Archive for the ‘未分類’ Category

【税金リテラシー*を高めよう~税金の歌!】

2023-10-11

関西を拠点に活動するバンドに『八ツ尾順一と税金一座』という税金のことを歌にして届ける活動をする異色のグループがある。

バンドの構成メンバーは,「NHKのど自慢」のバックミュージシャンだったプロ奏者たちに,税法を専門とする大学教授で税理士,公認会計士を勤める八ツ尾順一さん(72歳)がバンドのボーカルを務めるリーダー,他にプロギタリスト(70歳)らが参画する。2014年から毎年2曲ずつをリリースしており,今までに20曲を制作した。

楽曲のテーマは,ビートルズの「タックスマン」**のような歌を作ることを目指しており,ずばり,バンドの歌を聴く人達に正しい税金リテラシーを持ってもらいたく難しいとされる税金の話を一般の人に分かりやすく伝えることを狙いとしており,「日本には税金に関する歌があまりない。歌をきっかけに税金に関心を持ってほしい。」として今日もマイクで喉を振るわせ,活動している。

曲名には,「消費税よ,どこへ行く」,「おじいちゃんの恋~贈与税物語より」「ああ~それは加算税」「源泉徴収 恨み節」などと税法上の法律用語がちりばめられており,その歌詞は説明調で長くなり,一小節に収まり切らないのを修正に修正を重ねて出来上がったメロディは,藤圭子風,谷村新司風にアレンジし見事に収まっているという。

たとえば,こんな感じ ~「源泉徴収恨み節」から~
   ♫   債務免除は給与所得      ♫   
   ♫   なぜ給与所得なのか教えてよ  ♫

これは,社団の理事長が社団から約52億円の債務を負っていたところ,これを同社団が債務免除した事案に関し,広島高裁が「本件債務免除は,理事長の資力喪失が理由であるから,理事長に対する役員対価(報酬)とみることは相当ではなく,所得税法にいう給与等に該当するということはできず債務免除益について,社団に源泉徴収義務はない。」とした判断に対し,最高裁が審理を差し戻した裁判例(2016年10月)を歌にしたものです(この場合社団に源泉徴収義務があるとすれば,同社団は,源泉徴収額を納税しなければないのが理屈となりますね。差し戻し後の判断は未了のようです。)。

たしかに税法に関する裁判例は,難解で理解が困難な向きが多いようです。これを分かりやすくユニークな歌にすれば,一般にも理解されることとなるでしょう。
同バンドの曲はカラオケにもなっているものもあり,我こそはと思われる方は,税金の歌に挑戦してみてはいかがでしょうか。

*リテラシーとは本来は読み書きの能力を指し,ここでは税金に対する基本的事項を理解していることを指す言葉。金融リテラシーなどとよく使われている。

**ザ・ビートルズ「タックスマン」
1966年の7thアルバム「Revolver」に収録されているジョージ・ハリスンの制作になる曲,イギリスで富裕層に課せられていた最高税率95%という高い税率に対する不満から,当時売れまくっていたビートルズが自分たちが支払う高い税率に音を上げ,税金に対する皮肉を込めて作った曲とされている。

入居者が賃料にかかる税金を納税しないといけない?

2023-02-15

不動産を借りた際に、賃料にかかる税金を借りた側(賃借人)が納税しないといけない場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【問題】


Aさんは、友人のBさんから「海外に1年以上出張することになったから、自分の家を借りないか?」と言われ、月20万円で大阪市北区にあるBさんの家を借りることにしました。
①Aさんが、Bさんの家を自分が住むために借りた場合
②Aさんが、Bさんの家を自分の趣味で集めた品物を保管する倉庫として借りた場合
③Aさんが、Bさんの家をAさんが代表を務める会社の名義で借りた場合
で、Aさんが賃料について納税する必要がある場合はあるか?

【解答】


Bさんが実際に1年以上日本に居住していない場合には、
①の場合には、賃料にかかる税金をAさんは納税する必要はないが、
②及び③の場合には、Aさんは賃料から所得税(及び復興特別所得税)を源泉徴収し、納税する必要がある。

【解説】

非居住者から不動産を借り受けた場合の源泉徴収義務

非居住者や外国法人から日本国内にある不動産を借り受け、日本国内で賃借料を支払う者は、原則としてその支払いの際20.42%の税率により計算した額の所得税及び復興特別所得税を源泉徴収しなければなりません。
そして、源泉徴収した所得税及び復興特別所得税は、原則として賃料を支払った(源泉徴収した)月の翌月10日までに納税しなければなりません。(所得税法212条、213条など)
ただし、借主が個人で、借主が自分又は借主の親族の居住用のために賃借する場合には、源泉徴収する必要はありません。

非居住者とは

原則として、日本国内に住所がなく、かつ現在まで引き続いて1年以上日本国内にいない人のことを言います。
ここでいう「住所」とは「生活の本拠となる場所」のことをいうとされていますので、住民票がたとえ日本にあったとしても、1年以上海外で生活している長期出張中の人などは「非居住者」となる可能性があります。

Aさんの場合

自分が住むために借りた場合
借主であるAさんが自分で住むために借りた場合には、源泉徴収義務がないため、Bさんに賃料を普通に支払えばよいということになります。

品物の倉庫として借りた場合
Aさんの居住用として借りたわけではないため、AさんはBさんに賃料を支払う際に源泉徴収をする必要があります。
この場合、Aさんは、所得税及び復興特別所得税として賃料の20.42%にあたる4万840円を差し引いた15万9160円をBさんに支払い、さらに4万840円は翌月の10日までに納税する必要があります。

会社が借り受けた場合
会社(法人)名義で借りた場合は、どのような用途かにかかわらず、借主には所得税などの源泉徴収義務が課せられます。
そのため、②の場合と同様の処理を行う必要があります。

非居住者から不動産を賃借する場合の注意点

非居住者から不動産を賃借する場合には、居住用以外の場合には賃借人が源泉徴収を行ったうえで納税する義務があります。
そして、このことは仲介業者などに告知義務は課せられていません
そのため、賃貸人が国外にいるのに源泉徴収をせずに普通に賃料を払い続けてしまっており、税務署から滞納通知が届いてから初めてこの制度を知ったという人が多くいます。
また、借りたときには賃貸人が日本に居住していたが、途中から海外に移住してしまったような場合にも、その期間が1年を超えてくると源泉徴収する必要が出てきて、知らない間に税金を滞納しているという場合もあります。
この制度自体に問題があると思われますが、法律がある以上、知らなかったでは納税義務を免れません。
こういったトラブルに合われた方は、賃料を払いすぎていたということにもなるため、賃貸人に払いすぎた分を請求するなどの対応も必要になるでしょうから、税理士だけではなく弁護士にも相談して対応を検討していくべきでしょう。

【裁判例解説】所得税法違反で建設会社従業員に有罪判決

2023-02-01

単純無申告ほ脱罪により有罪判決が下された実際の事件を例に、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

判決の概要

①事案の概要
大手建設会社に勤務していたAさんが、特定の下請業者を選定する見返りとして、下請業者から2年間で合計1億9500万円の謝礼金を受け取ったのに、その謝礼金及び各年の給与所得について確定申告を行わずに所得税を免れていた。

②判決
懲役1年及び罰金2000万円
懲役刑につき3年間の執行猶予
(求刑:懲役1年及び罰金2500万円)

③量刑の理由
マイナス事情
・ほ脱税額が2年間で合計8300万円を超え、多額
・ほ脱率が通算95%を超える高率
・当初から裏金になるとの認識
・遊興費等に費消
・Aさんが積極的に主導したわけではないが、偽装工作を行って課税を免れようとした
プラス事情
・犯行を認めて反省の弁を述べている
・起訴後に修正申告を行い、ほ脱税額の半分を超える金額の本税を納付
・残りの税額についても納税の意思を示している
・前科前歴がない

解説

①単純無申告ほ脱罪
今回の判決は、令和3年に仙台地方裁判所で実際に下された判決です。
同判決において適用されている法律は、「所得税法238条3項」とされているので、この事件は所得税法違反事件の中でも「単純無申告ほ脱罪」に当たるとして判断がなされたということができます。
「単純無申告ほ脱罪」は平成23年の所得税法改正によって新設された罪で、「5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」と定められています。
全く確定申告をしていないものを無申告といいますが、無申告について所得税法では、「単純無申告ほ脱罪」のほかに、無申告ほ脱罪と単純無申告罪が規定されています。

無申告ほ脱罪(所得税法238条1項)
偽りその他不正の行為により(中略)所得税を免れ」た場合の罪で、「10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」とされています。
単純無申告罪(所得税法241条)
「正当な理由がなくて(中略)申告書をその提出期限までに提出しなかった者」は、「1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する」とされています。
単純無申告ほ脱罪(所得税法238条3項)
偽りその他不正の行為があったとは言えないまでも、所得税を免れる意思をもって確定申告をしていない場合に当たる犯罪です。

②量刑についての解説
今回の事件では所得の金額が2億円ちかくあり、ほ脱税額も8300万円と非常に高額なため、告発・起訴はおよそ避けられない事件であったといえるでしょう。
また、判決の量刑理由の中で「偽装工作」を行っていたと言われており、「偽りその他不正の行為により所得税を免れた」として無申告ほ脱罪に問われてもおかしくなかったと言えます。
しかし、偽装工作を主導したのはAさんではないといわれていることから、「偽りその他不正の行為」をAさんが行ったとは認定できなかったか、検察官がその立証が難しいとして単純無申告ほ脱罪での起訴を行ったかということだと思います。
判決では「強い非難に値する」とも述べられており、悪質性が高いと裁判所は判断しているということができますが、反省をし修正申告をして実際に納付をしたり納付する意思を示していることが執行猶予を付ける決め手となっているといえます。

罰金については、「この種事犯が経済的にも見合わないものであることを感銘させるため」として罰金刑を併科しています。
ほ脱事件においては、ほとんどの事件で罰金刑が併科されており、罰金額は、ほ脱税額の20~30%くらいの金額となることが多いです。
なお、単純無申告ほ脱罪における罰金刑は所得税法238条3項によれば「500万円以下」とされていますが、同条4項によって「免れた所得税の額が500万円を超えるときは、情状により(中略)その免れた所得税の額に相当する金額以下とすることができる」とされています。
そのため、今回の事件でも500万円を超えて、「2000万円」という罰金刑を課すことができているのです。

③執行猶予を得るためには
今回の事件で執行猶予を得られたのは、反省していることだけではなく、修正申告をして実際に納税をしていることが大きかったといえます。
脱税事件では、納税義務を果たしていないことが非難の対象となるため、修正申告をして納税義務を果たす姿勢を示すことが何よりも大事でしょう。
また、今回の事件では起訴後に修正申告をしているようですが、税務調査の段階から修正申告をして納税義務を果たしていくことで、査察や告発を避けられたり、不起訴を勝ち取れたりといったメリットが生まれます。

脱税事件では、なるべく早い段階から税理士や弁護士などの専門家に依頼し、税務調査や査察、刑事裁判などに向けた活動をしていくことが重要です。
脱税事件でお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の無料相談をご利用ください。

「お年玉」にも確定申告が必要か?

2023-01-11

「お年玉」にも確定申告が必要かどうかについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

ジャニーズ事務所に追徴課税

2022年12月27日の報道によれば、ジャニーズ事務所とグループ会社2社が、所属タレントに渡していた「お年玉」を経費として計上し、所得税の源泉徴収を行っていなかったとして、東京国税局による税務調査で合計約4000万円を追徴課税されていることが分かったとのことです。
この報道によれば、「お年玉」を「交際費」として会社の経費に計上していましたが、実際には社長が会社の報酬から個人的に支出したもので経費には当たらないと判断されたようです。

この報道からは、会社の従業員に対して「お年玉」名目で金銭や物品を与えた場合、ボーナス(賞与)とみなされる場合や個人的な支出とみなされる場合があることに注意が必要であると言えるでしょう。
この報道のケースでは、実際には社長の個人的な支出にあたると判断されているため、本来であれば「お年玉」として支払っている金銭は社長の所得となっているはずであり、その分の源泉徴収を会社がしなければならなかったところ、会社の経費として計上していたために、源泉徴収義務を怠ったことになり不納付加算税などの追徴課税がなされたようです。
報道からはこれ以上のことはわかりませんが、会社の経費として計上していたということであれば、その分会社の収益は減額して確定申告を行っていると考えられるため、法人税について過少申告と言われる可能性もあると思われます。

お年玉をあげる側は、経費計上してもよいものかどうか慎重に判断することが必要でしょう。
税理士や弁護士など専門家に相談して申告漏れなどにならないように注意してください。

「お年玉」をもらった側は確定申告が必要か

では、お年玉をもらった側については、確定申告が必要でしょうか。
お年玉の性質によって場合分けをして考える必要があるでしょう。
①ボーナスとしての側面がある場合
ボーナス(賞与)としての側面がある場合には、所得税の確定申告が必要になります。
もっとも、サラリーマンの場合には源泉徴収を会社が行っているため、別途確定申告をする必要は基本的にありません。
ですが、お年玉としてもらったものが源泉徴収されているかについては確認しておいた方がよいでしょう。
仮に源泉徴収されていない場合には別途確定申告をする必要がある場合があります。

②もっぱら贈与としてもらった場合
お年玉は多くの場合は贈与としてもらっているでしょう。
この場合は贈与税の対象となる可能性があります。
注意が必要なのは、贈与税の対象となるのは、あくまでも個人から贈与により財産を取得した場合に限られることです。
仮に法人から贈与により財産を取得した場合には、贈与税ではなく所得税の対象となります。

贈与税は原則として、1年間に贈与を受けた金額が110万円を超えた場合にかかります。
そのため、贈与を受けた金額が110万円以下の場合には、贈与税の申告は不要になります。
気をつけなければならないのは、1年間の合計額で判断するという点です。
1回の贈与で10万円だったとしても、毎月もらっていれば1年間で120万円になるため、贈与税の申告が必要となります。

「お年玉」としてもらった場合には贈与税の申告が不要な場合も

もっとも、合計で110万円を超えていたとしても贈与税がかからない場合があります。
例えば、扶養義務者から生活費や教育費に充てるために取得した財産で、通常必要と認められるものが挙げられます。
そして、この例外の中に「個人から受ける年末年始の贈答、祝物などのための金品で、社会通念上相当と認められるもの」というのがあります。
そのため、例えばお正月に親族や友人200人から一人1万円ずつ「お年玉」としてもらった場合には、この例外にあたり、贈与税の申告をしなくてもよいことになります。

ですが、「年末年始」ではない時期にもらった場合には、「お年玉」としてもらったとしても例外に当たらないと判断されてしまう可能性が高くなるため、時期が重要になります。
また、たとえ年末年始に「お年玉」として一人から200万円をもらった場合も、200万円という金額は社会通念上相当とは言えないでしょうから、贈与税の対象となります。

「お年玉」は渡す側も渡される側も注意が必要です。わからないことがあれば、まずは専門家に相談しておくのがよいでしょう。

keyboard_arrow_up

0120631881 問い合わせバナー LINE予約はこちら