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震災復興工事の生コン業者を仙台国税局が告発した事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事件の概要
東日本大震災の復興工事などで得た利益の一部を申告せず、計約8000万円を脱税したとして、仙台国税局は、所得税法違反容疑などで、生コンクリート運搬業を営んでいたA氏を福島地検に告発したと発表した。
同国税局によると、A氏は2018~20年、生コン運搬業で得た所得約1億4400万円を申告せず、所得税約5100万円と消費税や地方消費税計約2900万円の免れた疑いが持たれている。
福島県では、東日本大震災による津波被害の復旧工事で生コンの需要が高まっており、運搬業の収入も伸びていたという。隠した金は、遊興費や生活費などに充てていた。
(2023年4月27日時事通信ニュースより。一部改変)
生コン運搬業
本事件のA氏は、生コンクリート運搬業を営んでいたということですが、免れた税金は所得税や消費税となっています。
事業を営んでいる場合には、法人税ではないかと思われる方もいると思いますが、法人税は、字のごとく「法人」にかかる税金です。
そのため、基本的に法人税は会社の収益にかけられる税金といえます。
会社ではなく、個人で事業を営んでいる個人事業主の方には「所得税」が課せられることになり、本事件のA氏も個人事業主であったと考えることができます。
A氏は生コンクリートの運搬業を営んでいたということですが、運搬業としては、ウーバーイーツなどの宅配業も含まれており、そう考えると、会社に所属せずに個人で運搬業を営んでいる人が相当数いることが実感できると思います。
個人事業主の確定申告
個人事業主の方が、その事業により収入を得た場合には、所得税や消費税、個人事業主税などを納める必要が出てくるため、確定申告が必要となります。
もっとも、個人事業主ではあるものの、会社から委託を受けて事業を行っており、会社からお給料という形で支払いが行われている場合、会社が年末調整をしてくれていることがあります。
年末調整がなされている場合には、所得税の確定申告をする必要はありません。
所得税などの確定申告については、収入だけでなく、経費なども計上する必要があります。
開業届を出し、青色申告の承認を得ている方の場合には、複式簿記方式が採用されることになるため、経費として計上するものについての領収書等をしっかりと保管し、提出していく必要があるなど、確定申告の手続きが煩雑にはなるものの、控除額が白色申告と比べて多いなど、メリットもあります。
確定申告の仕方がわからないなどの場合には、税理士などの専門家に相談しましょう。
刑事告発
本事件では、所得税法違反や消費税法違反で福島地検に告発がなされています。
ここでいう告発とは、国税局が査察調査の結果、刑事罰を与える必要があると考えた場合に、検察庁に刑事裁判にかけること(起訴)を求めて訴え出ることです。
告発は、基本的に脱税をしてしまった人や会社が所在する地域を管轄する地方検察庁に対して行われます。
告発を受けた検察庁は、その後刑事事件として捜査を開始します。
場合によっては、被疑者を逮捕して身体拘束をしながら取り調べなどを行います。
そして捜査が終われば起訴するか不起訴にするかを決定します。
国税局から告発を受けた事件で起訴される確率は約70%くらいといわれています。
起訴された場合には、刑事裁判が始まります。
多くの場合は執行猶予付きの判決が下されますが、罰金が併科される場合が多いようです。
罰金額は脱税額の20~30%くらいの金額とされる場合が多いです。
そのため、本事件では、有罪の判決が下された場合、所得税約5100万と消費税等訳2900万の合計約8000万円くらいの税金を免れているので、2000万~3000万円くらいの罰金が予想されます。
刑事告発を受けたら
脱税事件によって刑事告発をされたら、すぐに弁護士に相談しましょう。
告発を受けた場合には刑事手続が開始されます。刑事事件に強い弁護士に依頼をすることで、逮捕を避けることが出来たり、不起訴を勝ち取れたり、刑事裁判の結果が軽くなる可能性が出てきます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件を中心に扱っている事務所ですので、脱税事件の刑事手続にもしっかりとした対応ができます。
早急に弊所までお問い合わせください。初回の相談は無料です。