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水道工事などを担う会社が所得隠しをしていたという報道について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
1 報道の内容について
水道工事などを担う会社とその代表が1億2000万円を超える所得を隠し脱税したとして、東京国税局に刑事告発されました。
東京・板橋区にある水道工事会社とその代表(46)は、去年2月までの3年間で約1億2700万円の所得を隠し、法人税など2900万円ほどを脱税した疑いがもたれています。
関係者によりますと、代表は架空の外注費を計上するなどして所得を小さく見せかけていました。
不正に得た資金は現金で保管していたほか、高級外車の購入に充てていたということです。
ANNの取材に対し、代表は弁護士を通じて修正申告を済ませたとしたうえで「反省している。二度としない」とコメントしています。
(令和5年12月5日 ABEMA TIMES-Yahoo!ニュース より抜粋)
2 所得隠しとは
報道で問題となっている法人税は、税額を算出するための基礎となる金額(課税標準と呼ばれます。)を、「各事業年度の所得の金額」としています(法人税法21条)。
ここにいう「各事業年度の所得の金額」とは、「当該事業年度の益金の額から当該事業年度の損金の額を控除した金額」をいいます(同法22条1項)。
益金と損金の具体的な内容については、それぞれ法22条2項と3項に定められていますが、ごく簡単にいうと、益金とは収益の額をいい、損金とは損失の額をいいます。
なお、すべての収益や損失が益金、損金に含まれるわけではないことは注意が必要です。
今回取り上げた報道においては、架空の外注費を計上するなどして所得を小さく見せかけていたとされています。
これは、実際には支払っていないのにもかかわらず、外注費(たとえば、他の事業者に、とある工事の一部の施工をしてもらった際の費用など)を支出しており、その分、損金を増やした結果、所得が小さく見せかけることによって、所得を隠していたということになります。
3 刑事告発について
報道された会社と代表者は、国税局に刑事告発されたとされています。
刑事告発されると、今後、事件が検察庁に引き継がれ、取調べを受けるなどした後に、刑事裁判にかけられるかどうかが判断されることになります。
偽りその他不正の行為によって、法人税を免れた場合、代表者については、10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金(または罰金を併科)とされています。
なお、免れた法人税が1000万円を超える場合、罰金の上限がその免れた金額となる可能性もあります。
また、今回の報道の事案では、法人税だけではなく、地方税も関わってきますし、場合によっては消費税も関わってくることも考えられます。
4 弁護活動について
今回の報道では、既に修正申告を済ませているとされています。
修正申告とは、確定申告で過少な申告を行っていた場合に、正しい内容に修正して申告するものです(国税通則法19条)。
告発された後、検察官が刑事裁判にかけるかどうかを決めますが、その際に修正申告をしているかどうかというのは重要な事情になってきます。
ですから、国税局による査察が入るなどした段階で、早期に修正申告をするということは重要です。
もっとも、脱税事案といっても、先ほど話したように、法人税だけではなく、他の税金も関わってきますので、脱税事件に強い弁護士のアドバイスが必要になりますし、さらには、査察対応の経験のある税理士のサポートも必要になります。
また、修正申告をした後についても、たとえば事業をどうするのか、精算するのであればその手続が必要になりますし、雇用している従業員をどうするのかなど様々な問題があります。
事案に応じた柔軟な対応が必要になり、弁護士のサポートが必要であることに変わりはありません。
5 最後に
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、脱税事件に強い弁護士が所属し、法人税法違反など多数の事件を取り扱っています。法人税法違反の疑いがあるとして税務調査を受けた方は、初回の相談は無料ですので、お気軽にお問い合わせください。