一人親方が確定申告をしないとどうなる?

一人親方が確定申告をしないとどうなるのでしょうか。
具体的事例をもとに、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

一人親方内装業を営むさんは、年間で3000万円を超える収入を得ていましたが、収入がすべて現金手渡しであったことから、確定申告をしなくてもばれないだろうと考え、数年にわたって全く確定申告をしていませんでした。
ところが、Aさんの取引先の会社に税務調査が入り、Aさんに収入があることが発覚し、Aさんにも税務調査が入ることになりました。
(フィクションです)

解説

Aさんは、収入があるにも関わらず確定申告を行っていなかったので、脱税をしていることは明らかです。
では、Aさんが免れた税金はどのようなものでしょうか。
まず、すぐに思いつくのが、「所得税」だと思います。
しかし、Aさんの場合には、所得税だけでなく、消費税や個人事業税・住民税などの地方税といった様々な税金についても免れているということが言えます。
Aさんには税務調査が入っているので、その後の手続きについて見ていきましょう。

税務調査

Aさんには税務調査が入っています。
Aさんのように一人親方を営んでいる方の場合には、毎年税務調査が入るということはなく、5年から10年に一度の頻度で税務調査が入ることが一般的です。
しかし、国税庁や税務署では、脱税額が多い事業形態として一人親方を挙げており、常に目を光らせている業種であると言えます。
そのため、年数に限らず、いつでも調査にくる場合があると考えておいた方がよいでしょう。

今回のAさんは取引先に税務調査が入ったことにより収入があることが発覚していますが、これとは別にAさんの脱税が疑われる場合に取引先にも調査が入る場合があります。
このことを反面調査といいます。
反面調査が行われることにより、取引履歴などから売上高が正確に割り出されることになり、脱税額の確定につながっていきます。

では、税務調査が入った場合には、Aさんはどう対応するのがよいでしょうか。

まずAさんは、確定申告を全くしていなかったため、なぜ確定申告をしていなかったのかということを質問調査されることになります。
なぜ確定申告をしていなかったのかについて、きちんとした理由を述べることができるのであればしっかりと述べておくべきです。
しかし、多くの場合には、正当な理由はいえないと思います。
そこで、査察調査や刑事告発をどのように避けていけるかを考えていくことになります。

そのためには、確定申告をしていなかった期間とその期間における正確な収入と経費をまず把握することが大事です。
もっとも、一人親方の場合には、現金手渡しでもらっていたり、どんぶり勘定だったりと、正確な収入額や経費を示すことができる資料を持っていないことが多いと思われます。
その場合でも、口座履歴やガードの使用履歴取引先から資料の提供を受けるなどしてできる限り正確な金額を把握するようにしましょう。
そのうえで、税理士や弁護士などの専門家と相談して、修正申告をすることをお勧めします。
早めに修正申告という手を打っておくことで、悪質性が低いと判断されたり査察まで至らなかったりということがあり得ます。

査察調査

税務調査の結果、悪質性が高い又は多額の脱税であると判断されると査察調査に移行します。
税務調査を経ずに、いきなり査察調査が行われる場合もあります。
査察調査は、税務調査とは違って強制的な調査になり、刑事告発を見据えた調査になります。
そのため、査察調査に入った場合には、国税局としっかりやり取りをし、告発をしないように働きかけることが必要になります。
国税局OBの税理士や専門の弁護士など、専門家のアドバイスを受けながらしっかりと対応することが大事です。
この段階では、収入などに関する資料はすべて国税局に持っていかれてしまっていますので、わからなくなる前にコピーなどを取っておくのがよいと思われます。

査察が入った場合には、1年ほどを掛けて告発するか課税処分にとどめるかを決めていきます。
刑事告発しない場合には、課税処分となりますが、Aさんの場合には無申告加算税もしくは重加算税が本税に追加して課せられることになります。
この段階でも、修正申告をすることによって刑事告発を避けることができたりしますので、専門家に相談しましょう。

刑事裁判

刑事告発がなされると、検察官が取り調べを行い、起訴不起訴が決まります。
不起訴となれば、刑事裁判は回避され、課税処分を受けるだけになります。
一方、起訴された場合には、裁判を受けて最終的には刑罰を受けることになります。
Aさんの場合には、所得税法違反や消費税法違反、地方税法違反といった罪で起訴される可能性があり、重いものであれば10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金又はその両方を課されることになります。
また、罰金については脱税額が1000万円を超えている場合には、脱税額に合わせて罰金額を上げることができます。

刑事告発された場合には、多くの場合、逮捕勾留されてしまいます。
早期の釈放を実現し、刑務所に入らないで済むような結果を求めていくためには、弁護士を早い段階から選任しておくのがよいと思います。

一人親方で確定申告をしていなかったという方は、一度弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の無料法律相談をご利用ください。
より詳しく説明し、あなたに合ったプランをご提案します。

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