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YouTubeでの収入は確定申告が必要か、確定申告しないとバレるのかについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
YouTubeでの収入
YouTubeに動画をアップして広告収入を得ているYouTuber(ユーチューバー)は、近年子供のなりたい職業ランキングに登場するなど一般的になりつつあります。
また、新型コロナの影響により、YouTubeで動画を配信して収入を得ている方も増えてきています。
そんなユーチューバーの方は、一部の有名な方々を除くと、ほとんどがYouTubeから広告収入を得ていると思います。
広告収入についても、所得税の申告が必要となるのは当然です。
もっとも、広告収入のすべてに所得税が課せられるのではなく、収入から必要経費や控除額を差し引いた残りが所得税の申告が必要となる「所得」となります。
そのため、収入の額が控除される額(基礎控除は48万円)以下の場合には「所得」がないということになり、申告は不要となります。
YouTubeでの収入は税務署にバレる?
YouTubeなどのインターネットを利用している取引については、国税庁が積極的に調査を実施しています。
国税庁が発表している「インターネット取引を行っている個人の調査状況」という資料によれば、平成29年度におけるインターネット取引の実地調査件数は2015件で、コンテンツ配信やネット広告に関する件数は274件を占めています。
また、国税庁は「電子商取引監視チーム」を配置し、インターネット取引を中心に扱う専門官が監視を強化しています。
このように、インターネット取引については、国税庁が常に目を光らせている分野といえます。
そして、YouTubeの収入については、
①再生回数が表示される
②広告収入は電子送金される
ということから税務署はユーチューバーが収入をどれくらい得ているのか把握しやすいといえます。
再生回数が多く、相当程度の広告収入を得ているはずなのに、確定申告がなされていないと税務署が調査に入ることになります。
確定申告を怠ったYouTuberが実際に追徴課税を受けたケース
確定申告を行なわなかったことが国税局に発覚し、多額の無申告加算税を支払うことになった実例について、以下の引用記事を基に解説します。
事件の概要
動画をユーチューブに投稿し、その報酬などとして約3600万円を得ていた男性が、確定申告をしていなかったとして、関東信越国税局の税務調査を受けた。重加算税を含む約700万円を追徴課税されたという。男性はかつて会社員だった。当初、国税局に対して「確定申告が必要なことを知らなかった」という趣旨の説明をしていたという。さらに追及を受けた男性は、意図的に申告をしなかったことを認めた。国税関係者は「確信的な無申告だったのに、それを隠そうとする。言い逃れの典型例だ」と指摘する。
(令和5年3月11日付朝日新聞オンラインの記事より抜粋)
https://www.asahi.com/articles/ASR3B3W07R36UTIL00P.html
引用記事によりますと、国税局は男性が税務調査への対応策を事前に調べていた事実も掴んでいたようです。先ほど述べたとおり、YouTuberの収入は国税局からすれば容易に捕捉することができるため、ごまかしは効きません。自分だけは大丈夫と思わずに、適切な確定申告を行うことが求められます。
YouTubeの収入を確定申告していないと
YouTubeの収入を確定申告していないと「無申告加算税」が課せられることになり、確定申告をしていた場合よりも多くの税金を支払わなければならなくなります。
また、意図的に確定申告をせず所得を隠していたということになれば、「重加算税」の対象となってしまう場合もあります。
さらに、無申告には刑罰も定められているため、金額や悪質性によっては、刑事裁判にかけられてしまう可能性もあります。
バレないから大丈夫と安易に考えていると、急に税務署が調査にうやって来て、多額の課税がなされる場合があります。
また、チャンネルの継続が難しくなる可能性もありますので、確定申告を忘れてしまっていたという方は、早めに専門家に相談して修正申告などをしていきましょう。