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宗教法人には課税されないのかについて弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
宗教法人に対して追徴課税
令和5年1月31日の報道で、和歌山県内で寺を運営する二つの宗教法人が2021年、大阪国税局の税務調査を受け、各法人の代表を務める住職2人が檀家からのお布施計約1億5000万円を私的に流用していたとして、所得税の源泉徴収漏れを指摘し、2法人に対して重加算税を含む計約7000万円を追徴課税したというニュースがありました。(令和5年1月31日付読売新聞オンライン)
この事件では、住職2名は7年間で、読経などで得たお布施を自分名義の口座に入れ、個人的に使ったり、預金していたりして私的に流用していたことが、源泉徴収の対象となる「給与」と認定されたということです。
宗教法人は課税されないのでは?
宗教法人は課税されないと思っている人は多いと思います。
しかし、実際には宗教法人に対しても課税はされます。
なぜこのような勘違いが起きてしまうのかというと、「宗教活動」には課税されないからです。
宗教法人は、「宗教活動」を行う団体ということができますが、宗教活動以外にも様々な活動をしています。
そのため、宗教法人が行う活動のうち、宗教活動以外で収益事業を言えるものには法人税などが課税されます。
宗教法人に法人税が課せられる場合
宗教法人の収益事業には法人税が課されます。
宗教法人の収益事業としては、物品販売業や不動産の貸付業など34種類の事業があります。
もっとも収益事業に該当するかどうかについての線引きは微妙な部分もあります。
例えば、お守りやおみくじなどの販売については、物品販売業に該当しそうですが、その売価と仕入原価との関係からみてその差額が通常の物品販売業における売買利潤ではなく、実質的な喜捨金と認められるような場合には、収益事業には該当しないことになっています。
一方、一般の物品販売業者においても販売されているような性質の物品(例えば、絵葉書、写真帳、暦、線香、ろうそくなど)を通常の販売価格で販売する場合には、その物品の販売は収益事業に該当します。
このように、法人税が課税されるか否かについては、その線引きが難しいものもありますので、収益事業に該当するかについて、税理士や弁護士などの専門家に相談することをお勧めします。
住職の給料
お寺の住職さんに対して宗教法人から給料が支払われている場合があります。
この給料については、源泉徴収の対象となっています。
そのため、宗教法人は源泉徴収義務者として、住職さんに支払う給料から源泉徴収し、国に源泉徴収税を納付する義務を負っています。
上記報道で、住職が私的に流用した金銭を「給与」と認定されたことによって、源泉徴収義務を果たしていないことになり、追徴課税を受けたということになります。
また、今回の事件では、重加算税が課されていますが、これは、私的流用が仮装・隠ぺいを伴う悪質性の高い不正行為であると認定を受けたことによるもので、通常の加算税よりもより重いペナルティといえます。
まとめ
お布施は現金で受け取るため、資料が残っていないことが多いですが、国税庁が実施した調査では、約7割で源泉徴収漏れがあったということです。
税務調査が入った場合には、徴収漏れが発覚する可能性が高いといえますので、早めに専門家にご相談ください。
早めに修正申告などをすることで、重加算税などの重いペナルティを避けられる可能性が上がります。