【制度解説】予納とは

予納

予納について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
税務調査がなかなか終了しなかったり、税務調査の結果、重加算税を含む多額の追徴税額が見込まれる場合、税務調査官より「予納しますか?」と聞かれることがあります。

そもそも予納とは何でしょうか

予納とは、調査等により近日中(おおむね6か月以内)に納付すべき税額の確定が見込まれる場合に、修正申告書等を提出する前であっても、その納付すべき税額の見込金額を、税務署長に申し出て、あらかじめ納付(予納)することができる制度です。
この点 期限内申告書においては、おおむね12か月以内に納付すべき税額が確定することが確実な国税について、あらかじめ税務署長に申し出ることで予納することができます。
この予納を活用するためには、事前に税務調査官に対し「国税の予納申出書」を提出することになります。

予納した時点で延滞税の計算がストップする

税務調査で問題点を指摘された場合、通常であれば、本税、加算税、延滞税、という3種類の税金を追加で納付することになります。
この点、実際には、税務署内での決裁手続を経た後に修正申告書を提出し本税を納付するのが通常の流れとなりますので、税務調査の結果追加で納付すべき本税額が早々に確定しているにも関わらず、実際の納付日が1か月~2か月後、あるいはそれ以上の日になってしまうことがしばしばあります。
延滞税については、法定納期限の翌日から実際に納付された日までを計算期間として税額が決まります。そのため、税務調査で重加算税が賦課されるような問題点が把握された結果、追加で納付すべき本税が生じてしまう場合には、追加の見込金額を予納すればその時点で延滞税の計算がストップするので、一日でも早く追加分を納付した方が延滞税が少なくなるというメリットがあります。

延滞税の税率

令和5年の時点で、2ヶ月以内:2.4%、2ヶ月超過:8.7%が延滞税の税率となります。
2ヶ月以内は低くなっており、2ヶ月超過すると一気に上がります。
2ヶ月以内の税率が低く抑えられている理由は、延滞税の早期納付を促すためです。
このように延滞税といっても、年利2.4~8.7%の金額(令和5年)の支払いになり、時期が経過するごとに雪だるま式に増えていきますので、延滞税の計算をストップさせ、支払い分を減らすことは大変重要です。

税務調査官より「予納しますか?」と聞かれることの意味

税務調査官によっては、「延滞税の負担を少しでも減らすために予納してはいかがでしょうか?」と納税者側に提案してくれることがあります。以上説明したことからすれば、この提案は正しい提案であり、このような調査官は気の利いた良心的な調査官ということになります。
そうであれば、税務調査官から「予納どうしますか?」との話が無い場合に、追加で納付する税金が多額な時はぜひこちらから予納申出書を提出したいと積極的に申し入れるべきでしょう。

予納した額が、修正申告等により確定した税額と異なる場合の処理

予納した額が、修正申告等により確定した税額よりも少ない場合には、予納した額は修正申告等により確定した本税に充てられ、残りの本税、加算税、延滞税については、別途納付することになります。
予納した額が、修正申告等により確定した税額よりも多い場合には、予納した額を修正申告等により確定した本税に充てた残額については、順次、他の未納の国税に充てられ、納め過ぎた額については還付されることになります。

最後に

多額の追徴額が見込まれる場合、不安を感じたときには、専門家にすぐに相談しましょう。予納という制度は知らない方も多いかもしれませんが、メリットの多い制度です。

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