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事例
Aさんは、「ギャラ飲み」のマッチングアプリに登録し、アプリを通じて紹介された飲み会に参加し、マッチングアプリの運営会社から飲み会に参加した報酬を受け取っていました。
マッチングアプリを運営する会社に国税局の税務調査が入ったことで心配になったAさんは、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所で相談をすることにしました。
解説
1.ギャラ飲み
「ギャラ飲み」とは、明確な定義はありませんが、一般的に「飲み会の主催者側(ゲスト)が参加者(キャスト)にお金(ギャラ)を支払って行う飲み会のこと」を言います。
ギャラ飲みに参加する方法としては、マッチングアプリを利用するもの、SNSを通じて個人的に参加するものなど様々な方法があります。
このうち、マッチングアプリを利用する方法の場合、参加者(キャスト)がマッチングアプリに登録し、アプリを運営する会社から飲み会の主催者(ゲスト)を紹介され、飲み会に参加するとアプリの運営会社から報酬や給与として金銭がキャストに支払われるというシステムになっている場合が多くあります。
「ギャラ飲み」と似た概念として「パパ活」が挙げられますが、「ギャラ飲み」は原則として飲み会への参加だけであること、飲み会なので複数人が参加すること、マッチングアプリなどシステム化されていることなどから「パパ活」とは異なります。
2.ギャラ飲みの問題点
ギャラ飲みは、あくまでもアプリ等を通じて飲み会に参加するだけですので、それだけで違法ということはできないでしょう。
しかし、ギャラ飲みの場合、飲み会に参加したことにより、マッチングアプリから報酬や運営会社からの給与として金銭が参加者(キャスト)に支払われることになりますが、この支払われた金銭は収入と言えますので、課税対象となります。
そのため、ギャラ飲みで得た収入について、確定申告をして税金を支払う必要があり、これを怠ると脱税となり、所得税法違反となってしまう可能性があります。
また、得た収入が少ない場合でも住民税の対象とはなりますので、ギャラが少ないからといって税金がかからないということにはなりません。
3.ギャラ飲みで脱税が発覚する経緯
(1)運営会社への税務調査
ギャラ飲みをあっせんしている会社やマッチングアプリを運営している会社に対して税務調査が入ることがあります。
実際に、大手と言われているギャラ飲みのマッチングアプリを運営している会社に東京国税局の税務調査が入った例があります。
このときには、マッチングアプリに登録しているキャストのリストが押収されており、キャストにも税務署などの調査が行われる可能性が指摘されていました。
(2)SNSなどの履歴
ギャラ飲みについて、TwitterなどのSNSを通じて「○○円稼いだ」などと発信してしまうこともあると思います。
しかし、そういったSNSの履歴についても税務署や国税局が調査している場合もあります。
実際に、SNSの履歴から調査が開始され、税務調査を受けることになった例もあるようです。
(3)銀行振込履歴
ギャラ飲みの報酬を銀行振込にしていると、そこから脱税が発覚する場合もあります。
いきなり銀行の取引履歴を調査される可能性は低いですが、運営会社が査察を受けたりした場合に、運営会社の銀行口座履歴からキャストに報酬を振り込んでいることが発覚し、そこからキャスト側の脱税が疑われてしまう可能性があります。
(4)知り合いなどからの通報
ギャラ飲みにより収入を得ていると、知り合いなどから通等される可能性もあります。
仲が良いからといって安易に自慢していると足元をすくわれてしまう可能性があります。
4.脱税が発覚すると
ギャラ飲みの収入について確定申告を怠り、納めるべき税金を納めていないことが発覚すると、そもそも納めるべきであった税金に加えて加算税などを支払わなければならなくなる可能性があります。
また、確定申告をしていないことに悪質性が高いと判断されると、無申告加算税ではなく、重加算税が課せられたり、場合によっては刑事事件化して刑罰を受けることになってしまう場合もあります。
特に、税金を納めていない期間が長く、納めていない税金額も多額になっている場合には、所得税法違反で逮捕されてしまう可能性も高くなってきます。
周りの人もやっているから大丈夫と考えず、ちゃんと確定申告をして税金を納めることが大事ですが、もし確定申告をしておらず、税務調査などを受けてしまったという場合には、刑事事件化する可能性もありますので、すぐに専門家に相談してください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を中心に取り扱っている事務所ですので、脱税で刑事事件化しないためにはどうすればよいかなどのアドバイスもさせていただきます。