脱税事件と刑事裁判。弁護士に依頼をするメリット

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脱税事件で刑事裁判になってしまった場合、どのようなリスクを負うことになるのか、そして脱税事件において弁護士に相談・依頼することの意味を、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

参考事件

A株式会社は新型コロナウイルスが蔓延した影響を受けて、売上が大幅に落ち込んでいました。その後、地道な営業努力が功を奏してA株式会社の売上は回復していきましたが、今後もコロナ禍のような事態になった場合に備えられるよう、資金をプールしておきたいと考えたA株式会社の代表取締役は、経理担当と示し合わせて、架空の外注費を計上するようになりました。
A株式会社の所得隠しは数年にわたって続きましたが、最終的に国税局による査察調査が行われ、検察庁への刑事告発がされてしまいました。
(この参考事件はフィクションです)

脱税事件と刑事事件

本来支払うべき税金の納付を免れる脱税事件は、法人税法や所得税法といった各種税法に違反しています。各種税法は罰則を定めているため、脱税事件は刑事事件という側面を持っています。
もっとも、すべての脱税事件が刑事事件として扱われるわけではありません。申告内容に不自然な点が見られた場合、通常は税務署による税務調査が行われます。申告に不備があった場合でも、金額によっては税務調査だけで済み、修正申告を行うことで、それ以上の手続には進まないこともあります。
脱税額が多額にわたる場合や、虚偽の申告や隠蔽などが行われていた場合は、税務調査だけでは済まずに、国税局による査察調査が行われる可能性があります。参考事件のA株式会社が行った架空の外注費の計上は、典型的な不正の手段による脱税といえます。
査察調査は検察庁への告発を念頭に置いて行われるものであるため、国税局による査察まで手続が進んでしまうと、告発によって刑事事件となってしまう危険が高まります。もっとも、査察調査が実施されても告発がされないこともあり、その場合は刑事事件にはならないで終了することになります。

刑事裁判になってしまった場合

税務調査や査察調査で済んだとしても、調査に対応する手間がとられたり、会社の重要な書面が税務署や国税局に一定期間持ち出されたりといった負担が生じます。申告内容に不備があった場合は本税を納付する必要が出てきますし、延滞税や各種加算税の納付も求められます。重加算税も課された場合は、相当な経済的負担を被ることになります。また、税務調査の過程で取引先の会社や銀行に反面調査が入ることもあり、会社の信用に関わることもあります。
刑事告発を受けて刑事手続に移行してしまうと、さらなる負担を被ることになります。刑事事件となった以上、税務調査や査察調査と異なり、逮捕や勾留といった身体拘束を伴うこともあります。代表取締役らが逮捕・勾留されてしまった場合、経営に対してより深刻な影響がもたらされます。脱税事件による逮捕は実名報道を伴うため、会社への信用の影響も無視できません。
捜査の結果、検察庁に起訴されれば、脱税事件として刑事裁判を受けることになります。脱税事件の場合、代表取締役ら役員に対する自由刑と会社に対する罰金刑が併科されます。自由刑に執行猶予がつかなければ、刑務所へ服役することになります。

税理士だけでなく弁護士に相談・依頼をする意味

脱税事件を起こしてしまった場合、税務調査や査察調査の段階では、税理士による早期の修正申告予納を行っていくことになります。しかし、税理士だけでなく、弁護士へも早期に相談・依頼をしておくことが重要です。
先ほども説明したとおり、国税局による告発がされた場合は、刑事事件となります。起訴がされないよう検察官に働きかける、起訴された場合に裁判で弁護を行うことは、弁護士でなければできません。特に、脱税事件での刑事裁判では多額の罰金が求刑されることが珍しくなく、適切な弁護対応によって罰金額を減額させていくことに大きな意味があります。
実際に告発や起訴がされる以前に、刑事事件化するリスクがどの程度あるかについて、早期に弁護士から助言を得ておくことが重要です。税務調査や査察調査を受けている場合、弁護士にも相談をしておくことをお勧めします。

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