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eスポーツの大会賞金と課税リスク

eスポーツの大会で獲得される賞金と課税リスクについて,選手と企業それぞれの観点を踏まえ,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
eスポーツとは
コンピューターゲーム等の各種ゲームを,個人が行う娯楽にとどまらず,スポーツ競技としての領域にまで昇華させたものがeスポーツになります。eスポーツの市場規模は,国内においても年々,拡大傾向にあります。ゲームの種類によっては世界的な大会も開催されており,多額の大会賞金が提供されることもeスポーツの特徴の一つです。
一大コンテンツとしてeスポーツが成長することに伴い,大会賞金やスポンサー収入で生計を立てるプロゲーマーの人口も増えています。プロゲーマーの多くは個人事業主に該当しますが,eスポーツチームの運営会社といった企業に所属しているケースもあります。
eスポーツの大会賞金と税金の関係
規模によっては相当な額の賞金が発生するeスポーツの大会ですが,お金が動く以上は,税金のことも考えなければなりません。選手の立場で見ていきますと,eスポーツの大会賞金には所得税が課されるため,確定申告が必要になります。
プロゲーマーのように,営利を目的とした継続的な所得が認められる場合は,eスポーツの大会賞金は事業所得として扱われます。これに対して,個人が趣味の範疇で参加した大会で賞金を獲得したような場合は,営利目的や継続的行為といった性質を欠くため,一時所得として扱われることになります。一時所得として扱われる場合は,所得の計算方法が変わります。差し引かれるのが必要経費ではなく,収入を得るために直接支出した金額に限られるなどの違いあるため,注意が必要です。
なお,国内ではまだ少数にとどまりますが,選手が個人事業主ではなく,起業に所属して給与を得ている場合は,源泉徴収がされるため,自ら確定申告をする必要はありません。この場合は大会賞金を企業が受け取る形になるため,法人税として課税されることになります。
eスポーツの大会賞金と課税リスク
ここまで述べたとおり,選手の立場で見ると,eスポーツの大会賞金には原則として所得税が課せられることになります。そのため,適切に確定申告を行わなければ,課税リスクを伴うことになります。
意図的に税金を逃れようとする脱税の場合はもちろんですが,確定申告にあたって計算を間違えるといった,いわゆる申告漏れのケースでも課税リスクは顕在化します。以前よりメジャーになってきたとはいえ,プロゲーマー自体が新しいタイプの仕事ということもあり,必要経費が認められる範囲などは,税務上も問題になりやすいといえます。
申告漏れとなってしまった場合,不足した納付分について追徴課税がされるのは当然ですが,それ以外にも各種のペナルティが生じます。期限までに納付が間に合わない場合は,延滞税が課せられます。完納までに時間を要すると,延滞税による負担も増すことになります。他にも,適正な申告がされていない場合は,過少申告加算税や無申告加算税といった各種の加算税も課せられます。延滞税や加算税については,こちらの記事もご参照ください。
不正の目的をもって納付を免れた場合は,脱税事件として国税局による査察や告発がされる可能性もあります。脱税事件となってしまった場合は,重加算税が課せられるおそれや,刑事処罰として拘禁刑や罰金が言い渡されるリスクもあります。なお,期限内に確定申告を行わなかった場合は,意図的な脱税でなかったとしても,刑事罰の対象にもなっています(所得税法241条)。法定刑は「1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金」となります。
企業の立場から見ると,所得税ではなく法人税となりますが,同様に申告漏れには課税リスクが生じます。適切な源泉徴収が行われていない場合,不納付加算税も課せられます。
eスポーツに関係する税務上の問題は弁護士に相談を
eスポーツそのものの歴史は長いものがありますが,コンテンツとして身近になったのは,ごく最近といえます。そのため,申告漏れによる課税リスクや,適切な確定申告について,周知が十分でないケースもあり得ます。
個人事業主として活動するeスポーツ選手で,申告漏れをはじめとする課税リスクに不安がある場合は,速やかに専門家に相談を行うことをお勧めします。ストリーマーとして活動することも多いeスポーツ選手にとって,税務上の問題が生じることは,風評の面でも深刻な結果がもたらされるリスクも考えられます。
法的なリスクについては,税の専門家である税理士のみならず,法の専門家である弁護士から助言を得ることも重要です。
