが、悪質性が高いと判断された場合には、比較的少額でも査察調査が入る可能性もあります。
ペナルティ
架空外注費の計上により過少申告をしてしまった場合、過少申告加算税が課せられることになります。
また、仮装隠ぺい行為として悪質性が高いと判断される場合には、過少申告加算税に代えて重加算税が課せられることになります。
このほか、延滞税なども課せられ、非常に大きな金銭的負担がかかってきます。
また、参考事件のように、刑事告発をされる可能性もあり、刑事告発されると逮捕されてしまう可能性も出てきます。
告発後の捜査を経た結果、起訴されることになれば、刑事裁判となり、刑事罰が科せられる可能性が非常に高くなります。
仮装隠ぺいによる法人税逋脱犯の場合、10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金又はその両方の刑罰が科せられることになります。
多くの事件では懲役刑の他に罰金刑も科せられており、罰金の金額は免れた税額(逋脱額)の2~3割の金額となることが多いです。
この罰金は、重加算税などの追徴課税とは別に科されることになるため、追徴課税にとどまらず金銭的負担が非常に大きくなってしまいます。
架空外注を疑われたら
架空外注費の計上を疑われた場合には、早期に対応していく必要があります。
税務調査や査察調査への対応だけでなく、修正申告や予納などの行為をすることによって、告発を避けられる可能性もあります。
税理士だけでなく、弁護士にも相談して刑事告発も見据えた対応を早めに整えていきましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、初回相談は無料ですので、一度お電話下さい。
偽装一人親方は脱税に注意
費用を安く済ませるために実際には労働者として扱うべき人を請負契約の相手方である一人親方と偽装している場合における税金関係の問題について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
偽装一人親方とは
一人親方とは、建設業などにおいて、業務委託や請負契約によって元請会社から仕事を任せられる個人事業主のことを言います。
特に建設業界においては、工事の完成に向けて人員の不足を解消するため、一人親方が多く活用されています。
一人親方は個人事業主ということになるので、原則として企業の労働者とはならず、自由に仕事を選べたり、好きなタイミングで仕事をできるなど、多種多様な働き方ができる点でメリットがあります。一方、社会保険の加入や就労時間の制限などがかからないという点で企業側にもメリットがあります。
偽装一人親方とは、本来は企業に属していたり企業の指揮命令下に置かれている労働者として扱わなければならない人を、指揮命令下に置き労働者と同じ待遇で労働させながら請負契約を結ぶなどして個人事業主としての体面を取り繕っている一人親方のことを言います。
なぜそのような偽装をするかというと、建設業では建設業許可の要件として労働者の社会保険加入が定められており、社会保険料などは企業が負担することになります。
個人事業主である一人親方であれば、社会保険加入は必要ないので、社会保険料などの費用を抑えることができます。
また、個人事業主である一人親方は、労働者に適用される労働基準法が適用されないことになるため、残業時間の規制や有給休暇の取得義務などの様々な規制を受けることがなくなります。
そのため、偽装一人親方が生まれているといえます。
偽装一人親方と税金
一人親方と業務委託契約や請負契約を結んでいる企業は、一人親方に対して業務委託料や報酬を支払わなければなりません。
報酬等は一人親方の所得となるため、通常は、一人親方が所得税等について確定申告をする必要があります。
企業側は一人親方に対して支払った報酬などは外注費として経費計上することで法人税を安く済ませることができますし、消費税についても仕入額控除が使えるため、安く済みます。
しかし、偽装一人親方の場合には、実際には企業に雇用された労働者といえるため、偽装一人親方に対して支払われた金銭は「報酬」などの名目であったとしても「給与」とみなされる可能性が高くなります。
「給与」となる場合、企業は「源泉徴収」義務が課せられており、給与から源泉徴収をし、源泉徴収税を納める必要があります。
そのため、源泉徴収をしていない偽装一人親方の場合には、企業側は所得税法違反となってしまいます。
その場合、不納付加算税を課せられたり、所得税法や法人税法、消費税法や地方税法違反として告発を受けてしまう可能性があります。
また、偽装一人親方側も他の企業からの委託も受けていたりする場合など自ら確定申告をしなければならないのに、それを怠っていれば、所得税法違反となってしまいます。
偽装一人親方を疑われたら
偽装一人親方かどうかについては、一人親方との契約内容、会社との関係、実際の労働内容など様々な事情によって判断されます。
一人親方が確定申告をしていないことから税務調査が会社に入ったり、内部告発などから発覚したりと発覚する経緯も様々なものが考えられます。
一人親方に対する外注費として計上した経費が税務署から「給与」として扱われてしまったという場合には、きちんと給与ではなく「報酬」であるということを主張していかないと、過少申告だけではなく、源泉徴収義務違反や消費税法違反などにもなってしまいます。
悪質な仮装隠ぺい行為とされてしまえば、刑事告発も考えられます。
そのような悪い結果とならないためにも、請負契約書をきちんと作成したり、事前に弁護士などの専門家に相談してリスクを予防することが大事です。
そして、もし偽装一人親方を疑われた場合には、税理士や弁護士といった専門家とともに、偽装ではないことや、悪質性が低いことなどを説得的に税務署や国税局に説明していく必要があります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、一人親方に関する税金問題にも対応しています。初回の相談は無料ですので、お気軽にお問い合わせください。
ペーパーカンパニーは脱税を疑われやすい!
ペーパーカンパニーは脱税を疑われやすいということについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
ペーパーカンパニーとは
ペーパーカンパニーとは、一般的にダミー会社のように、登記上は存在するものの、その事業実態がない会社のことを指すものとして使われています。
しかし、登記上存在するものの事業は行っていない会社の中には、事業活動を行っていたが何らかの事情によって事業を休止しているだけの休眠会社や、特定の事業や特定資産保有のために設立された特別目的会社なども、ペーパーカンパニーの一種として考えられています。
ここで取り上げるペーパーカンパニーは、主に税負担を軽減するために設立された会社を考えていきます。
ペーパーカンパニーによる節税?
ペーパーカンパニーを税負担の軽減のために設立する主な理由は以下の3つが考えられます。
①法人税の軽減税率適用のため
法人税は法人の所得に応じて税額が決まりますが、資本金が1億円以下の中小企業の場合には、所得が一定額以下であれば軽減税率が適用されます。
そのため、複数の会社に利益を分散させて税率を下げることを目的として設立される場合があります。
②交際費の経費計上
中小企業の場合、交際費のうち接待飲食費の50%または年間800万円までは、交際費として経費計上できます。
このことを利用して、会社を増やして経費計上できる額を多くしようとして設立される場合があります。
③売却損で利益を減額
会社が不動産を持っている場合に、不動産の帳簿価格を下回る価格でペーパーカンパニーに不動産を売却することで、その差額が売却損となり、会社の利益から売却損を差し引くことで、会社の法人税算定の基準となる所得額を減らそうとする目的のために設立する場合があります。
また、ペーパーカンパニーの株式を親会社として保有している場合、ペーパーカンパニーの株式価格が下落した時点でそのペーパーカンパニーの株式を売却することでも売却損が出るため、同様に会社の法人税額を減らす目的でそのようなペーパーカンパニーを設立することもあります。
もっぱらこれらの目的のためにペーパーカンパニーを設立していると考えられる場合、もはや節税ではなく脱税として税務調査や査察調査を受ける可能性が高くなります。
しかし、ペーパーカンパニーの設立目的がどのようなものであるかは、実際に調査に入ってみないとわからないことも多くあります。
そのため、ペーパーカンパニーだと思われる会社を設立していると、税務調査を受けやすいといえるでしょう。
脱税を疑われたら
ペーパーカンパニーを利用して節税対策しようという触れ込みで、コンサルティングを受けた会社が、実際には脱税に当たるとして方法を指南したコンサルティング会社とともに告発された事件もあります。
休眠会社を持っているだけでは当然違法ではありませんが、設立以来事業実績がない会社であったり、事業実態に比して接待交際費が多く計上されていたりする場合には、脱税を疑われる可能性が高くなります。
いまだ税務調査の段階であったとしても、その調査でどのように回答するかやどういった資料を提出するかによって、悪質な脱税行為であるとして査察調査に移行してしまう可能性があります。
そうならないためにも、早めの段階から税理士や弁護士といった専門家に相談し、必要であれば修正申告を行ったり、必要な資料を準備したりして調査に適切に対応していく必要があります。
休眠会社を利用して取引を行った、節税のためにペーパーカンパニーを立ち上げたなど、不安に思われる方は、一度弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では脱税に関する相談は初回無料です。