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NISA(少額投資非課税制度)で得た利益について、確定申告が必要になる場合があることをご存じでしょうか?弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
NISAとは
NISA(少額投資非課税制度)は、「NISA口座(非課税口座)」内で、毎年一定金額の範囲内で購入した株式や投資信託などの金融商品から得られる利益が非課税になる制度です。
通常であれば、株式や投資信託といった金融商品に投資をした場合、これらを売却して得た利益や受け取った配当に対して約20%(消費税15.315%(復興特別所得税を含む)、地方税5%)の税金がかかります。
NISA口座内での取引は、年間非課税枠内で購入したものに対する利益について、所得税や住民税といった税金が課税されない、つまり、税金を払う必要がないということになっています。
そのため、NISAで利益を得たとしても、通常は確定申告は必要ないということになります。
NISAの種類
NISAには現在①一般NISA、②つみたてNISA、③ジュニアNISAの3種類があります。
①一般NISAは、株式・投資信託等を年間120万円まで購入でき、最大5年間非課税で保有できます。
②つみたてNISAは、①一般NISAと違い、購入方法や購入可能商品が限られていますが、一定の投資信託を年間40万円まで購入でき、最大20年間非課税で保有できます。
③ジュニアNISAは、20歳未満を対象とした制度で、株式・投資信託等を年間80万円まで購入でき、最大5年間非課税で保有できます。
※なお、2024年以降は、現行のNISA制度が見直され、年間投資枠が大きくなったり、非課税保有期間が無期限となったりといった現行制度の拡充・恒久化が図られた新しいNISA制度が始まることになっています。
NISAで確定申告が必要な場合
NISAは少額投資に関して非課税にする制度ですので、原則として確定申告は必要ありません。
しかし、以下の3つのパターンの場合には、確定申告が必要になるので、注意が必要です。
①NISA口座から他の口座に資産を移した場合
非課税期間が終了した場合、翌年の非課税投資枠に移管するか、課税口座に移管するか、売却するかを選択できます。
NISA口座からそれ以外の課税口座へ移管した場合には、移管後に出た利益については課税対象となります。
ここで注意が必要なのは、移管時点の価格が取得価格とされる点です。
NISA口座で購入した価格と課税口座へ移管した時点での価格が値上がりしていればそこまで問題はありませんが、逆に値下がりしていた場合、移管時の値下がりした価格が取得価格となるため、その後に値上がりした場合には、多くの税金を支払う必要があります。
②ジュニアNISAで得た利益を18歳未満で払い出した場合
ジュニアNISAには払い出し年齢に制限を設けてます。
18歳未満で払い出しをする場合、購入時にさかのぼって課税対象とされるため注意が必要です。
なお、2024年以降についてはこの制限が廃止されます。
③配当金の受け取りを証券会社を通じて受け取る方法(株式数比例配分方式)以外の方法で行う場合
国内上場株式の配当金、ETF(上場投資信託)・REIT(不動産投資信託)の分配金は、証券会社を通じて受け取る場合(株式数比例配分方式を選択している場合)のみ非課税となります。
配当金などの受け取り方法は、ゆうちょ銀行から受け取る方法、指定の銀行口座から受け取る方法、証券会社を通じて受け取る方法から選択できますが、証券会社を通じて受け取る方法以外を選択した場合には、非課税とはならず税金が源泉徴収されます。この場合、確定申告をすることで控除や損益通算をすることが可能です。
脱税と言われないためにもしっかりとルールの確認を
NISAは非課税という大きなメリットがある一方、ルールを知らないと思わぬところで落とし穴があり、デメリットもあります。
2024年以降はこういったデメリットが緩和されることが期待されていますが、それでもルールをしっかりと確認しておくことが必要です。
NISAを利用していたのに、税務署から調査が入ったなど不安がある方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に一度ご相談ください。